白内障

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医療

ウェルナー症候群:老化の謎を解く鍵

ウェルナー症候群は、生まれつきの遺伝子の変化が原因で起こる、珍しい病気です。両親から受け継いだ、劣性と呼ばれる遺伝子の型によって発症します。両親ともにこの劣性遺伝子を持っている場合、子どもにウェルナー症候群が現れる可能性があります。ただし、両親が遺伝子を持っていたとしても、必ずしも子どもが発症するとは限りません。 この病気は、体の老化が通常よりもはるかに早く進むのが特徴で、「早老症」とも呼ばれています。一般的に高齢になってから見られるような症状が、若い頃から現れるのです。例えば、髪の毛が白くなったり、薄くなったり、皮膚がしわっぽくなったり、目が白く濁ったり(白内障)といった症状が現れます。また、骨がもろくなる骨粗鬆症や、血管が硬くなる動脈硬化といった、体に負担がかかる病気も若いうちから発症する可能性があります。 これらの症状は、多くの人が大人へと成長していく時期である思春期以降に現れ始め、徐々に進んでいきます。思春期は、心も体も大きく変化する大切な時期ですが、ウェルナー症候群の方は、この時期に老化の兆候が現れ始めるため、周りの人と比べて見た目や体の状態が異なってくることに気づき始めることが多いと考えられます。 ウェルナー症候群は非常にまれな病気で、世界中で100万人に数人から数十人しかいないと推定されています。日本では、およそ300人の患者さんがいると報告されており、専門的な医療機関での診断と治療、そして周りの理解と支援が必要です。 早期発見と適切なケアは、患者さんの生活の質を向上させる上で非常に重要です。周りの人々がこの病気について理解を深め、患者さんを支える環境を作ることも大切です。現在、様々な研究が進められており、新しい治療法の開発も期待されています。
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白内障:加齢による目の変化

白内障は、眼球の中にある水晶体と呼ばれる部分が濁ってしまう病気です。水晶体は、カメラのレンズのように光を集めて網膜に像を結ぶ役割を担っています。健康な水晶体は透明で、光をスムーズに通しますが、白内障になるとこの水晶体が白く濁ってしまい、光がうまく網膜に届かなくなります。その結果、視界がかすんだり、ぼやけたり、光がまぶしく感じたりといった症状が現れます。 白内障の主な原因は加齢です。水晶体は年齢を重ねるにつれて、たんぱく質が変性し、徐々に濁っていきます。そのため、白内障は高齢者に多く見られる病気です。ただし、加齢以外にも、糖尿病などの病気、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患、外傷、薬の副作用、先天的な要因など、さまざまな原因で白内障が起こることがあります。紫外線も白内障のリスクを高める要因の一つと考えられています。 白内障の初期には、自覚症状がない場合も少なくありません。しかし、病気が進行すると、視力が徐々に低下し、日常生活に支障をきたすようになります。読書やテレビ視聴が困難になるだけでなく、車の運転や階段の上り下りにも危険が伴うようになります。さらに症状が進むと、失明に至る可能性もあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に大切です。 白内障の治療法は、点眼薬による進行抑制と手術療法の二つがあります。点眼薬は、白内障の進行を遅らせる効果はありますが、濁りを完全に取り除くことはできません。根本的な治療には、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する手術が必要です。現在、白内障手術は非常に高度な技術で行われており、安全性も高く、多くの方が良好な視力を取り戻しています。目の健康を守るためには、定期的な眼科検診を受け、早期発見に努めることが重要です。