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医療

痴呆から認知症へ:言葉の変遷

近年、社会の高齢化が進むにつれて、「認知症」という言葉をよく聞くようになりました。少し前までは「痴呆」という言葉が当たり前のように使われていましたが、いつの間にか「認知症」という言葉に置き換わりました。この変化には、どのような理由があったのでしょうか。 かつて「痴呆」という言葉は、医学的な診断名として広く使われていました。しかし、この言葉には、どこか人を見下すような響きや、偏見が含まれていると感じる人が少なくありませんでした。痴呆という言葉を使うことで、症状のある本人やその家族が傷つき、社会生活を送る上で困難を抱えることもありました。 そこで、2004年、厚生労働省は「痴呆」という用語を「認知症」に変更することを決定しました。この変更は、病気に対する理解を深め、偏見をなくし、患者とその家族の人権を守るために行われました。「認知症」という言葉は、「知る」という字と「認識する」という字を組み合わせた言葉です。これは、物事を認識する能力が低下している状態を表しており、医学的な意味だけでなく、症状のある人に対する敬意と理解も込められています。 「認知症」への名称変更は、単なる言葉の置き換えにとどまりません。これは、認知症の人々に対する社会全体の意識改革の第一歩と言えるでしょう。高齢化が加速する現代社会において、認知症を正しく理解することは、認知症の人々への適切な支えとなり、共に生きる社会を作る上で非常に大切です。誰もが安心して暮らせる社会を目指して、認知症を取り巻く現状について、一緒に考えていきましょう。