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体位ドレナージで楽に呼吸
体位ドレナージは、呼吸器の病気を持つ方のために考え出された呼吸を楽にする方法の一つです。肺の中に溜まった痰や分泌物を、地球の引力を使って自然と体の外に出すお手伝いをする方法です。
私たちの肺は、まるで木の枝のように細かく枝分かれした気管支でいっぱいです。そして、その奥には小さな肺胞と呼ばれる袋がたくさんあります。呼吸器の病気になると、これらの気管支や肺胞に痰が溜まりやすくなります。痰が溜まると、呼吸が苦しくなったり、細菌が繁殖して肺炎などの感染症を引き起こす危険性が高まります。
体位ドレナージは、体の向きをいろいろ変えることで、痰が溜まっている肺の部分を気管支の出口よりも高い位置にします。そうすることで、地球の引力によって痰が自然と気管支へと流れ出し、咳をして痰を外に出すことが容易になります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や嚢胞性線維症、気管支拡張症などの病気を抱えている方にとって、この方法は呼吸を楽にし、感染症の危険性を減らすためにとても大切です。
体位ドレナージは、医師や理学療法士、呼吸療法士といった専門家の指導の下で行うのが一般的です。それぞれの患者さんの体の状態に合わせて、どの体位が良いか、どのくらいの時間行うか、どのくらいの頻度で行うかなどを専門家が判断します。自宅で行う場合でも、必ず専門家の指示に従い、無理のない範囲で行うことが大切です。急に無理をすると、かえって体に負担がかかってしまうこともあります。ですので、自分の体の状態をよく観察しながら、ゆっくりと行うようにしましょう。