消化吸収障害

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医療

自宅で安心、静脈栄養

口から食事を摂ることができない、あるいは食事を摂っていても必要な栄養を十分に体に吸収できない状態が長く続くと、私たちの体は栄養不足に陥り、健康状態が悪化することがあります。このような状況で、静脈栄養は非常に重要な役割を担います。静脈栄養とは、点滴によって栄養を直接血管に送り込む治療法です。 静脈栄養は、食べ物を消化吸収する過程を経ずに栄養を補給できるため、胃腸などの消化器に問題を抱えている方でも効率的に栄養を摂取することができます。必要な栄養素である糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく配合した輸液を静脈から投与することで、患者さんの栄養状態の維持・改善を図り、健康的な生活を送るためのサポートとなります。 静脈栄養が必要となるケースは様々です。例えば、がんの手術後や放射線治療、抗がん剤治療による副作用で消化器に負担がかかっている場合、炎症性腸疾患などで消化吸収機能が低下している場合、あるいは意識障害などで経口摂取が困難な場合などが挙げられます。 特に、長期にわたる栄養管理が必要な場合には、自宅で静脈栄養を行う在宅中心静脈栄養療法が選択されることが多く、通院の負担を軽減し、患者さんが住み慣れた環境で安心して治療を受けられるようになり、生活の質の向上に大きく貢献しています。在宅中心静脈栄養療法では、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などの専門家がチームとなって患者さんをサポートし、安全かつ適切な栄養管理を行います。このように、在宅医療において、静脈栄養は欠かすことのできない治療法の一つと言えるでしょう。