注意障害

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医療

見当識障害:認知症の理解

見当識障害とは、自分が置かれている状況を正しく認識することが難しくなる状態です。具体的には、時間、場所、人物など、自分が今どこで、いつ、誰といるのかが分からなくなるといった症状が現れます。これは、認知症の主な症状の一つとして知られており、患者さん本人だけでなく、支える家族にとっても大きな苦労の原因となることがあります。 時間の見当識が損なわれると、今日は何月何日か、何曜日か、今はどの季節かといったことが分からなくなります。そのため、約束を忘れてしまったり、食事の時間を間違えてしまったりといった問題が起こりやすくなります。朝なのに夕飯の準備を始めたり、季節に合わない服装をしてしまったりすることもあります。このような状態は、日常生活を送る上で大きな支障となるだけでなく、患者さん自身に不安や混乱をもたらす可能性があります。 場所の見当識が損なわれると、自宅にいながら迷子になったように感じたり、よく知っている場所にいても見知らぬ場所のように感じてしまうことがあります。家の周りの道を歩いているのに迷ってしまったり、自分の部屋が分からなくなってしまったりするケースもあります。このような状況は、患者さんにとって大きなストレスとなり、徘徊につながる可能性も懸念されます。 人に対する見当識が損なわれると、家族や親しい友人の顔を忘れてしまったり、名前が出てこなくなったりします。配偶者を他人と認識してしまったり、子供を兄弟と間違えてしまったりするなど、人間関係の認識にも混乱が生じます。これは、患者さん本人だけでなく、家族にとっても精神的な負担が大きい症状です。 このように、見当識障害は日常生活に様々な影響を及ぼし、患者さんの生活の質を低下させるだけでなく、介護をする家族の負担も増大させる可能性があります。見当識障害について正しく理解し、適切な接し方や支援の方法を学ぶことは、患者さんとその家族が安心して生活を送る上で非常に大切なことです。