死後ケア

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介護職

大切な人を見送るエンゼルケア

エンゼルケアとは、人が息を引き取った直後に行う身体のお手入れのことです。これは、単なる死後の処理ではなく、故人の尊厳を守り、安らかに旅立たせるための大切な行為です。また、深い悲しみに暮れるご遺族にとって、故人との最後の時間を共有するかけがえのない機会でもあります。ですから、心を込めて、丁寧にケアを行うことが重要です。 エンゼルケアでは、身体を清拭し、まるで眠っているかのように整えます。具体的には、温めたタオルで優しく身体を拭き、汚れや汗を取り除きます。髪を梳かし、爪を切ったり整えたりすることもあります。女性の場合には、生前に好きだった化粧品を使って化粧をすることもあります。また、着替えさせ、お気に入りの衣服を着せてあげることもあります。これらの処置は、ご遺族の希望も伺いながら進めます。 医療的な処置を行うこともあります。例えば、体液の漏出を防ぐために、鼻や口、肛門などに脱脂綿を詰める処置を行うことがあります。これらの処置は、死後硬直が始まる前に済ませておくことが一般的です。 エンゼルケアという言葉は、病院や介護施設で亡くなった場合によく使われますが、在宅介護で亡くなった場合にも同様のケアを行うことができます。大切な方を亡くしたご家族にとって、エンゼルケアは最後の別れを告げるための大切な儀式となるでしょう。 宗教や文化によって、死後のケアの方法は様々です。手足を組ませる方法や、着せる衣服、副葬品なども、宗教や文化によって異なる場合があります。ご遺族の考えや気持ちを尊重し、丁寧に希望を伺いながら進めていくことが大切です。エンゼルケアは、故人の尊厳を守り、安らかな最後の時間を送るためだけでなく、残されたご遺族の悲しみを少しでも和らげるための重要な行為です。