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生活保護:その仕組みと役割
日本国憲法第二十五条には、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を送る権利がある、つまり生存権が保障されていると書かれています。この生存権を守るためにあるのが、生活保護制度です。
病気や怪我で働けなくなったり、歳を取って収入がなくなったり、あるいは仕事が見つからなかったり…。人はさまざまな理由で生活に困ってしまうことがあります。そのような時、自分自身の力だけでは最低限度の生活を送ることが難しくなった人々を、国が支える義務を負っているというのが、この生活保護制度の考え方です。
生活保護を受けられるのは、生活に困っている人です。具体的には、衣食住や医療、教育といった、生きていく上で必要最低限のものが不足している状態のことを指します。この制度を利用することで、国からの援助を受け、再び自分の足で自立した生活を送れるようにするための支援を受けることができます。
生活保護は、困っている人たちに施しを与えるといった考え方ではありません。困っている国民の生活を守ることは国の責任であり、生活保護を受けることは国民一人ひとりの権利として保障されているのです。これは、すべての人が人間として尊厳を持って生きていくため、そして社会全体が安定して成り立つために、とても大切な制度です。生活保護制度は、困っている人を社会全体で支え、再び社会参加できるように応援するための仕組みなのです。