日常生活動作訓練

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通所による介護

生活技能訓練(SST)でより良い暮らしを

生活技能訓練(せいかつぎのうくんれん)、略してSST(エスエスティー)とは、日常生活を送る上で必要な様々な技能を身につけるための訓練のことです。挨拶の仕方や、人と話すときの話の進め方、自分の気持ちをうまく伝える方法、電車やバスといった乗り物の使い方、お金の管理の仕方、料理や掃除、洗濯といった身の回りのことのやり方など、日常生活における様々な活動を訓練を通して学ぶことができます。 この訓練の目的は、人との良い関係を築けるようになること、日常生活で起こる困りごとを自分で解決できるようになること、そして社会生活を送る上で必要な力を身につけることです。例えば、うまく気持ちを伝えられないことで、人との関係に悩んでいる人が、SSTを通して気持ちを伝える練習をすることで、人とうまく付き合えるようになるといった効果が期待できます。また、一人で外出するのが難しい人が、SSTを通して電車やバスの乗り方を学ぶことで、一人で色々な場所に行けるようになることも目指せます。 SSTは、心の病気を抱えている人、発達に特性のある人、年を重ねた人、家に閉じこもりがちな人など、様々な人が利用しています。一人ひとりの状態や困りごとに合わせて、どんな訓練をするのかが決められるので、それぞれに合ったやり方で学ぶことができます。 訓練は、みんなで一緒に受ける場合と、一人だけで受ける場合があります。周りの人と関わりながら学ぶ方が良い場合や、一人でじっくりと取り組む方が良い場合など、その人に合った方法で進められます。 SSTを実施する際には、医師や看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士といった専門家がチームを組んで、利用する人の状態をしっかりと把握し、それぞれに合った訓練内容を考えていきます。専門家が丁寧に教えてくれるので、安心して訓練に取り組むことができます。SSTを通して、社会への参加がしやすくなったり、生活の質が上がったり、自分の力で生活できるようになることを目指します。
医療

機能回復訓練で豊かな生活を

機能回復訓練とは、病気やけが、年を重ねることなどによって衰えてしまった体の働きを、再び良くするための訓練のことです。病気やけがをした後、あるいは加齢に伴い、以前のように体を動かせなくなったり、日常生活での動作が難しくなったりすることがあります。このような場合に、機能回復訓練を行うことで、再び自分の力で生活できるようになること、つまり自立した生活を取り戻すことを目指します。 機能回復訓練は、体の動きの専門家である理学療法士や、日常生活動作の専門家である作業療法士といった専門家の指導のもとで行われます。一人ひとりの体の状態や、生活における困りごとはそれぞれ異なるため、訓練内容も十人十色です。専門家は、個々の状態を丁寧に評価し、その人に合った訓練プログラムを作成します。そして、その人に合わせた目標を設定し、無理のないように段階を踏んで訓練を進めていきます。 機能回復訓練の目的は、単に体の動きを良くすることだけではありません。再び歩けるようになる、食事や着替えを自分でできるようになるといった身体機能の回復はもちろん重要ですが、最終的には、その人らしい生活、より質の高い生活を送れるように支援していくことが大切です。そのため、訓練プログラムは、日常生活で実際に困っている動作の改善に重点を置いたものとなります。例えば、階段の上り下りが難しい人には、階段昇降の練習を重点的に行ったり、料理がしたい人には、包丁を使う練習や材料を切る練習を取り入れたりします。 機能回復訓練を通じて、以前のように体を動かせるようになるだけでなく、日々の生活をいきいきと送れるようになることが期待されます。そして、自立した生活を送ることで、自信を取り戻し、社会とのつながりも深まるなど、様々な効果が期待できます。