
高齢者を守る!MRSA感染対策
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(エムアールエスエー)とは、読んで字のごとく、メチシリンという抗生物質が効かない黄色ブドウ球菌のことです。黄色ブドウ球菌は、健康な方の皮膚や鼻の中など、どこにでもいるありふれた細菌です。普段は特に害を及ぼすことはありません。しかし、この黄色ブドウ球菌の一部が、様々な抗生物質、特にメチシリンへの耐性を持つようになったものが、MRSAと呼ばれています。
健康な方であれば、MRSAに感染しても、症状が出ない場合も少なくありません。皮膚などに軽い炎症を起こす程度で、自然に治癒することもあります。しかし、高齢者の方や、病気などで免疫力が低下している方にとっては、MRSAは深刻な脅威となります。免疫力が弱まっていると、MRSAが体内で増殖しやすく、重症の感染症を引き起こす危険性が高まります。例えば、皮膚の感染症にとどまらず、肺炎や敗血症といった命に関わる病気の原因となることもあります。
高齢者施設や病院など、抵抗力が弱い方が多く集まる場所では、MRSAの感染対策が極めて重要です。医療従事者や介護職員は、手洗いや消毒を徹底することはもちろん、MRSA感染者とそうでない方の接触をなるべく避けるなど、感染拡大の防止に細心の注意を払う必要があります。また、施設内を清潔に保つことも大切です。
早期発見と適切な治療も重要です。MRSA感染の症状は、他の細菌感染と似ていることが多く、見分けることが難しい場合もあります。そのため、少しでも異変に気付いたら、早めに医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。MRSAに感染しても、適切な抗生物質を用いれば治療することができます。ただし、MRSAは多くの抗生物質に耐性を持っているため、医師の指示に従って正しく薬を服用することが重要です。