感染症

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医療

知っておきたいB型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスは、肝臓に炎症を起こすとても小さな生き物です。この小さな生き物は、血液や体液を介して、人から人へとうつります。そして、慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんといった深刻な病気を引き起こすことがあります。 B型肝炎ウイルスがどのようにして人から人へとうつるのかというと、いくつか経路があります。まず、B型肝炎ウイルスを持っているお母さんから、出産時に赤ちゃんへとうつる母子感染があります。また、血液を介してもうつる可能性があります。例えば、過去には輸血によってうつることもありましたが、今は検査体制が整っているため、輸血による感染はほとんどありません。しかし、注射針をみんなで使うことなどは大変危険です。さらに、性交渉によっても感染することがあります。 B型肝炎ウイルスは、空気感染や食事をみんなでつつくことではうつりません。感染しても、自覚症状がないままウイルスを持っている人も多く、自分が感染していることに気づかないまま、他の人にうつしてしまう可能性もあります。ですから、常に注意が必要です。特に、医療関係の仕事や介護の仕事をしている人たちは、血液や体液に触れる機会が多いため、感染を防ぐための対策をしっかりと行うことが大切です。 B型肝炎は、予防できる感染症です。予防接種を受けることで感染を防ぐことができます。まだ予防接種を受けていない人は、医療機関に相談してみましょう。また、早期発見、早期治療が大切ですので、定期的な健康診断を受けるように心がけましょう。
医療

A型肝炎を知ろう!予防と対策

A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによって起こる肝臓の炎症です。このウイルスは、汚染された飲食物を口にすることで、体の中に入ってきます。特に、貝類などの魚介類はウイルスに汚染されていることがあり注意が必要です。また、ウイルスに感染した人と濃厚な接触をすることでも感染することがあります。感染経路としては、ウイルスを含んだ便で汚染されたものを触った手で口を触ったり、食べ物を口に運ぶなど、口からウイルスが侵入することで感染します。 感染すると、発熱、疲れやすい、食欲がなくなる、吐き気、嘔吐といった症状が現れます。また、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出ることもあります。感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は2週間から6週間程度です。乳幼児期に感染した場合、症状がほとんど出ないことも珍しくありません。しかし、大人になってから感染すると症状が重くなる傾向があります。重症化すると、劇症肝炎といって肝臓の機能が急激に低下し、命に関わることもあります。 A型肝炎は、衛生管理をしっかり行うことで予防できます。特に、トイレの後や食事の前には石鹸を使ってしっかりと手を洗うことが重要です。また、A型肝炎の予防接種を受けることで、感染を効果的に防ぐことができます。予防接種は2回接種することで、長期にわたり効果が持続します。感染を広げないためにも、正しい知識を身につけることが大切です。流行地域への旅行や、衛生状態が良くない環境での飲食は避け、十分に注意しましょう。
医療

デング熱に気をつけよう

蚊が媒介するウイルス感染症「デング熱」は、デングウイルスを持っている蚊に刺されることで人に感染します。感染すると、高い熱が出て、強い痛みを伴う様々な症状が現れます。この病気を引き起こすデングウイルスを運ぶ蚊は、主に気温の高い熱帯や亜熱帯地域に生息しています。しかし、近年は地球全体の気温が上昇している影響もあり、これまでデング熱の発生が見られなかった日本の国内でも感染者が報告されています。実際、2014年にはおよそ70年ぶりに国内での感染が確認され、改めて日本国内でも感染する危険性があることが注目されています。世界中で見ると、デング熱に感染する人は年に約1億人にものぼると言われており、決して遠い国だけの病気ではありません。海外旅行や仕事で海外へ行く人は特に注意が必要です。また、国内であっても、蚊に刺されないように対策を心がけることが大切です。 デング熱の症状は、突然の高熱に始まり、強い頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛、関節痛などが現れます。発疹が出ることもあり、吐き気や嘔吐、下痢などの症状を伴う場合もあります。これらの症状はインフルエンザに似ている部分もありますが、デング熱は適切な治療を受けないと重症化することがあります。まれに、デング出血熱やデングショック症候群といった命に関わる危険な状態になることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。 デング熱の予防で最も重要なのは、蚊に刺されないようにすることです。蚊は日中に活動するため、長袖の服を着たり、虫よけスプレーを使用したりするなど、肌の露出を避けることが有効です。また、蚊の繁殖を防ぐことも大切です。家の周りの水たまりをなくしたり、植木鉢の受け皿の水をこまめに捨てるなど、蚊が卵を産みやすい場所を減らすことで、感染リスクを下げることができます。海外へ行く際には、現地の蚊の活動状況や感染症の情報を確認し、必要な予防策を講じるようにしましょう。そして、もしデング熱が疑われる症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
健康の維持

白癬:知っておきたい知識と予防法

白癬は、白癬菌というカビが原因で起こる皮膚の病気です。このカビは高温多湿の環境を好み、人から人へと移ります。足は靴や靴下で覆われていることが多く、高温多湿になりやすいので、白癬菌が増えやすく、足白癬、いわゆる「水虫」は最もよく知られた白癬の一つです。 足白癬以外にも、体部白癬や股部白癬、爪白癬など、体の様々な場所に発症する可能性があります。白癬は、きちんと治療すれば治る病気ですが、放置すると症状がひどくなったり、周りの人へうつしてしまう可能性があります。ですから、白癬についてきちんと理解し、予防と早期治療を心がけることが大切です。 白癬菌は、感染した人の皮膚から剥がれ落ちた角質を介して、他の人へ感染します。例えば、床やお風呂の足拭きマット、スリッパなどを共有することで感染する危険性が高まります。また、高温多湿の環境は白癬菌の繁殖を助長するため、特に梅雨が明けた後や夏場は注意が必要です。家の中では、風通しを良くし、清潔な状態を保つことが重要です。 お年寄りは、体の抵抗力が弱まっていたり、皮膚が乾燥しやすいため、白癬に感染しやすい傾向があります。また、爪が厚く変形しやすいため、爪白癬になりやすく、治りにくい場合もあります。お年寄りの方の場合は、足白癬から爪白癬へと進行することが多く、爪が厚くもろくなることで痛みを伴う場合もあります。歩行に支障が出ることもあるため、早期発見と早期治療が重要です。そのため、お年寄りの方は特に白癬の予防と早期発見、早期治療に気を配る必要があります。日頃から足を清潔に保ち、保湿を心がけることが大切です。また、家族の方も、白癬について理解し、感染予防に協力することが重要です。
医療

ツベルクリン反応:結核感染の検査

ツベルクリン反応は、結核菌に感染しているかどうかを調べるための皮膚検査です。これは、実際に結核を発病しているかどうかを診断する検査ではなく、過去に結核菌に感染した経験があるかどうかを調べるための検査です。 この検査では、ツベルクリンという結核菌から抽出された物質を、注射器を使って前腕の皮膚の浅い部分に注入します。すると、過去に結核菌に感染したことがある人の場合、48時間から72時間後に注入した部分が赤く腫れあがります。これを陽性反応といいます。この反応は、体が結核菌に対して免疫を持っていることを示しています。 陽性反応が出た場合は、過去に結核菌に感染したことがあると判断されます。しかし、陽性反応が出ても必ずしも現在結核を発病しているとは限りません。結核菌に感染しても、多くの人は免疫力によって菌の増殖を抑え、発病しないまま過ごします。そのため、陽性反応が出た場合は、胸部エックス線検査や喀痰検査などの追加の検査を行い、活動性の結核かどうかを詳しく調べることが必要です。 ツベルクリン反応は、乳幼児健診や学校健診などで広く行われており、結核の早期発見に役立っています。また、医療従事者や介護施設職員など、結核菌に感染する機会が多い職種の人々に対しても、定期的に行われることがあります。手軽に実施できる検査であり、結核の蔓延を防ぐ上で重要な役割を果たしています。ただし、BCG接種を受けている人は、ツベルクリン反応が陽性になりやすいので、その点を考慮して判断する必要があります。
医療

COVID-19とその影響

新型のコロナウイルスは、二〇一九年末に初めて確認された、未知のウイルスです。正式な病名は新型コロナウイルス感染症ですが、一般的には新型のコロナウイルス、あるいは略してコロナと呼ばれています。このウイルスによって引き起こされる病気は、時に重篤な肺炎を引き起こし、命を落とすこともあります。 このウイルスは、感染者の咳やくしゃみによって飛び散る細かいしぶき、いわゆる飛沫を介して人から人へ感染します。感染者の唾液や鼻水がついた物に触れた手で、自分の目や鼻、口などを触ることで感染することもあります。そのため、こまめな手洗いや手指の消毒、マスクの着用が感染予防に有効です。 このウイルスは非常に感染力が強く、あっという間に世界中に広がり、世界的な流行を引き起こしました。初期の頃には、その強い感染力と未知のウイルスであるがゆえの不安から、社会全体に大きな混乱が生じました。人々の移動は制限され、学校や職場は閉鎖され、経済活動も停滞しました。 感染の初期症状は、発熱、咳、のどの痛み、倦怠感など、風邪によく似た症状です。しかし、症状が悪化すると、息苦しさや強い倦怠感、肺炎などを発症することがあります。高齢者や基礎疾患のある人は、重症化するリスクが高いとされています。感染が疑われる場合は、速やかに医療機関に相談することが大切です。 新型のコロナウイルスとの闘いは、長期にわたっています。一人ひとりが感染予防対策を徹底し、感染拡大の防止に努めることが重要です。また、ワクチン接種や治療薬の開発など、科学の進歩にも大きな期待が寄せられています。
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高齢者に多い敗血症を知ろう

敗血症は、体の中で起きた感染症が血液中に広がり、全身に炎症を引き起こす命に関わる危険な病気です。肺炎や尿路感染症といった、どこにでも起こりうるありふれた感染症がきっかけとなり、血液を通して病原菌が全身に運ばれることで発症します。通常、健康な人の体には、病原菌の侵入を防ぎ、感染症を抑え込む免疫機能が備わっています。しかし高齢者の方や、病気や治療の影響で免疫力が低下している方の場合、この防御システムが十分に機能せず、感染症が重症化しやすく、結果として敗血症へと進行する危険性が高まります。 特に高齢者の方は、免疫力の低下に加え、複数の病気を抱えている場合が多く、持病の悪化がきっかけで敗血症を発症することも少なくありません。例えば、糖尿病や心臓病などの持病があると、感染症への抵抗力が弱まり、敗血症のリスクが高まります。また、高齢者は若い人に比べて体の反応が分かりにくく、初期症状を見逃しやすいという問題もあります。 敗血症の初期症状は、発熱、悪寒、倦怠感など、風邪とよく似た症状であることが多く、見分けるのが難しい場合があります。しかし、風邪とは異なり、敗血症は急速に悪化し、呼吸困難、意識障害、臓器不全などの深刻な状態に陥ることがあります。そのため、早期発見と迅速な治療が何よりも重要になります。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。特に高齢者で風邪のような症状が見られる場合は、敗血症の可能性も考慮し、早めに医師に相談することが大切です。