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弄便:理解と対応
弄便とは、自分の排泄物である便を触ったり、それを他の人や物に塗りつけたりする行為を指します。乳幼児期においては、便は自分から出たものとはいえ、興味深い対象の一つであり、この時期の弄便は発達の一過程として捉えられます。この時期に便を触ったり、それで遊んだりする行動は、成長とともに自然と消失していくことが一般的であり、過度に心配する必要はありません。しかし、幼児期を過ぎても弄便が続く、あるいは新たに始まる場合には、何らかの原因が潜んでいる可能性があります。
その背景として考えられる要因の一つに、発達障害があります。知的障害や自閉スペクトラム症などの発達障害では、感覚の過敏性や鈍感性が見られることがあり、これが弄便につながる可能性があります。また、決まった行動を繰り返す常同行動として弄便が現れることもあります。
発達障害以外にも、精神的なストレスや不安、過去のつらい経験なども弄便の引き金となることがあります。強いストレスを感じている、あるいは心に大きな負担を抱えていると、弄便という形で現れることがあるのです。特に、認知症の高齢者においては、認知機能の低下に伴い、弄便が見られるケースがあります。物事を理解したり判断する能力が低下することで、排泄に関する社会的なルールを忘れてしまったり、便意をうまく伝えられず、結果として弄便につながることがあります。
弄便は、単なる行動の問題として片付けるのではなく、その背後にある複雑な要因を理解することが重要です。何が原因で弄便が起こっているのかを丁寧に探る必要があり、その背景には発達上の特性や精神的な問題、身体的な要因など、様々な可能性が考えられます。そのため、弄便への適切な対応のためには、医療の専門家や介護の専門家への相談が欠かせません。専門家は、その人の状況に合わせて、適切な支援やアドバイスを提供してくれます。