廃用性萎縮

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健康の維持

廃用性萎縮:寝たきり予防の重要性

『廃用性萎縮』とは、文字通り、身体を使わないことで筋肉や骨などが衰えてしまうことです。特に筋肉の萎縮が目立ちやすく、長期間にわたり筋肉を使わない状態が続くと、筋肉の細胞が小さくなり、筋肉全体が細く、弱くなっていきます。 この萎縮は、骨折やケガでギプス固定した場合、あるいは病気で寝たきりになった場合などによく見られます。例えば、足を骨折してギプスで固定すると、その間、足の筋肉はほとんど使われなくなります。すると、足の筋肉は徐々に細くなり、ギプスを外した時には、骨折前よりも足が細くなっていることに気付くでしょう。また、病気で長く寝たきりになると、全身の筋肉が衰え、起き上がったり、歩いたりする動作が難しくなります。 筋肉が衰えるメカニズムは、筋肉を作る材料であるたんぱく質の合成が減り、一方で分解が進むためです。筋肉は常に合成と分解を繰り返していますが、使われない状態が続くと、このバランスが崩れ、分解が合成を上回るようになります。その結果、筋肉量は徐々に減少していくのです。 廃用性萎縮は、筋肉の量や力の低下だけでなく、日常生活にも大きな影響を及ぼします。立ち上がったり、歩いたり、階段を上り下りしたりといった動作が困難になり、場合によっては、食事や着替え、トイレなどの身の回りのことも一人ではできなくなることもあります。さらに、心臓や肺といった内臓の筋肉も萎縮し、全身の機能低下につながる可能性も懸念されます。また、関節の動きが悪くなり、関節が硬くなってしまう『関節拘縮』も併発しやすくなります。関節が硬くなると、さらに身体を動かすのが困難になり、廃用性萎縮を加速させる悪循環に陥ってしまいます。 このように、廃用性萎縮は、身体機能や生活の質に深刻な影響を与えるため、早期の予防と対策が非常に重要です。少しでも身体を動かす機会を増やし、筋肉への刺激を維持することが大切です。