幻視

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レビー小体型認知症を知る

誰もが年を重ねるにつれて、認知症は身近な心配事の一つと言えるでしょう。高齢化が進むにつれ、認知症を抱える人は増え続け、様々なタイプが存在します。その中でも、今回は三大認知症の一つに数えられる「レビー小体型認知症」について詳しく説明します。この認知症は、他の認知症とは異なる特徴的な症状や経過をたどるため、正しく理解し、適切な対応をすることがとても大切です。 レビー小体型認知症は、脳の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することで発症すると考えられています。この病気の特徴は、認知機能の変動が大きく、良い時と悪い時の差が激しいことです。また、幻視と呼ばれる、実際にはいない人や物が見える症状や、パーキンソン病に似た運動の症状が現われることも多く見られます。 初期の段階では、物忘れよりも、周囲への注意力が低下したり、動作が緩慢になったりするといった症状が目立つ場合があります。そのため、単なる老化現象や疲れと見間違えやすく、診断が遅れるケースも少なくありません。病気が進行すると、記憶障害や判断力の低下も顕著になり、日常生活に支障をきたすようになります。 レビー小体型認知症の治療は、根本的な原因を取り除く方法がないため、症状を和らげ、生活の質を維持・向上させることを目標に行われます。薬物療法としては、認知機能の改善や幻視の抑制、パーキンソン症状の緩和などを目的とした薬が用いられます。また、日常生活の支援やリハビリテーションも重要です。周囲の理解と適切なケアが、患者さんの生活の質を大きく左右します。 早期発見・早期対応が大切ですので、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関に相談することが重要です。
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幻視:見えないものが見える?

幻視とは、実際には何もないのに、何かが見える現象のことを指します。目で見ているもの、つまり視覚に異常が生じている状態です。例えば、壁の模様が虫に見えたり、部屋の隅に知らない人が立っているように見えたり、実際には存在しないものが、まるでそこに実在するかのように感じられます。 この幻視を体験している人は、単に想像しているのではなく、本当にそれを見ているため、自分が見ているものが現実ではないと理解することが難しい場合が多くあります。そのため、周囲の人が「そんなものはない」と否定してしまうと、混乱したり、不安になったりすることがあります。幻視の内容も人それぞれで、虫や小動物のようなものから、人物、風景、文字など様々です。また、その見え方も、ぼんやりとしたものから、非常に鮮明なものまで様々です。 幻視は、様々な要因で起こると考えられています。強い精神的な負担やストレス、過労、睡眠不足などが引き金となることもあれば、脳の病気や、身体的な病気、服用している薬の影響で現れることもあります。また、加齢に伴って視覚機能が低下し、ものが見えにくくなることで幻視が生じるケースもあります。 幻視が現れた場合は、まず落ち着いて、その様子をよく観察することが大切です。いつ、どのような状況で、どのようなものが見えたのかを記録しておくと、原因を探る上で役立ちます。そして、決して幻視を否定したり、非難したりするのではなく、「つらいですね」「大変でしたね」など、共感の言葉を伝え、安心感を与えることが重要です。その後、医療機関を受診し、適切な診察を受けるように促しましょう。自己判断で対処しようとせず、専門家の助言を仰ぐことが大切です。