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家屋調査:安心の在宅復帰に向けて
家屋調査とは、入院や施設入所していた方が自宅での生活に戻る際、あるいは在宅で介護サービスを利用し始める際に、専門家が自宅を訪問し、生活環境を確認する大切な取り組みです。退院や退所後の生活が安全で快適なものになるように、また、在宅生活を継続していく上で必要なサービスを適切に提供できるように、様々な観点から現状を把握し、問題点や改善点を明らかにすることを目的としています。
調査では、まず、室内の段差や階段、廊下の幅、手すりの有無や位置などを確認し、移動のしやすさや転倒の危険性がないかを調べます。玄関から寝室、居間、台所、浴室、トイレなど、生活動線をくまなく見て回り、移動に支障となるものがないか、安全に移動できるかなどを評価します。
浴室やトイレでは、床の滑りやすさ、手すりの有無、浴槽の高さ、便座の高さなどを確認します。これらの設備が利用者の身体状況に合っているか、安全に利用できるかを判断します。また、家具の配置や照明の明るさも重要なチェックポイントです。家具の配置によって移動が妨げられていないか、照明は十分な明るさを確保できているかなどを確認し、必要に応じて改善点を提案します。
家屋調査では、住宅の物理的な環境だけでなく、利用者の身体状況や生活習慣、家族構成、介護者の状況なども考慮に入れ、総合的な評価を行います。例えば、杖や歩行器を使用している場合は、それらの用具が家の中で安全に使用できるスペースが確保されているかを確認します。また、利用者の生活習慣や趣味、家族の協力体制なども把握し、自宅での生活をよりスムーズに送れるように、必要な支援を検討します。家屋調査の結果をもとに、住宅改修の提案や介護サービスの内容、福祉用具の選定などが行われ、利用者一人ひとりに合った住環境の整備、サービス提供へと繋がっていきます。つまり、家屋調査は、利用者が安心して自宅で生活するための第一歩と言えるでしょう。