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利用権方式とは?そのメリット・デメリット
有料老人ホームには、様々な契約の仕方がありますが、その中で利用権方式は、比較的よく見られる契約の形態です。利用権方式とは、入居時にまとまったお金を支払うことで、お部屋や共有部分を使う権利と、介護や生活のお手伝いを受ける権利が一つになった契約のことです。簡単に言うと、住む場所を確保すると同時に、必要なサービスも利用できる仕組みとなっています。
入居時に支払うまとまったお金は「利用権料」と呼ばれ、この利用権料は、それぞれの施設が決めた期間と割合で少しずつ減っていきます。これを償却と言います。例えば、償却期間が10年で償却率が90%の施設であれば、10年間で利用権料の90%が償却されることになります。つまり、退去時に利用権料の10%が返金される仕組みです。ただし、償却期間や償却率は施設によって異なるため、入居前にしっかりと確認することが大切です。
利用権方式で特に注意すべき点は、建物の所有権は得られないということです。利用権料を支払うことで得られるのは、あくまで施設を利用する権利です。そのため、マンションや戸建てを購入する場合とは異なり、自分の財産として子や孫に引き継ぐことはできません。
利用権方式は多くの有料老人ホームで採用されているため、入居を検討する際には契約内容をよく理解し、他の契約形態との違いやメリット・デメリットを比較することが重要です。特に、償却期間や償却率、そして退去時の返金について、しっかりと確認しておく必要があるでしょう。将来の生活設計を考える上で、利用権方式の仕組みを正しく理解することは、安心して老後を送るための第一歩と言えるでしょう。