嘔吐

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嘔吐:原因と対処法

嘔吐とは、胃の中にあるものが口から勢いよく出てしまうことです。食べ物が消化される前に出てしまうこともあれば、胃液や胆汁などが混ざって出てくることもあります。嘔吐そのものは病気ではなく、様々な原因で起こる症状の一つです。 吐き出す前に感じる不快感や吐き気を催すことを嘔気、胃がむかむかする感覚を悪心と言い、実際に吐き出されたものを吐瀉物と呼びます。これらの言葉は、嘔吐にまつわる状況をより詳しく説明する際に使われます。 嘔吐は誰にでも起こりうることです。例えば、食べ過ぎや飲み過ぎ、乗り物酔い、つわり、精神的なストレス、激しい痛みなど、比較的よくある原因で起こることがあります。また、細菌やウイルスによる感染症、食中毒、脳の病気、消化器系の病気などが原因で起こることもあります。 嘔吐が一時的なものであれば、それほど心配する必要はありません。安静にして水分をこまめに摂ることで、自然と治まることが多いです。しかし、嘔吐が繰り返したり、長く続いたりする場合は注意が必要です。脱水症状になる危険性がありますし、隠れた病気の可能性もあります。 特に、吐瀉物に血が混ざっていたり、激しい頭痛や腹痛、意識障害などを伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。また、乳幼児や高齢者の場合は、脱水症状になりやすいので、嘔吐が続く場合は早めに医師の診察を受けましょう。自己判断で市販薬などを安易に使うのではなく、適切な診断と治療を受けることが重要です。
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イレウスの基礎知識

イレウスとは、食べた物が口から肛門まで移動する過程で、何らかの理由で腸の中をスムーズに通れなくなる状態を指します。詰まりが生じているイメージを持つ方もいるかもしれませんが、必ずしも物理的に腸が塞がっているとは限りません。腸の動きが悪くなって内容物が運ばれなくなってしまう場合もイレウスと呼ばれます。 日本語で「腸閉塞」と呼ばれることもありますが、この二つの言葉は完全に一致するわけではありません。腸閉塞は、腫瘍や癒着などによって腸管が物理的に狭くなったり、完全に閉じてしまったりしている状態を指します。一方イレウスは、腸閉塞に加えて、腸の動きが弱まり内容物が停滞する機能的な閉塞も含む、より広い概念です。例えば、お腹の手術後などに腸の動きが一時的に低下し、食べた物が腸内をスムーズに通過できない状態もイレウスに含まれます。 イレウスの原因は様々です。腸閉塞を引き起こす原因となる腫瘍や腸の癒着の他に、腸管がねじれる腸捻転、腸の一部が腹壁の隙間に入り込んでしまうヘルニアなどもイレウスの原因となります。また、腸の手術後や、腹膜炎、あるいは特定の薬の副作用によって腸の動きが低下し、イレウスを引き起こす場合もあります。 イレウスになると、腹痛、吐き気、嘔吐、便秘などの症状が現れます。腸が完全に閉塞している場合には、ガスや便が出なくなることもあります。イレウスは放置すると腸管が壊死したり、腹膜炎を起こしたりするなど、命に関わる危険な状態に進行することもあります。そのため、疑わしい症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
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吐き気にまつわるあれこれ

「吐き気」とは、胃の内容物を口から吐き出したいという不快な感覚のことです。多くの人が経験したことがある、あのむかむかする、胸のあたりから込み上げてくるような、何とも言えない気持ち悪さを指します。医学的には「悪心」や「嘔気」とも呼ばれ、実際に吐く、つまり「嘔吐」の前触れとして現れることも少なくありません。 吐き気自体は病気ではありませんが、体のどこかに異常が起こっているサインであることが多いです。例えば、食べ過ぎや飲み過ぎといった消化器系の問題、乗り物酔いのような平衡感覚の乱れ、あるいは精神的なストレスや緊張なども吐き気を引き起こす要因となります。また、妊娠初期のつわりで吐き気を覚える方も多くいらっしゃいます。さらに、脳腫瘍や髄膜炎といった深刻な病気の兆候として吐き気が現れる場合もありますので、吐き気が続く場合は医師の診察を受けることが大切です。 吐き気を和らげる方法としては、まず横になって安静にすることが有効です。冷たいタオルを額に乗せたり、ゆっくりと深呼吸をすることも効果的です。水分を少しずつ摂ることも大切ですが、冷たい飲み物や刺激の強いものは避けましょう。また、吐き気を誘発するような匂いや食べ物、光や音などから遠ざかることも重要です。市販の吐き気止め薬もありますが、自己判断で服用するのではなく、医師や薬剤師に相談の上、用法・用量を守って正しく使用してください。 吐き気は、その原因によって対処法が異なってきます。例えば、食べ過ぎによる吐き気であれば、消化を助けるような食事を心がけ、胃を休ませることが大切です。また、ストレスが原因の場合は、リラックスできる時間を作る、趣味に没頭するなど、ストレスを軽減するための工夫が必要です。原因が分からない、あるいは吐き気が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
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腸閉塞:その原因と症状

腸閉塞は、食物の通路である腸管が部分的あるいは完全に詰まり、便やガスがスムーズに排出されなくなる病気です。腸の内容物が先に進めなくなることで、様々な症状が現れます。主な症状としては、腹痛、吐き気、嘔吐、腹部膨満などがあります。 腸閉塞には、大きく分けて二つの種類があります。一つは「機械的腸閉塞」と呼ばれ、物理的な原因で腸管が閉塞するものです。例えば、過去の手術によって腸管同士が癒着して狭窄したり、腸管に腫瘍や炎症ができて閉塞を起こす場合があります。また、胆石や消化されなかった食物、誤飲した異物が腸管を詰まらせることもあります。さらに、腸の一部が飛び出すヘルニアによって腸管が圧迫されたり、腸がねじれたり、腸管が重なり合うことで閉塞が起こることもあります。 もう一つは「機能的腸閉塞」と呼ばれ、腸管自体には異常がないものの、腸の動きが悪くなることで内容物が停滞し、閉塞状態になるものです。これは、開腹手術後や腹膜炎を起こした後、あるいは脊髄損傷、精神的な病気などが原因で起こることがあります。腸の動きをコントロールする神経や筋肉の機能が低下することで、腸管の蠕動運動が阻害され、内容物がうまく運ばれなくなるのです。 腸閉塞は放置すると、腸管が壊死したり、脱水症状が重症化したりするなど、命に関わる危険な状態になる可能性があります。そのため、腹痛、吐き気、嘔吐、腹部膨満といった症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。早期発見と適切な治療によって、重症化を防ぐことができます。
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イレウスと腸閉塞の違いとは?

イレウスとは、食べ物が口から入って肛門から出るまでの消化管のどこかで、内容物がうまく流れなくなる状態です。食べ物がスムーズに腸を通過できない状態をイメージすると分かりやすいでしょう。よく「腸閉塞」と同じ意味で使われますが、イレウスの方がより広い意味を持っています。 イレウスは大きく分けて二つの種類に分けられます。一つは「機械的イレウス」で、これは文字通り、腸管が物理的に塞がれてしまうことで起こります。例えば、がんによって腸管内が狭くなったり、腸がねじれたり、腸の一部が腸の中に入り込んでしまう(腸重積)などが原因で、食べ物が物理的に通れなくなります。この「機械的イレウス」は、一般的に「腸閉塞」と呼ばれる状態とほぼ同じです。 もう一つは「機能的イレウス」で、こちらは腸管自体が塞がれているわけではないものの、腸の動きが悪くなることで内容物がうまく運ばれなくなる状態です。腸の動きが悪くなる原因は様々で、開腹手術後や腹膜炎などの炎症、特定の薬の副作用、あるいは加齢による腸の機能低下などが考えられます。また、腹部のけがや腎臓結石、肺炎といった一見腸とは関係のない病気でも、自律神経のバランスが崩れることで機能的イレウスが引き起こされることがあります。 イレウスになると、腹痛や吐き気、嘔吐、便秘といった症状が現れます。重症化すると、脱水症状や腸管の壊死などを引き起こし、命に関わることもあります。そのため、少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。早期発見と適切な治療によって、重症化を防ぐことができます。
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知っておきたいアカラシアの基礎知識

アカラシアは、食べ物を胃に運ぶ管である食道にある神経の働きが悪くなる病気です。食道は、食べた物を胃に送るために、伸び縮みする筋肉でできていますが、アカラシアになるとこの筋肉がうまく働かなくなり、食べ物がスムーズに胃に届かなくなります。 具体的には、食道と胃の境目にある食道下部括約筋という筋肉がうまく緩まなくなることが主な原因です。通常、私たちは食べ物を飲み込むと、この括約筋が緩んで食べ物を胃に通します。しかし、アカラシアの患者さんの場合、この括約筋が十分に緩まないため、食べ物が食道に溜まってしまい、なかなか胃に流れていかないのです。 その結果、食道は食べ物が詰まることで次第に伸びて広がり、食道内に食べ物の他に唾液なども溜まりやすくなります。胸やけや、食べた物が逆流してくる、飲み込みにくい、といった症状が現れます。 アカラシアは、あまり多く見られる病気ではありません。男女どちらにも起こりうる病気ですが、30歳から50歳代で発症する人が多いようです。 なぜアカラシアになるのか、はっきりとした原因はまだ分かっていません。生まれつきの体質や、自分の体の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患との関わり、また、ウイルス感染がきっかけとなる可能性なども考えられていますが、さらなる研究が必要です。 アカラシアは放っておくと徐々に悪化していく病気なので、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。