問題行動

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介護施設

認知症療養病棟:安心できる居場所

認知症療養病棟とは、介護療養型医療施設の一つで、在宅での暮らしや他の施設での療養が難しい認知症の高齢者を受け入れるための特別な施設です。身体的には寝たきりではないものの、徘徊や暴力、妄想といった精神症状や問題行動が見られる方が入所対象となります。 認知症療養病棟では、医療的な世話はもちろんのこと、精神的な世話にも力を入れています。認知症の方は、環境の変化やストレスによって症状が悪化することがあります。そのため、落ち着いた雰囲気の中で、一人ひとりの状態に合わせた丁寧なケアを提供することが重要です。具体的には、日常生活の援助として、食事や入浴、排泄の介助のほか、着替えや移動のサポートなどを行います。また、認知症の症状緩和のためのケアとして、音楽療法やレクリエーション、作業療法などを通して、心身機能の維持向上を図ります。さらに、精神症状や問題行動への対応として、薬物療法や行動療法などを用いて、症状の悪化を防ぎ、穏やかな生活を送れるように支援します。 認知症療養病棟には、医師や看護師、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士など、様々な専門職が配置されています。彼らは、それぞれの専門知識や技術を活かし、連携を取りながら、利用者の方々にとってより良いケアを提供できるように努めています。 認知症療養病棟は、認知症の高齢者が安心して暮らせる場所です。専門スタッフによる温かいケアと、充実した設備の中で、穏やかで質の高い生活を送ることができます。家族にとっても、安心して大切な人を預けることができる場所と言えるでしょう。
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問題行動への理解と対応

『問題行動』とは、認知症の高齢者の方や知的障害のある方などに見られる、周りの人にとって対応が難しい行動のことです。具体的には、徘徊、夜間のせん妄、失禁、暴力や暴言、性的な行動、不潔な行為、食事の異常、食べられないものを口にすること、物を盗られたと思い込むこと、物を集める癖などが挙げられます。これらの行動は、周りの人に大きな負担をかけるだけでなく、ご本人にとっても暮らしの質を下げることにつながる可能性があります。 大切なのは、これらの行動には必ず何らかの理由があると考えることです。『問題行動』と簡単に決めつけるのではなく、まずはその背後にある原因を探ることが大切です。 例えば、身体の不調や痛み、住む場所や周りの人の変化、意思の疎通の難しさ、過去のつらい経験などが背景にあるかもしれません。認知症の場合、脳の機能の低下によって、記憶や判断力が衰え、不安や混乱を感じやすくなります。その結果、落ち着かなくなって徘徊したり、夜にせん妄状態になったりすることがあります。また、周りの人の言葉が理解できず、不安や苛立ちから暴力や暴言につながることもあります。知的障害のある方の場合も、コミュニケーションの難しさや環境の変化への適応が困難なことが、行動に影響を与えることがあります。 原因を特定するためには、ご本人の様子をよく観察し、周りの人と情報を共有することが重要です。ご本人が言葉で伝えられない場合でも、表情や仕草、行動の変化から、何かを訴えている場合があります。また、日常生活の様子や過去の経験を知ることで、行動の背景にある気持ちや考えを理解することにつながります。焦らず、ご本人の立場に立って、何が原因でこのような行動をとっているのかを丁寧に探っていきましょう。そして、適切な対応策を考え、実行していくことが大切です。