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誤嚥性肺炎を予防するために

誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、つば、胃の中の液などが誤って気管に入り込み、肺に炎症を起こす病気です。 通常、私たちは物を飲み込む時に、のど仏が上がり、気管の入り口に蓋をする働きが自然と起こります。この反射によって、食べ物などが肺に入るのを防いでいるのです。しかし、加齢に伴う体の機能の衰えや、脳卒中などの病気の影響で、この飲み込む機能が低下することがあります。すると、本来食道へ送られるべきものが気管に入り込んでしまう「誤嚥」が起きやすくなります。 特にご高齢の方や、脳卒中の後遺症、パーキンソン病などの神経の病気を患っている方は、飲み込む力が弱くなりやすく、誤嚥性肺炎になる危険性が高まります。口の中に食べ物が残っていたり、うまく飲み込めなかったりする状態が続くと、細菌が繁殖しやすくなります。誤嚥した物の中に細菌が含まれていると、肺の中で炎症が広がり、肺炎へと発展します。 誤嚥性肺炎の初期症状としては、熱が出たり、咳が出たり、たんが絡んだり、息苦しさを感じたりすることが挙げられます。 肺炎が重症化すると、呼吸がうまくできなくなる呼吸不全や、血液に細菌が入り込んで全身に炎症が広がる敗血症を引き起こすこともあり、命に関わる危険な病気です。 普段から、食事の姿勢に気を付けたり、よく噛んでゆっくり飲み込むことを意識したりすることで、誤嚥を予防することができます。また、定期的な健康診断や、専門家による飲み込む機能の評価を受けることも大切です。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
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慢性気管支炎:咳や痰に隠れた危険

慢性気管支炎は、咳や痰などの症状が長期間続く病気です。医学的には、少なくとも一年に三か月以上、二年続けて咳や痰の症状が現れる場合に慢性気管支炎と診断されます。この病気は、肺に空気を送るための大切な通り道である気管支に炎症が起き、ねばねばした液である粘液が過剰に作られることが原因です。 気管支は、肺に空気を送るための重要な器官です。慢性的な炎症によって気管支の働きが弱まると、呼吸が苦しくなることがあります。初期の段階では、朝方に咳や痰が出やすい傾向がありますが、病気が進むにつれて一日中症状が現れるようになります。また、風邪などの感染症にかかりやすくなることもあります。 慢性気管支炎の主な原因の一つは喫煙です。たばこの煙には、気管支を刺激し炎症を起こす有害物質が多数含まれています。そのため、喫煙者は特に注意が必要です。受動喫煙も危険因子となるため、周囲の人の喫煙にも配慮することが大切です。その他、工場や車の排気ガスなどによる大気汚染や、特定の化学物質へのさらされ続けることも、発症の危険性を高める要因となります。 慢性気管支炎は、放っておくと息切れや呼吸困難などの症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。重症化すると、呼吸不全に陥ることもあり、入院が必要となるケースもあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。咳や痰が続く場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。医師の指示に従って治療を続けることで、症状の悪化を防ぎ、日常生活の質を維持することが期待できます。
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肺気腫:息苦しさの原因と対策

肺気腫は、肺の奥深くにある小さな空気の袋である肺胞が壊れてしまう病気です。 肺胞は、ブドウの房のように集まっており、呼吸をするたびに酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するという、私たちの体にとって非常に大切な役割を担っています。 この肺胞が壊れてしまうと、肺の弾力が失われ、呼吸がスムーズにできなくなります。例えるなら、風船がしぼんでいくように、肺が膨らみにくく、縮みにくくなるため、息を吸うのも吐くのも困難になります。そして、酸素を十分に取り込めなくなるため、常に息苦しさを感じ、日常生活にも大きな支障をきたすようになります。 階段の上り下りや少し速く歩いただけでも息切れがひどくなり、次第に入浴や着替えといった日常の動作さえも辛くなってしまうこともあります。 肺気腫は、主に喫煙が原因で発症すると言われています。 長年の喫煙によって肺胞が炎症を起こし、破壊されてしまうのです。その他にも、大気汚染や有害物質への曝露、遺伝的な要因などが発症リスクを高める可能性も指摘されています。 肺気腫は進行性の病気であり、一度壊れた肺胞は元に戻りません。そのため、早期発見と適切な治療が何よりも重要になります。初期段階では自覚症状がない場合も多いので、喫煙習慣のある方や息苦しさを感じる方は、早めに医療機関を受診し、肺機能検査などを受けることをお勧めします。 治療としては、薬物療法によって症状の進行を抑制したり、呼吸リハビリテーションによって呼吸機能の維持・向上を図ったりする方法があります。また、在宅酸素療法が必要となる場合もあります。症状が重篤化した場合には、外科手術が必要となるケースもあります。 禁煙は肺気腫の予防と進行抑制に最も効果的な方法です。 喫煙習慣のある方は、禁煙に挑戦し、肺の健康を守りましょう。そして、定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることが大切です。
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COPDと介護の関わり

慢性閉塞性肺疾患、いわゆるCOPDは、肺の慢性の病気です。この病気は、主にタバコの煙などの有害物質を長期間吸い続けることで引き起こされます。もちろん、タバコ以外にも、大気汚染や有害な粉塵への曝露なども原因となることがあります。これらの有害物質を吸い込むと、肺の中で炎症が起き、空気の通り道が狭くなってしまうのです。 COPDの主な症状は、咳や痰、そして息切れです。初期の段階では、これらの症状は軽く、日常生活に大きな影響がない場合もあります。しかし、病気が進行すると、少し体を動かしただけでも息切れが激しくなり、日常生活に支障をきたすようになります。例えば、階段の上り下りや買い物など、普段何気なく行っていたことができなくなることもあります。さらに症状が進むと、呼吸不全を起こし、酸素吸入が必要になることもあります。 COPDは完治することが難しい病気ですが、適切な治療を受けることで、症状の進行を遅らせ、日常生活の質を維持することが可能です。治療の中心となるのは、薬物療法です。医師の指示に従って、吸入薬や内服薬をきちんと服用することが大切です。また、呼吸リハビリテーションも効果的です。専門家の指導のもと、呼吸のトレーニングを行うことで、呼吸機能の改善や息切れの軽減が期待できます。 COPDは高齢者に多い病気であり、介護が必要となるケースも少なくありません。症状が進むと、日常生活の様々な場面で介助が必要になります。例えば、着替えや食事、入浴などの介助が必要になることがあります。また、呼吸が苦しい場合は、体位変換の介助をすることで、呼吸を楽にすることができます。COPDの介護においては、患者さんの状態をきちんと把握し、適切な介助を行うことが重要です。そして、患者さんにとって安心できる環境を整え、精神的なサポートもしていくことが大切です。