口腔外科

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医療

口蓋形成術:笑顔のために

口蓋裂とは、赤ちゃんの口蓋と呼ばれる、口の中の天井部分が、お母さんのお腹の中にいる間にうまくくっつかずに生まれてくる生まれつきの状態のことです。この口蓋は、鼻の奥と口の中を分けて、鼻の通り道と口の通り道を分ける大切な役割をしています。うまくくっついていないと、鼻と口がつながったままの状態になります。 口蓋は、私たちが言葉を話す時、食べ物を飲み込む時、そして呼吸をする時にとても重要な働きをしています。そのため、口蓋裂があると、これらの機能に影響が出てしまうことがあります。例えば、飲み物や食べ物が鼻に逆流してしまったり、うまく言葉が話せなかったり、耳の病気を繰り返すことがあります。鼻にミルクが逆流してしまうと、むせてしまうこともあり、赤ちゃんの成長にも影響を及ぼす可能性があります。 口蓋裂は、唇にも同様の症状が現れる口唇裂と同時に起こることも少なくありません。口唇裂は、いわゆる「みつくち」と呼ばれる状態で、見た目にも変化が現れます。 口蓋裂が起こる確率は、住んでいる地域や人種によって多少の違いはありますが、日本ではだいたい500人に1人くらいの赤ちゃんに起こると言われています。決して珍しい病気ではありません。 口蓋裂の正確な原因はまだはっきりと分かっていませんが、親から子へ伝わる遺伝的な要因と、お母さんの周りの環境や生活習慣といった環境要因の両方が複雑に関係していると考えられています。例えば、お母さんが妊娠中に十分な栄養を取れていなかったり、特定の薬を飲んでいた場合、あるいはウイルスに感染した場合などは、口蓋裂が起こる可能性が高くなると言われています。 口蓋裂は、赤ちゃんが生まれた直後の診察で見つかることがほとんどです。そして、早期に発見し、適切な治療を行うことがとても大切です。治療法としては、手術によって口蓋を閉じる手術や、言葉の練習を行う言語療法などがあります。適切な時期に適切な治療を受けることで、健やかに成長していくことが期待できます。