医療行為

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タッピング:呼吸を楽にする介助

「叩打法」とも呼ばれるタッピングは、手のひらを軽くカップ状にして、背部や胸部をリズミカルに叩く技術です。まるで太鼓を叩くときのように、手首のスナップをきかせながらリズミカルに行うことがポイントです。この振動によって、肺や気管支に溜まった痰や分泌物をゆるめ、排出を促す効果が期待できます。 呼吸器の病気などで、痰や分泌物の排出がうまくいかない場合、呼吸が浅くなったり、ゼイゼイと息苦しそうな様子が見られたりすることがあります。このような場合にタッピングを行うことで、呼吸を楽にする手助けとなることがあります。例えば、肺炎や気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった病気を持つ方にとって、タッピングは呼吸ケアの一環として重要な役割を果たすことがあります。 タッピングは医療現場だけでなく、在宅介護の場面でも広く活用されています。家族や介護者が、日常のケアの中でタッピングを行うことで、利用者の呼吸状態を良くし、生活の質を高めることに繋がります。痰が絡んで苦しそうな咳をしている時や、呼吸が浅く、息苦しそうな様子が見られる時に、背中や胸を優しく叩くことで、痰の排出を促し、呼吸を楽にする効果が期待できます。 ただし、タッピングはあくまでも補助的な方法であり、医療行為ではありません。正しく行わないと、逆に苦しさを増したり、痛みを与えてしまう可能性もあります。そのため、始める前には必ず医師や看護師、理学療法士など専門家の指導を受けることが大切です。叩く強さやリズム、位置などを適切に学ぶことで、より効果的に、そして安全にタッピングを行うことができます。自己流で行うのではなく、専門家の指導の下、適切な方法で行うようにしましょう。
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AラインとVラインの違い

「エーライン」とは、医療現場で「動脈ライン」と呼ばれる処置のことで、細い管を動脈に挿入する技術です。この管を通して、常に血圧を測ったり、血液を採取したりすることができます。 エーラインを設ける主な目的は、血圧を刻一刻と監視することです。血圧は、心臓や血管の状態を知る上で重要な指標であり、手術中や集中治療室にいる患者さんのように、容体が急変する可能性のある場合に、特にその変化を素早く捉えるために役立ちます。 この管から採取した血液は、「血液ガス分析」と呼ばれる検査にも用いられます。血液ガス分析では、血液に含まれる酸素や二酸化炭素の量、そして体の酸とアルカリのバランス状態を調べます。これらの情報は、呼吸や血液の循環がうまくいっているかを判断する材料となります。 エーラインの挿入は、医師だけでなく、特別な訓練を受けた看護師も行うことができます。管を入れる場所は、手首にある橈骨動脈、足の付け根にある大腿動脈、腕の上腕動脈などが一般的です。どの動脈を使うかは、患者さんの状態や必要な処置によって変わってきます。 エーラインは、患者さんの状態を詳しく知るための大切な手段です。得られた情報をもとに、より適切な治療や看護を提供することが可能になります。そのため、現代医療において欠かせない技術の一つと言えるでしょう。