医療施設

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介護施設

認知症療養病棟:安心できる居場所

認知症療養病棟とは、介護療養型医療施設の一つで、在宅での暮らしや他の施設での療養が難しい認知症の高齢者を受け入れるための特別な施設です。身体的には寝たきりではないものの、徘徊や暴力、妄想といった精神症状や問題行動が見られる方が入所対象となります。 認知症療養病棟では、医療的な世話はもちろんのこと、精神的な世話にも力を入れています。認知症の方は、環境の変化やストレスによって症状が悪化することがあります。そのため、落ち着いた雰囲気の中で、一人ひとりの状態に合わせた丁寧なケアを提供することが重要です。具体的には、日常生活の援助として、食事や入浴、排泄の介助のほか、着替えや移動のサポートなどを行います。また、認知症の症状緩和のためのケアとして、音楽療法やレクリエーション、作業療法などを通して、心身機能の維持向上を図ります。さらに、精神症状や問題行動への対応として、薬物療法や行動療法などを用いて、症状の悪化を防ぎ、穏やかな生活を送れるように支援します。 認知症療養病棟には、医師や看護師、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士など、様々な専門職が配置されています。彼らは、それぞれの専門知識や技術を活かし、連携を取りながら、利用者の方々にとってより良いケアを提供できるように努めています。 認知症療養病棟は、認知症の高齢者が安心して暮らせる場所です。専門スタッフによる温かいケアと、充実した設備の中で、穏やかで質の高い生活を送ることができます。家族にとっても、安心して大切な人を預けることができる場所と言えるでしょう。
医療

有床診療所とは?病院との違い

有床診療所とは、病気やけがの治療のため、患者さんが一定期間滞在し、医療サービスを受けられる、ベッドを備えた診療所のことです。簡単に言うと、宿泊可能な診療所です。規模は比較的小さく、厚生労働省の基準では、入院できる患者さんの数が19人以下と定められています。20人以上の患者さんを受け入れるには、病院としての認可が必要となります。 有床診療所は、病院と比べて規模が小さいため、地域に密着した医療の提供に力を入れています。患者さん一人ひとりの状態を把握し、きめ細やかなケアを提供できる点が大きな特徴です。地域のかかりつけ医として、健康診断や予防接種などの日常的な健康管理から、入院が必要な治療まで、幅広く対応しています。 入院できる患者さんの数は限られていますが、その分、医師や看護師など医療スタッフとの距離が近く、より親身な対応を受けられるというメリットがあります。また、大病院のような待ち時間の長さや、手続きの煩雑さに悩まされることも少ないでしょう。 有床診療所は、地域医療において重要な役割を担っています。高齢化社会の進展とともに、在宅医療との連携も強化され、自宅での療養が難しい場合の一時的な入院先としても活用されています。地域住民の健康を支える身近な医療機関として、今後ますますその存在意義が高まっていくと考えられます。
介護用品

転倒予防に!ルームシューズのススメ

家のなかで使う、専用の履き物のことをルームシューズといいます。形は靴に似ていて、スリッパと違ってかかとを覆うものがほとんどです。そのため、足全体を包み込むような形で、安定感があります。 お年寄りの転倒事故は、家の中で起こることがとても多いです。寝室や居間、廊下など、普段過ごす場所でよく発生しています。スリッパは脱げやすいので、つまずきの原因になることがあります。ルームシューズは足にぴったりとフィットし、脱げにくい構造なので、転倒の危険性を減らすことができます。 ルームシューズの底には、滑りにくい加工がされているものが多く、床の状態に関係なく、安全に歩くことができます。また、つま先が覆われているので、足の指を守ってくれます。小さな段差や物につまづいた時に怪我をするのを防ぎます。 冬は足元が冷えやすいですが、ルームシューズは保温性にも優れているので、冷え対策にもなります。 様々な素材やデザインのものがありますので、好みに合わせて選ぶことができます。足のむくみやすい方には、調整できるタイプのものもおすすめです。ルームシューズを選ぶ際には、サイズが合っているか、脱げにくいか、滑りにくいかといった点に注意しましょう。高齢者の方だけでなく、小さなお子さんや妊娠中の方など、転倒のリスクが高い方にもおすすめです。
医療

集中治療室:生命を守る最前線

集中治療室(ちゅうしゅうちりょうしつ)、略して「集中治療室」とは、生命の危険にさらされるほど状態の重い患者さんを、集中的に治療し、管理する特別な部屋のことです。生命維持に欠かせない呼吸、血液の循環、代謝といった機能が著しく低下している患者さんを受け入れ、昼夜を問わず常に状態を監視しながら治療を行います。まるで、患者さんの体を守り、回復へと導く砦のような場所です。 この部屋には、人工呼吸器や血液浄化装置など、高度な医療機器が備えられています。これらの機器を扱うには、専門的な知識と技術が必要です。ですから、集中治療室には、医師や看護師をはじめ、臨床工学技士や薬剤師など、専門的な技術を持った医療スタッフが常に待機しています。彼らは、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、きめ細やかな医療を提供し、救命と機能の回復を目指します。まるで、患者さんの体を守るため、力を合わせた精鋭部隊のようです。 集中治療室は、一般病棟とは異なり、誰でも入れるわけではありません。入室できる患者さんは、集中治療室での専門的な治療や看護ケアを必要とする重篤な状態の方に限られています。そのため、入室基準が厳格に定められており、専門の医師が入室の必要性を判断します。これは、限られた資源の中で、より多くの命を救うために必要な措置です。 集中治療室は、患者さんにとって、まさに生命の瀬戸際を乗り越えるための大切な場所です。そして、医療スタッフにとっては、持てる知識と技術のすべてを注ぎ込み、患者さんの回復を願う場所でもあります。
通所による介護

在宅介護者のためのデイホスピタル

デイホスピタルとは、住み慣れた家で暮らし続けたいけれど、医療や支えが必要な方々が、日帰りで通い、様々なサービスを受けられる施設です。例えば、高齢で介護が必要な方、病気や怪我からの回復を目指す方などが利用しています。 朝はご自宅から送迎車などでデイホスピタルへ行き、夕方には再び家へ帰るという流れで、一日の間、看護師や療法士など専門家によるケアを受けることができます。まるで病院のように泊まる必要がないため、これまでの暮らしを続けながら、必要な医療やリハビリを受けることができるのです。 デイホスピタルでは、一人ひとりの状態に合わせた計画が立てられます。医師の指示のもと、看護師による健康チェックや、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション、栄養バランスのとれた食事の提供、ゆったりと入浴できる介助など、多様なサービスが提供されます。 デイホスピタルに通うことで得られるメリットは様々です。身体機能の維持・向上はもちろんのこと、他の利用者や職員との交流を通して、社会とのつながりを感じ、気持ちも前向きになることができます。また、介護をされているご家族にとっても、日中の介護負担が軽くなり、休息の時間を持つことができるため、介護する側、される側双方にとって心強い存在と言えるでしょう。 近年、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることを目指す「地域包括ケアシステム」という考え方が広まっています。その中で、デイホスピタルは在宅医療を支える重要な役割を担っており、今後ますます必要とされる施設と言えるでしょう。