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新オレンジプラン:認知症の人と共に生きる社会へ

高齢化が進むにつれて、認知症は社会全体の大きな課題となっています。認知症は、本人の生活の質を低下させるだけでなく、家族の負担を増やし、社会保障費の増加にもつながるなど、様々な影響を及ぼしています。このような状況を踏まえ、認知症の人が安心して暮らせる社会を作るために、国を挙げて対策に取り組む必要性が生じました。 以前から認知症対策の計画はありましたが、社会の変化に合わせてより効果的な対策を行うために、新たな計画が必要となりました。そこで、これまでの計画を改め、2015年に新オレンジプランが策定されました。この計画は、認知症の人とその家族が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会の実現を目的としています。 新オレンジプランの特徴は、様々な分野が連携して包括的な支援体制を構築することです。医療機関での診察や治療だけでなく、介護サービスの提供、福祉の支援、地域社会での理解と協力など、様々な側面からの支援が必要です。具体的には、認知症の早期発見と早期診断を推進し、適切な医療や介護サービスを提供することで、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することを目指します。また、認知症の人々が地域社会で孤立することなく、生きがいを持って生活できるよう、地域住民の理解を深める活動や、認知症の人々が参加できる活動の場作りなども推進します。さらに、認知症の予防にも力を入れており、健康的な生活習慣の普及啓発などを通じて、発症リスクの低減を目指します。 新オレンジプランは、2015年度から2019年度までの5年間の計画でしたが、その理念と施策は現在も引き継がれており、様々な認知症対策の土台となっています。今後も、この計画を基盤として、より良い支援体制の構築に向けて、関係機関が協力して取り組んでいくことが重要です。