健康状態

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医療

見過ごせない内傷のサイン

内傷とは、体の表面に傷がないにもかかわらず、体の中に不調が現れる状態のことを指します。例えば、転んだり、ぶつけたりした際に、皮膚に切り傷や擦り傷などの外傷がない場合でも、体の中では様々な変化が起こっている可能性があります。このような外から見えない傷を内傷と呼びます。 内傷は、実に様々な症状で現れます。なんとなく体がだるい、疲れやすいといった倦怠感や、食欲が落ちてしまう食欲不振、吐き気がする、頭が重く感じる、クラッとするめまい、心臓がドキドキする動悸、息苦しさを感じる息切れ、お腹が痛い腹痛、頭が痛い頭痛など、実に多様です。これらの症状は一時的に現れることもあれば、長く続くこともあります。また、症状の重さにも個人差があり、軽い不調から日常生活に支障が出るほどの強い痛みまで様々です。 内傷の原因も様々です。強い衝撃を受けた、重いものを持ち上げた、無理な姿勢を長時間続けた、冷え、疲労の蓄積、精神的なストレスなど、様々な要因が考えられます。内傷は外傷のように目に見えないため、見過ごされやすいという特徴があります。「少し休めば大丈夫だろう」と安易に考えて放置してしまうと、症状が悪化したり、他の病気を引き起こしたりする可能性も否定できません。 内傷は、重大な病気の初期症状である場合もあります。いつもと違う体の変化、いつもと違う体の痛みを感じたら、「気のせいかな」と軽く考えずに、早めに医療機関を受診することが大切です。自分自身で判断して放置するのではなく、医師や看護師などの専門家の診察を受け、適切な助言や治療を受けることで、早期発見・早期治療につながり、重症化を防ぐことにつながります。健康に不安を感じたら、我慢せずに、相談できる人に話を聞いてもらったり、医療機関に相談するようにしましょう。
健康の維持

低血圧の症状と対処法

低血圧とは、血液が血管壁を押す力が通常よりも弱い状態を指します。血圧の値で言うと、上の血圧(収縮期血圧)が120mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)が80mmHg未満とされることが多いですが、低血圧の診断に明確な数値の基準はありません。一般的には、血圧が低いことで立ちくらみ、めまい、ふらつき、動悸、息切れ、倦怠感などの症状が現れる場合に低血圧と診断されます。 人の血圧は常に一定ではなく、時間帯や活動量、体の姿勢、心の状態などによって変化します。一時的に血圧が低くなることは誰にでも起こり得ますが、常に低い状態が続く場合は注意が必要です。低血圧には、他の病気が原因で起こる場合と、原因となる病気が特にない本態性低血圧があります。本態性低血圧は体質によるものと考えられており、症状が軽い場合は治療の必要はありません。しかし、日常生活に支障が出るほど症状が重い場合は、生活習慣の改善や薬による治療を検討する必要があります。 低血圧を引き起こす原因は様々です。血液中の赤血球が不足する貧血や、体内の水分が不足する脱水症状、体の機能を調整する自律神経の乱れなどが挙げられます。また、服用している薬の副作用として低血圧が現れることもあります。 低血圧の症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。医師による適切な診察と検査を受け、原因に応じた治療を受けることが大切です。早期に適切な対応をすることで、症状の改善や重症化の予防につながります。日頃から、規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動を心がけ、健康管理に努めることも重要です。
医療

吐き気にまつわるあれこれ

「吐き気」とは、胃の内容物を口から吐き出したいという不快な感覚のことです。多くの人が経験したことがある、あのむかむかする、胸のあたりから込み上げてくるような、何とも言えない気持ち悪さを指します。医学的には「悪心」や「嘔気」とも呼ばれ、実際に吐く、つまり「嘔吐」の前触れとして現れることも少なくありません。 吐き気自体は病気ではありませんが、体のどこかに異常が起こっているサインであることが多いです。例えば、食べ過ぎや飲み過ぎといった消化器系の問題、乗り物酔いのような平衡感覚の乱れ、あるいは精神的なストレスや緊張なども吐き気を引き起こす要因となります。また、妊娠初期のつわりで吐き気を覚える方も多くいらっしゃいます。さらに、脳腫瘍や髄膜炎といった深刻な病気の兆候として吐き気が現れる場合もありますので、吐き気が続く場合は医師の診察を受けることが大切です。 吐き気を和らげる方法としては、まず横になって安静にすることが有効です。冷たいタオルを額に乗せたり、ゆっくりと深呼吸をすることも効果的です。水分を少しずつ摂ることも大切ですが、冷たい飲み物や刺激の強いものは避けましょう。また、吐き気を誘発するような匂いや食べ物、光や音などから遠ざかることも重要です。市販の吐き気止め薬もありますが、自己判断で服用するのではなく、医師や薬剤師に相談の上、用法・用量を守って正しく使用してください。 吐き気は、その原因によって対処法が異なってきます。例えば、食べ過ぎによる吐き気であれば、消化を助けるような食事を心がけ、胃を休ませることが大切です。また、ストレスが原因の場合は、リラックスできる時間を作る、趣味に没頭するなど、ストレスを軽減するための工夫が必要です。原因が分からない、あるいは吐き気が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
医療

深刻化するるい痩:その実態と対策

るい痩とは、見た目にわかるほどの痩せを指すだけでなく、病気が原因で脂肪や筋肉が極端に減ってしまう深刻な状態です。体重が減るだけでなく、食欲がなくなり、体が弱って疲れやすくなるといった症状も伴います。 るい痩は、がん、後天性免疫不全症候群、慢性閉塞性肺疾患、心不全といった長く続く病気とともに起こることが多いです。病気が進むにつれて、るい痩も進んでしまう傾向があります。病気によって栄養の吸収が妨げられたり、炎症によって代謝が上がったりすることで、体が使うエネルギーが食事から摂るエネルギーよりも多くなり、結果としてるい痩の状態になります。 るい痩は、単に痩せて見えるだけではありません。抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなるほか、生活の質を下げるなど、様々な悪い影響を与える可能性があります。そのため、早く見つけて適切な対処をすることが大切です。また、るい痩は、ただ栄養が足りていないのとは違い、普通の食事療法だけでは良くならない場合が多く、専門的な治療が必要になることもあります。 特に、高齢者は体の機能が衰えやすいため、るい痩の危険性が高まります。加齢による体の変化も重なり、るい痩になりやすい状態にあるため、注意が必要です。病気そのものの治療に加えて、るい痩への対策も同時に行うことが、患者さんの生活の質を維持し、病気の経過を良くするために欠かせません。 るい痩は、ただの体重減少ではなく、その後の命に関わる重要な症状として捉える必要があります。医療関係者だけでなく、患者さん自身や家族もるい痩について正しく理解し、適切な支え合う体制を作る事が大切です。
医療

生命徴候:命のサインを見守る

生命徴候とは、人が生きている証となる身体の兆候のことです。具体的には、脈拍、呼吸、血圧、体温といった身体の状態を示す数値を指し、これらをまとめて生命徴候と呼びます。これらの数値は、生命維持に欠かせない機能がきちんと働いているかどうかのサインとなるため、「バイタルサイン」とも呼ばれています。 生命徴候は、常に変化する身体の状態を映し出す鏡のようなものです。健康状態を把握する上で非常に重要な情報であり、病気の早期発見にも役立ちます。例えば、体温が急に高くなれば感染症の可能性を、脈拍が異常に速くなれば心臓に負担がかかっている可能性を考えられます。また、治療の効果を判断するためにも、生命徴候の変化をみることは欠かせません。薬の効果が出ているか、治療方針を変更する必要があるかなどを判断する材料となります。 医療の現場だけでなく、介護の現場でも生命徴候の観察はとても大切です。高齢の方や病気を持つ方は、身体の状態が変化しやすい傾向があります。そのため、日頃から注意深く観察し、異変があればすぐに対応することが必要です。例えば、呼吸が苦しそうだったり、顔色が悪かったりするなど、数値に表れない変化にも気を配ることが重要です。食事の量や睡眠の状態なども観察し、少しでも気になることがあれば記録しておきましょう。 生命徴候に急激な変化があったり、いつもと違う値を示したりする場合は、重大な病気の兆候である可能性があります。そのような場合は、自己判断せずに、すぐに医師や看護師に報告することが大切です。速やかな対応が、命を守ることに繋がる場合もあります。普段から生命徴候を把握しておき、変化に気づけるようにしておくことが重要です。
健康の維持

命のサイン:バイタルサインを知ろう

いのちのしるしを読み解くことは、健康を保つ上でとても大切です。まるで体が語りかけているかのように、様々な兆候から健康状態を知ることができます。このいのちのしるしは「バイタルサイン」とも呼ばれ、主に五つの要素からなります。 一つ目は呼吸です。私たちは空気を吸って、生きていくために必要な酸素を取り込んでいます。呼吸の状態を観察することで、肺や心臓などの働き具合を知ることができます。呼吸の回数、深さ、そしてリズムに注目し、いつもと違う様子がないか確認しましょう。 二つ目は体温です。体温は体の内部の温度を示しています。体温の変化は、感染症など体の異変を知らせる大切なサインです。平熱を知っておき、少しでも変化があれば注意深く観察することが重要です。 三つ目は血圧です。血圧は血液が血管を流れる際の圧力のことで、心臓の働き具合や血管の状態を知る手がかりとなります。血圧が高すぎても低すぎても体に負担がかかりますので、定期的に測ることが大切です。健康診断などで自分の平常時の血圧を把握しておきましょう。 四つ目は脈拍です。脈拍は心臓が血液を送り出すリズムのことです。脈の速さや強さを確認することで、心臓の状態を把握することができます。安静時の脈拍数を把握しておくと、体調の変化に気づきやすくなります。 五つ目は血中酸素飽和度です。これは、血液中の酸素の割合を示す数値です。呼吸器や循環器の機能を知る上で重要な指標となります。最近では、手軽に測れる機器も普及していますので、活用してみましょう。 これらの五つの要素を総合的に見て、体の状態を判断します。日頃から自分のバイタルサインを把握しておき、変化に気づくことで、早期に異常に気づき、適切な対応をすることができます。まるで体の声に耳を傾けるように、これらのサインを読み解くことで、健康を守り、より良く生きていくことができるのです。