体圧分散

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シーティング:快適な座り姿勢の探求

シーティングとは、主に体の不自由な方の暮らしを支える場面で役立てられている考え方と技術です。その一番の目的は、その方に楽に座ってもらうことにあります。ただ椅子に座らせるだけではなく、その方の体の状態や生活の場に合わせて、一番良い姿勢を見つけることで、心地よく座れるように手助けをします。 適切なシーティングを行うことで、体の歪みを少なくし、褥瘡(床ずれ)を防ぐことに繋がります。また、呼吸がしやすくなったり、食べ物を飲み込みやすくなったりするなど、体の働きを良くする効果も期待できます。さらに、日常生活での動作がしやすくなるといった良い影響も出てきます。 シーティングは、一人ひとりの体の特徴に合わせた座り方を提案することを大切にしています。例えば、背中の丸まり具合や足の開き具合、腕の位置などを細かく調整することで、その人に合った、まるで誂えたような座り心地を実現します。椅子に座る姿勢一つで、体の負担を軽くし、活動しやすくなるだけでなく、気持ちも前向きになれるよう支援するのがシーティングの大切な役割です。体の不自由な方が、より快適で豊かな生活を送れるよう、シーティングは様々な形で貢献しています。
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エアマット:床ずれ予防の必需品

床ずれ、正式には褥瘡(じょくそう)と呼ばれるこの症状は、長時間にわたり同じ体勢を続けることで発生します。特に寝たきりの方の場合、自力で体勢を変えることが難しいため、体重によって特定の部位が圧迫され続け、血流が阻害されます。血流が悪くなると、皮膚や皮下組織への酸素供給や栄養補給が滞り、最終的には組織が壊死に至ります。 褥瘡は、骨が突出している部分にできやすいという特徴があります。具体的には、かかと、仙骨(尾てい骨の上)、くるぶし、ひじ、肩甲骨などが代表的な発生部位です。これらの部位は、皮膚の下にある骨との間にクッションとなる組織が薄いため、圧迫の影響を受けやすいのです。初期症状としては、皮膚の赤みやしこりが見られます。放置すると、皮膚が紫色に変色したり、水ぶくれができたり、潰瘍化することもあります。重症化すると、感染症を引き起こし、発熱や敗血症などの全身症状が現れることもあります。最悪の場合、生命に関わる危険性もあるため、早期発見と適切な対処が不可欠です。 褥瘡の予防には、体位変換が非常に重要です。2時間ごとに体勢を変えることで、圧迫を分散し、血流を維持することができます。また、栄養状態の改善も重要です。皮膚や組織の健康を保つためには、バランスの取れた食事を摂り、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを十分に摂取する必要があります。さらに、清潔な状態を保つことも大切です。皮膚を清潔にし、乾燥を防ぐことで、褥瘡のリスクを軽減できます。日々のスキンケアや適切な保湿も効果的です。褥瘡の予防と早期発見には、家族や介護者の注意深い観察と適切なケアが欠かせません。少しでも異変に気づいたら、すぐに医療機関に相談することが大切です。
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水に浮かぶ心地よさ:ウォーターベッド

水のベッドとは、水の入った袋状の容器を土台に設置して使うベッドのことです。この袋状の容器は、丈夫で破れにくい合成樹脂で作られています。水に体を浮かせるようにして眠るため、従来のベッドとは違う、まるで水に浮かんでいるような独特の感覚を味わえます。 この水の浮力こそが水のベッドの最大の特徴であり、様々な利点につながります。一般的なマットレスでは、どうしても体の特定の場所に体重が集中してしまい、圧迫されてしまいます。しかし、水のベッドは体の重さを水全体で支えるため、特定の場所に負担が集中することがありません。そのため、腰や肩など、体の痛みに悩んでいる方にとって、水のベッドは楽に眠れる良い選択肢となります。また、寝返りが少ない方や、同じ姿勢で長時間寝ていることが多い方にも、水のベッドはおすすめです。 さらに、水は温まりにくく冷めにくいという性質を持っています。そのため、冬は温かく、夏は涼しく、一年を通して快適な温度で眠ることができます。一度温まった水はなかなか冷めないため、冬の寒い時期でも布団に入った瞬間から暖かさを感じられます。また、夏は水が熱を吸収してくれるので、ひんやりと快適に眠ることができます。 このように、水のベッドは独特の浮遊感と、体への負担が少ないという特徴から、快適な睡眠を求める方にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。体の痛みを和らげたい方や、より良い睡眠環境を求めている方は、一度水のベッドを試してみてはいかがでしょうか。
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ティルト型車いす:その機能と利点

ティルト型車いすとは、座面と背もたれが一体となって傾斜する特殊な車いすです。まるでゆりかごのように、座ったままの状態で傾けることができるため、通常の車いすでは長時間座っていることが難しい方にとって、大きな助けとなります。 この車いすは、特に座位の保持が困難な方にとって大変有用です。例えば、重度の身体の麻痺や筋力の低下により、姿勢を自分で維持することが難しい方の場合、ティルト機能によって楽な姿勢を保つことができます。また、関節が硬くなって動きにくくなる拘縮の症状が強い方にも適しています。座面を傾けることで、圧力が分散され、特定の部位に負担が集中することを防ぐことができるからです。 ティルト型車いすを使うことで得られる利点は様々です。まず、床ずれ(褥瘡)の予防に効果的です。同じ姿勢を長時間続けると、体重で圧迫された部分の血行が悪くなり、皮膚が損傷する恐れがあります。ティルト機能を使って定期的に姿勢を変えることで、圧迫を軽減し、床ずれの発生リスクを低減できます。また、呼吸機能の改善にもつながります。傾斜した姿勢は、横隔膜の動きをスムーズにし、呼吸をしやすくする効果が期待できます。さらに、食事の際にも、傾斜によって食べ物を飲み込みやすくする効果があります。 介護をする側の視点からも、ティルト型車いすは多くのメリットがあります。姿勢の調整や移乗介助の負担を軽減できるため、介護者の身体的な負担を軽くすることができます。また、利用者の快適性を高めることで、介護者と利用者の間の良好な関係を築くことにも役立ちます。