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若年性認知症:働き盛りの異変
若年性認知症とは、一般的に仕事や子育てといった社会活動の盛んな18歳から64歳までの間に発症する様々な種類の認知症の総称です。高齢者の認知症と同様に、もの忘れがひどくなる、状況を判断する力が弱まる、性格や行動に変化が見られるなど、様々な症状が現れます。
原因となる病気は、アルツハイマー型認知症や脳の血管が詰まったり破れたりする脳血管疾患、レビー小体型認知症など様々で、高齢者の認知症と同じ病気が原因となる場合も少なくありません。しかし、若年性認知症の場合、仕事や子育て、家族の世話など、様々な責任を担っている時期に発症することが多く、日常生活や社会生活への影響は非常に大きいという特徴があります。仕事を続けることが難しくなったり、家事や育児に支障が出たり、経済的な問題に直面したりするなど、生活が一変してしまうことも少なくありません。
また、若年性認知症は周囲の理解を得にくいという特有の難しさも抱えています。認知症は高齢者の病気というイメージが強く、働き盛りの人が認知症になることは想像しにくいからです。そのため、周囲から怠けている、やる気がないなどと誤解され、適切な支援を受けられない場合もあります。さらに、医療機関を受診しても、すぐに若年性認知症と診断されないケースも見られます。うつ病などの他の病気と間違われたり、症状が軽く見過ごされたりすることで、診断が遅れ、適切な治療の開始が遅れてしまう可能性もあるのです。厚生労働省の調査によると、国内には数万人の患者がいると推定されており、決して珍しい病気とは言えません。働き盛りの人々が突然病気に襲われ、人生が大きく変わってしまう現実があることを、私たちはもっと深く認識する必要があるでしょう。