
ヒヤリハットで事故を防ごう
「ヒヤリハット」とは、介護の現場で起こる「ひやりとした」「はっとした」出来事のことです。これは、実際に事故にはならなかったものの、一歩間違えれば大きな事故につながっていたかもしれないという事例を指します。高齢者の生活を支える介護の現場では、様々な危険が潜んでおり、常に注意が必要です。
高齢者の身体機能の低下は、ヒヤリハットの大きな要因の一つです。例えば、立ち上がろうとした際にふらついて転びそうになる、歩行中につまずく、などが挙げられます。これらの動作は、普段私たちにとっては簡単に行えるものですが、加齢に伴い筋力が衰えたり、バランス感覚が鈍ったりすることで、高齢者にとっては大きな危険となります。また、視力の低下や反応速度の遅れも、ヒヤリハットにつながる可能性があります。
認知症も、ヒヤリハットの発生に大きく関わる要素です。認知症の高齢者は、判断力や記憶力が低下しているため、危険な行動をとってしまうことがあります。例えば、火のついたコンロを触ってしまう、熱い湯を浴びてしまう、徘徊して行方不明になってしまう、といった事例が考えられます。このような状況は、本人だけでなく、周りの人々にも大きな不安や負担を与えます。
食事に関わるヒヤリハットも少なくありません。噛む力や飲み込む力が弱くなっている高齢者は、食事中にむせたり、食べ物を詰まらせてしまったりする危険があります。誤嚥性肺炎は、高齢者の命に関わる重大な病気の一つであり、食事介助の際には細心の注意が必要です。
ヒヤリハットを記録し、分析することは、介護の質の向上に不可欠です。なぜその出来事が起こったのか、どうすれば防げたのかを検討することで、再発防止策を立てることができます。また、ヒヤリハットの情報を共有することで、他の職員も同じミスを繰り返さないように注意することができます。ヒヤリハットを「ただの偶然」で済ませず、真摯に受け止め、改善につなげる姿勢が、安全な介護環境を実現するために重要です。