介護費

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応益負担:その仕組みと課題

応益負担とは、受けたサービスの量や質に応じて費用を負担する仕組みのことです。簡単に言うと、サービスをたくさん使えば費用も多くなり、質の高いサービスを受ければ、それだけ多くの費用を負担することになります。この仕組みは、受益者負担とも呼ばれ、利用者自身が受けたサービスの恩恵に見合った金額を支払うという考え方に基づいています。 例えば、同じ施設でも個室を利用する場合と相部屋を利用する場合では、個室の方が快適性やプライバシーの面で質が高いとされます。そのため、個室の方が費用が高く設定されていることが多いです。また、訪問介護サービスを利用する場合、1時間利用するよりも2時間利用する方が費用は高くなります。このように、サービスの量や質に応じて費用が変わるのが応益負担の特徴です。 応益負担は、税金などに見られる応能負担とは大きく異なります。応能負担は、所得に応じて負担額が決まる仕組みです。収入が多い人はより多くの税金を負担し、収入が少ない人は少ない税金を負担します。つまり、個人の支払い能力に応じて負担額が調整されます。一方、応益負担はサービスの利用状況が負担額に直結するため、収入の多寡は関係ありません。サービスを多く利用した人は、収入に関わらず多くの費用を負担することになります。 私たちの身近な例では、医療費の自己負担割合や介護保険サービスの一部負担金などが応益負担に該当します。病院で診察を受けた際、医療費の一部を自己負担しますが、これは受診した医療サービスの対価を支払っていることになります。また、介護保険サービスを利用する場合も、利用したサービスに応じて費用の一部を負担します。 応益負担は、自分が受けたサービスの対価を支払うという点で、公平な負担方法と言えるでしょう。利用していないサービスの費用を負担することはありませんし、受けたサービスの量や質に見合った費用を負担することで、サービスの持続可能性を確保することにも繋がります。