人間関係

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エニアグラム:9つのタイプで自分を知る

エニアグラムとは、人の性格を九つに分けて、それぞれの持ち味や行動のくせを細かく調べていく方法です。古い時代からの知恵をもとに整理されたと言われており、今では自分自身を知るためや人付き合いの向上、仕事での指導力などを高めるために、いろいろな場面で使われています。エニアグラムは、ただ性格を調べるだけの道具ではなく、自分を成長させるための道しるべとなるものです。自分のタイプを知ることで、自分の良いところや苦手なところ、考え方のくせ、行動のくせなどを客観的に見つめ直し、より良い人間関係を作ったり、自分の目標を達成することに繋げることができます。 九つのタイプはそれぞれがバラバラに存在しているのではなく、お互いに影響し合い、複雑に関係し合っています。ですから、自分のタイプだけでなく、他の八つのタイプの特徴についても知ることが大切です。そうすることで、周りの人への理解も深まり、スムーズな話し合いができるようになります。また、エニアグラムで決められたタイプは変わることはありませんが、成長や変化によって、タイプの持ち味が変わっていくこともあるというのも面白いところです。例えば、もともとは引っ込み思案なタイプの人が、経験を重ねることで、人前に出るのが得意になるといった変化も起こり得ます。年齢を重ねたり、様々な経験をすることで、自分自身の性格も少しずつ変化していくように、エニアグラムのタイプも固定されたものではないのです。 つまり、エニアグラムは自分自身を深く知るための、生涯を通して学び続けるための道具と言えるでしょう。自分自身と向き合い、理解を深めることで、より豊かな人生を送るためのヒントを与えてくれる、そんな魅力にあふれた体系です。
介護職

人間らしさを取り戻すケア:ユマニチュード

ユマニチュードは、フランスのイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が創始した、認知症の方への新しいケアの方法です。この方法は、世界中で関心を集めており、その効果は容易にそして短時間で現れると言われています。ユマニチュードの大切な点は、認知症の方を病気として見るのではなく、一人の人間として敬い、心を通わせることを大切にしている点です。この人間中心の考え方は、世をする側とされる側の両方に、穏やかで良い関係を作る助けとなります。 従来の世話では、認知症の症状ばかりに目が行きがちでした。しかし、ユマニチュードは、その人自身の人間性、気持ち、そして人生で経験してきたことを大切にします。それは、まるで長年の友達と語り合うように、相手のこれまでの人生に寄り添い、共感し、理解しようとする態度です。このような温かいまなざしを通して、認知症の方々は、自分が大切にされていると感じ、安心感と自信を取り戻すことができるのです。 ユマニチュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を基本としています。見る際には、相手の目を見て、1メートル程の距離を保ち、正面から優しく声をかけます。触れる際には、手のひら全体を使って包み込むように優しくゆっくりと触れます。これらの具体的な方法を通して、認知症の方の不安や混乱を和らげ、穏やかな時間を過ごすことができます。 ユマニチュードは、単なる技術の集まりではなく、世話をする人自身の心の持ちよう、相手への接し方、そして伝えあい方を変える考え方とも言えます。それは、世話をする場所に、人間らしさを取り戻すための、そして、世話をする人とされる人の間に、本当の信頼関係を作るための、画期的な方法なのです。
介護施設

なじみ感で認知症ケア

『なじみ感』とは、認知症の方が安心して穏やかに過ごせるように、日常生活の中で親しみを感じていた環境や人間関係を再現する介護の方法です。 認知症の方は、記憶力や判断力が下がるにつれて、見慣れない場所や人に不安を感じやすくなります。いつもの道が分からなくなったり、家族の顔を忘れてしまったりすることで、強い不安や恐怖を感じることがあります。このような不安は、混乱して徘徊してしまったり、周りの人に攻撃的な態度をとってしまったりすることにつながることもあります。 なじみのある環境や人々に囲まれることで、認知症の方は安心感を得て、心穏やかに過ごすことができます。懐かしい家具や道具、よく聞いていた音楽、慣れ親しんだ匂いなどは、記憶の奥底にある感情や記憶を呼び覚ます効果があります。脳の機能が低下していても、これらのなじみ深い刺激は脳に届き、楽しかった記憶や大切な人との思い出を蘇らせるのです。まるで、昔に戻ったかのような感覚を味わうことで、不安や混乱が和らぎ、穏やかな表情を取り戻すことがあります。 なじみ感を高めるためには、様々な工夫をすることができます。例えば、若い頃に暮らしていた家の雰囲気を再現するために、当時の家具や写真を飾ったり、好きな音楽を流したり、思い出の料理を作ったりすることができます。また、昔話に付き合って、昔の記憶を一緒にたどることも効果的です。大切なのは、その人にとって本当に『なじみ深い』ものに触れる機会を作ることです。一人ひとりの人生経験や好みに合わせた、丁寧な対応が必要となります。 なじみ感を大切にした介護は、認知症の方の不安や混乱を軽減し、穏やかで豊かな時間を過ごすための、大切な支援となるでしょう。