リハビリ

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健康の維持

関節の動きやすさ:可動域を知ろう

体の関節がどの程度動くのかを示す言葉として、「可動域」というものがあります。専門的には「関節可動域」と呼ばれ、略して「ROM」と表記されることもあります。この可動域は、関節を動かすことができる範囲や角度を表しています。 私たちの体は、歩く、物を掴む、体を捻るといった日常の動作をスムーズに行うために、様々な関節を動かしています。関節が滑らかに動くことで、私たちは不自由なく生活を送ることができるのです。この関節の動きの範囲こそが可動域であり、健康的な生活を送る上で非常に大切な要素となります。 しかし、加齢や病気、怪我などによって、この可動域は狭くなってしまうことがあります。例えば、同じ姿勢を長時間続けるデスクワークや運動不足が続くと、関節周辺の筋肉や組織が硬くなり、関節の動きが悪くなってしまいます。また、骨折や脱臼、靭帯を損傷する怪我なども可動域を狭める原因となります。さらに、やけどや外傷、神経麻痺といった神経の病気も可動域に影響を与える可能性があります。 可動域が狭まると、日常生活に様々な支障が出てきます。例えば、服を着たり脱いだり、食事をしたり、トイレに行ったり、お風呂に入ったりといった基本的な動作が難しくなります。また、趣味やスポーツを楽しむことも難しくなってしまうかもしれません。洋服のボタンを留める、箸を使って食事をする、といった些細な動作も、可動域が狭まると困難になることがあります。 もしも、自分の可動域に変化を感じたら、早めに医療機関やリハビリテーション施設に相談することが大切です。専門家の適切な指導を受けることで、可動域の改善や維持に取り組むことができます。自分の体の状態を把握し、健康な生活を送りましょう。
医療

横骨折:まっすぐ折れる骨折

横骨折とは、骨が長さと直角の方向、つまり横に折れる骨折のことです。木の枝を折ったときのように、骨がまっすぐの線で断裂する様子から、この名前が付けられました。斜めに折れる斜骨折や、らせん状に折れる螺旋骨折とは違い、骨折線が単純で、骨の破片が少ないという特徴があります。そのため、比較的元に戻しやすい骨折と考えられています。 横骨折は、身体のどの骨にも起こり得ますが、特に腕や脚の長い骨で起こりやすいです。例えば、転んで手をついた時や、脚に強い衝撃が加わった時に起こることがあります。 横骨折の原因は、主に直接的な外力によるものです。転倒や交通事故など、強い衝撃が骨に加わることで発生します。スポーツ中の接触や、高いところからの落下も原因となることがあります。また、骨が弱くなっている高齢者や、骨粗鬆症の方は、軽い衝撃でも横骨折を起こす可能性があります。 子供の場合、骨が柔らかく柔軟性があるため、横骨折は比較的治りやすい傾向があります。しかし、成長期の骨には成長軟骨と呼ばれる部分が含まれており、ここが損傷を受けると骨の成長に影響が出る可能性があります。そのため、適切な治療と経過観察が必要です。 高齢者の場合、骨がもろくなっているため、横骨折のリスクが高くなります。さらに、治癒にも時間がかかる傾向があります。骨粗鬆症を患っている場合は、特に注意が必要です。 横骨折の治療は、骨折の程度や部位によって異なります。軽度の場合は、ギプスなどで固定する保存療法が行われます。骨折の程度が重い場合や、骨がずれている場合は、手術が必要となることもあります。 日常生活では、転倒しないように注意することが大切です。特に高齢者の方は、手すりを設置する、段差をなくすなど、住環境を整えることが重要です。また、バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、骨を丈夫に保つことも大切です。
介護施設

老健:在宅復帰を目指す施設

介護老人保健施設、通称「老健」は、高齢者が住み慣れた地域で再び自立した生活を送れるように支援する施設です。病院での治療を終えて病状は安定したものの、すぐに自宅に戻るには不安がある、もう少し機能回復訓練が必要だという高齢者の方々にとって、老健は自宅と病院の橋渡し役を担っています。 老健では、医師や看護師、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門家がチームを組んで利用者を支えます。一人ひとりの状態に合わせたケアプランを作成し、日常生活の介助、機能回復訓練、医療ケアなどを提供することで、在宅復帰を目指します。 日常生活の介助では、食事や入浴、排泄といった基本的な動作の支援はもちろん、着替えや移動、金銭管理などの生活全般に関わるサポートを行います。機能回復訓練では、身体機能の維持・向上を図るための運動や、日常生活に必要な動作の練習を行います。また、医師による健康管理や看護師による医療処置も行われ、利用者の健康状態を常に良好に保てるよう努めています。 老健での利用期間は原則として3ヶ月以内とされています。これは、利用者にできるだけ早く自宅での生活に戻っていただくことを目的としているためです。しかし、利用者の状態によっては3ヶ月を超えて利用することも可能です。医師や他の専門職と相談の上、個々の状況に合わせて柔軟に対応しています。 老健は、高齢者が安心して地域で生活を送れるよう、様々な面から支える重要な役割を担っています。単に身体機能の回復を支援するだけでなく、精神的なケアにも力を入れており、利用者が安心して生活を送れるよう、きめ細やかな配慮を行っています。
医療

医療現場におけるリハビリテーション

「回復」という意味を持つリハビリテーションという言葉は、近年よく耳にするようになりました。しかし、その言葉が持つ意味は実に広く、一口にリハビリテーションといっても様々な種類があります。医療機関で行われる医療的なリハビリテーション以外にも、仕事への復帰を支援する職業リハビリテーション、社会生活への復帰を支える社会リハビリテーション、子供たちの発達や学習をサポートする教育リハビリテーション、そして技術開発を行うリハビリテーション工学など、実に多様な分野が存在します。 これらのリハビリテーションは、それぞれ対象となる人や目的、そして提供される内容が異なります。例えば、職業リハビリテーションは、病気や怪我で仕事が難しくなった人が再び働けるように支援します。住まいや移動、人間関係など、生活の様々な側面から社会復帰を支えるのが社会リハビリテーションです。また、教育リハビリテーションは、発達がゆっくりだったり、学習に困難を抱える子供たちを主に支援します。リハビリテーション工学は、工学の知識を活かしてリハビリテーションを支える道具や技術を開発・研究する分野です。このように、リハビリテーションとは様々な側面を持つ幅広い考え方であり、人々の暮らしをより良くするために大きく役立っています。 医療機関で行われる医療リハビリテーションは、これらのリハビリテーションの中でも特に重要な役割を担っています。病気や怪我、あるいは年を重ねることで衰えてしまった体の働きや心の働きを、再び良くしたり、維持したり、さらに高めることを目指します。医師や看護師はもちろんのこと、体の動きの回復を専門とする理学療法士、日常生活動作の改善を専門とする作業療法士、ことばやコミュニケーションの改善を専門とする言語聴覚士など、様々な専門家が力を合わせて、患者さん一人一人に合わせた総合的な支援を提供します。つまり、医療現場でのリハビリテーションは、ただ体の機能を回復させるだけでなく、患者さんが社会に戻り、より良い生活を送れるように幅広く支える大切な役割を担っているのです。
介護施設

老健:在宅復帰を目指す場所

介護老人保健施設、略して老健は、病院での治療を終えたものの、すぐに自宅に戻るのが難しいお年寄りの方々が利用する施設です。老健での生活を通して、再び自宅で暮らせるように支援していくことを目的としています。 老健は、病院と自宅の中間に位置する施設と言えます。病院での治療を終え、病状は安定したものの、まだ自宅での生活に不安がある方にとって、老健は最適な場所です。在宅復帰を目指すために必要な機能回復訓練や、日常生活を送る上で必要な動作の練習などを行います。老健での生活は、自宅復帰に向けた準備期間と言えるでしょう。 老健では、医師や看護師、介護福祉士をはじめ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、様々な専門家がチームとなって利用者を支えています。利用者一人ひとりの状態に合わせた、きめ細やかなケアを提供することが可能です。食事の管理や栄養指導、お風呂やトイレの介助といった日常生活の支援も行っていますので、安心して過ごすことができます。 老健の利用期間は、原則として3ヶ月以内となっています。しかし、利用者の状態によっては延長される場合もありますので、担当者とよく相談することが大切です。 老健は、お年寄りの方々が住み慣れた地域で、安心して生活を続けられるようにサポートする上で、重要な役割を担っています。自宅での生活を再び送りたいという希望を叶えるための、力強い味方となるでしょう。
通所による介護

通所リハビリで健康維持

通所リハビリテーションとは、介護を必要とする方が自宅から日帰りで施設に通い、専門家の指導のもとリハビリテーションを受けるサービスです。住み慣れた自宅での生活を続けながら、心身ともに健康な状態を保つことを目指します。 利用対象となるのは、要介護認定を受けている方や、要支援認定を受けている方などです。これらの認定を受けていない方でも、医師が必要と判断した場合は利用できる場合があります。利用にあたっては、ケアマネージャーと相談し、ケアプランを作成する必要があります。 通所リハビリテーションでは、医師の指示に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフが、一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションプログラムを作成・実施します。身体機能の維持・向上を目指すのはもちろんのこと、日常生活動作の訓練や、認知症予防のためのレクリエーションなども行われます。例えば、歩行訓練、筋力トレーニング、日常生活に必要な動作練習、手芸、書道、歌、ゲームなど、内容は多岐にわたります。 通所リハビリテーションの大きな利点は、自宅での生活を続けながら、定期的に専門的なリハビリテーションを受けられることです。社会とのつながりを維持し、孤立感を防ぐ効果も期待できます。また、家族の介護負担を軽減する効果もあります。 利用回数や時間は、利用者の状態や希望に応じて調整できます。送迎サービスを提供している施設も多く、自宅と施設間の移動の負担を軽減することができます。利用料金は、要介護度やサービス内容によって異なりますが、介護保険が適用されるため、自己負担額は抑えられます。
健康の維持

安静臥床とその影響

安静臥床とは、病気の治療や怪我の回復を目的として、心身ともに落ち着いた状態で静かに横になって休むことです。体を動かさずにじっと寝ていることで、体への負担を軽くし、治癒を早める効果が期待できます。 安静臥床が必要となるのは、例えば、手術後、骨折や捻挫などの怪我、あるいは重い病気で体力が低下している場合などです。安静臥床には、体の動きを抑えることで痛みを和らげ、患部を保護する効果があります。また、体力の消耗を防ぎ、休息を促すことで、自然治癒力を高める効果も期待できます。さらに、めまいやふらつきのある人にとっては、転倒などの危険を避けるためにも有効な手段となります。 しかし、長期間にわたる安静臥床は、様々な体の機能低下を引き起こす可能性があります。筋肉や関節の動きが制限されることで、筋力の衰えや関節の固まりが生じやすくなります。また、血液の循環が悪くなり、床ずれや血栓などの合併症のリスクも高まります。さらに、食欲不振や便秘、排尿困難といった問題も起こりやすくなります。精神面でも、気分の落ち込みや不安、孤独感などを引き起こす可能性があります。 特に高齢者は、これらの影響を受けやすく、日常生活動作能力の低下につながる場合もあります。そのため、安静臥床を行う際は、医師や看護師などの指示に従い、適切な期間と方法で行うことが大切です。定期的に体位を変える、軽い運動を取り入れる、バランスの良い食事を摂るなど、合併症の予防に努める必要があります。また、精神的なケアも重要であり、家族や医療従事者とのコミュニケーションを大切にし、心の健康にも気を配る必要があります。
介護保険

地域で支えるリハビリテーション

地域で暮らす人々が、病気や怪我などで身体が不自由になったとしても、住み慣れた場所で自分らしく生活を続けられるように支援するのが地域リハビリテーションです。これは、病院で行う集中的な機能回復訓練だけを指すのではありません。むしろ、退院後も地域社会で生活しながら、日常生活そのものをリハビリテーションの場として捉え、継続的に支援していく包括的な取り組みです。 具体的には、身体機能の維持・向上だけでなく、役割や人とのつながりを取り戻し、社会参加していくことを目指します。例えば、家事や買い物などの日常生活動作の練習、地域活動への参加支援、趣味や仕事を通じた社会との関わりなどを支援します。 この地域リハビリテーションを支えているのは、医療機関の医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職だけではありません。市町村の職員、介護や福祉の事業所、地域住民など、様々な立場の人がそれぞれの専門性や経験を活かし、連携しながら支援します。 例えば、保健師は健康管理や相談を行い、社会福祉士は福祉サービスの利用調整を行い、介護福祉士は日常生活の介助を行います。また、地域住民はボランティアとして、交流の場を作ったり、外出の付き添いなどをしたりすることで、温かい見守りや支えを提供します。 このように、医療、介護、福祉、そして地域社会全体が一体となって、切れ目のない支援を提供することで、身体が不自由な方の生活の質を高め、誰もが暮らしやすい地域社会の実現を目指しています。それは、地域全体で人々を包み込む温かい支え合いの形と言えるでしょう。
介護用品

ルームランナーで健康維持

ルームランナーとは、屋内で快適に歩いたり走ったりできる運動器具です。電動で動くベルトの上を歩くことで、あたかも屋外を歩いているかのような感覚を味わえます。雨の日や風の強い日、あるいは夏の暑い日や冬の寒い日でも、天候を気にすることなく運動できるのが大きな魅力です。また、ジムに通う時間がない方や、人目を気にせず自分のペースで運動したい方にも最適です。近年では、運動不足になりがちな方の健康維持や体力向上、ダイエットなど、様々な目的で利用されています。ルームランナーは、高齢者の健康維持にも役立ちます。関節への負担が少ないため、足腰が弱い方でも無理なく運動することができます。定期的にルームランナーを使用することで、筋力の維持・向上、血行促進、転倒予防などの効果が期待できます。また、認知症予防にも効果があると言われています。高齢者にとって、ルームランナーは安全で効果的な運動方法の一つと言えるでしょう。ルームランナーを選ぶ際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。まず、走行面の広さです。自分の歩幅や走り方に合わせて、適切な広さのものを選びましょう。次に、速度調整機能です。ウォーキングからランニングまで、自分の体力に合わせた速度設定ができるものがおすすめです。さらに、安全機能も重要です。緊急停止ボタンや安全キーなどが備わっているか確認しましょう。最近では、傾斜角度を調整できるものや、心拍数を計測できるもの、動画配信サービスを視聴できるものなど、様々な機能を備えたルームランナーが登場しています。自分の目的に合った機能を持つルームランナーを選ぶことで、より効果的に運動を楽しむことができます。
介護保険

機能訓練:介護における自立支援

人は誰でも年を重ねると、体の機能が少しずつ衰えていきます。病気やけがも、体の動きを悪くする原因となります。このような衰えをそのままにしておくと、日常生活での動作が難しくなり、一人で食事をしたり、お風呂に入ったり、服を着替えたりといったことが出来なくなってしまうかもしれません。そして、寝たきりになってしまう可能性も出てきます。 このような状態を防ぎ、少しでも長く自分の力で生活を送れるようにするための取り組みが「機能訓練」です。機能訓練とは、加齢や病気によって低下した体の機能を維持したり、改善したりするための訓練のことです。具体的には、筋力を強くする訓練や、体の柔軟性を高めるためのストレッチ、歩く練習、体のバランス感覚を養う訓練など、様々な運動や活動を行います。 これらの訓練は、一人ひとりの体の状態に合わせて行われます。例えば、足腰が弱っている人には、椅子に座ったままできる運動や、歩行器を使った歩行練習などが行われます。また、手が動かしにくい人には、指の運動や、道具を使った練習などが行われます。 機能訓練は、介護保険制度のサービスの一つとして提供されています。介護が必要な状態になった場合、介護福祉施設や、自宅で介護サービスを利用している場合に、この機能訓練を受けることができます。専門の職員が、個々の状態に合わせて適切な訓練プログラムを作成し、指導を行います。機能訓練を通して、日常生活動作の自立を支援し、寝たきりや要介護状態の悪化を予防することで、より質の高い生活を送れるようにお手伝いします。
通所による介護

生活技能訓練(SST)でより良い暮らしを

生活技能訓練(せいかつぎのうくんれん)、略してSST(エスエスティー)とは、日常生活を送る上で必要な様々な技能を身につけるための訓練のことです。挨拶の仕方や、人と話すときの話の進め方、自分の気持ちをうまく伝える方法、電車やバスといった乗り物の使い方、お金の管理の仕方、料理や掃除、洗濯といった身の回りのことのやり方など、日常生活における様々な活動を訓練を通して学ぶことができます。 この訓練の目的は、人との良い関係を築けるようになること、日常生活で起こる困りごとを自分で解決できるようになること、そして社会生活を送る上で必要な力を身につけることです。例えば、うまく気持ちを伝えられないことで、人との関係に悩んでいる人が、SSTを通して気持ちを伝える練習をすることで、人とうまく付き合えるようになるといった効果が期待できます。また、一人で外出するのが難しい人が、SSTを通して電車やバスの乗り方を学ぶことで、一人で色々な場所に行けるようになることも目指せます。 SSTは、心の病気を抱えている人、発達に特性のある人、年を重ねた人、家に閉じこもりがちな人など、様々な人が利用しています。一人ひとりの状態や困りごとに合わせて、どんな訓練をするのかが決められるので、それぞれに合ったやり方で学ぶことができます。 訓練は、みんなで一緒に受ける場合と、一人だけで受ける場合があります。周りの人と関わりながら学ぶ方が良い場合や、一人でじっくりと取り組む方が良い場合など、その人に合った方法で進められます。 SSTを実施する際には、医師や看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士といった専門家がチームを組んで、利用する人の状態をしっかりと把握し、それぞれに合った訓練内容を考えていきます。専門家が丁寧に教えてくれるので、安心して訓練に取り組むことができます。SSTを通して、社会への参加がしやすくなったり、生活の質が上がったり、自分の力で生活できるようになることを目指します。
訪問による介護

訪問リハビリで在宅生活を支える

訪問リハビリテーションとは、住み慣れたご自宅で、一人ひとりに合わせた計画に基づき、専門家によるリハビリテーションを受けられる在宅サービスです。病院への通院が難しい、あるいは施設への入所をせずに自宅で療養したいと考えている方にとって、継続的な機能維持や改善を目指す上で大変有効な手段となります。 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった国家資格を持つ専門家がご自宅に伺い、医師の指示書に基づいた個別のリハビリテーション計画を作成します。身体機能の維持・向上を目指す運動療法だけでなく、日常生活で必要な動作の練習、ご家族への介助方法の指導なども行います。 例えば、歩行が困難な方に対しては、筋力強化やバランス練習を通して歩行能力の改善を図ります。また、脳卒中などで麻痺が残ってしまった方に対しては、麻痺した手足の機能回復訓練や、日常生活での工夫を指導することで、少しでも自立した生活を送れるよう支援します。さらに、言葉がうまく話せない方に対しては、言語聴覚士による言語訓練やコミュニケーション方法の指導を行います。 訪問リハビリテーションの目的は、日常生活動作の改善、機能の維持、そしてご家族の介護負担の軽減です。自宅で安心して療養生活を送れるよう、専門家がきめ細やかなサポートを提供します。利用にあたっては要介護認定が必要となりますので、まずは担当のケアマネージャーにご相談ください。
医療

パーキンソン病と介助のポイント

ふるえや体のこわばり、動作が遅くなるなどの運動の症状が現れる病気、パーキンソン病について説明します。パーキンソン病は、脳の神経細胞が徐々に変化し、運動をつかさどる機能に影響を及ぼす、ゆっくりと進行する病気です。この病気は、イギリスの医者であるジェームズ・パーキンソンによって1817年に初めて報告されました。 パーキンソン病の主な症状は、安静時に手足が震える、動作が遅くなる、筋肉がかたくなる、体のバランスがとりにくくなるなどです。 これらの症状は、脳の中で情報を伝える物質であるドパミンが不足することで起こると考えられています。ドパミンは、運動の滑らかさや正確さを保つために重要な役割を果たしています。ドパミンが不足すると、運動の指令がうまく伝わらなくなり、様々な運動症状が現れます。 パーキンソン病は、年齢を重ねるごとに発症する危険性が高まり、特に60歳以上の方に多く見られます。今のところ、パーキンソン病の根本的な原因は解明されておらず、完全に治す治療法も確立されていません。しかし、薬物治療によってドパミンを補ったり、リハビリテーションによって体の機能を維持・改善したりすることで、症状の進行を遅らせ、日常生活を送りやすくすることは可能です。 パーキンソン病は、患者さん本人だけでなく、家族にも大きな負担がかかることがあります。周囲の理解と支援が、患者さんの生活の質を維持・向上させる上で非常に重要です。気になる症状がある場合は、早めに専門の医師に相談することをお勧めします。早期に発見し、治療を始めることで、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることが可能になります。