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ホスピスケア:人生の最終章を支えるケア
ホスピスケアとは、人生の最終段階を迎えた方々にとって、身体の痛みだけでなく、心の痛みや不安、社会的な問題、そして精神的な苦悩など、様々な苦しみを和らげ、その人らしい最期の時を過ごせるように支える包括的なケアです。
病状の進行を抑えることを目指す治療とは異なり、ホスピスケアは残された時間をどのように過ごすかに重点を置いています。身体の苦痛を和らげる医療はもちろんのこと、心の痛みや不安を取り除くための精神的なケア、家族との関係を良好に保つための社会的な支援、そして、生きる意味や価値を見出すための精神的な支えなど、多角的な面から患者と家族をサポートします。
世界保健機関(WHO)もホスピスケアの重要性を強調しており、身体的、心理的、社会的な苦痛の緩和に加え、生きる意味を見出すための精神的なケアの重要性も指摘しています。
日本では、がん患者など、死期が近い方への医療として広く知られていますが、対象者は特定の病気の方に限られるものではありません。人生の最終段階を迎えた方であれば、誰でもホスピスケアの対象となります。
ホスピスケアは、医師や看護師だけでなく、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカー、ボランティアなど、様々な分野の専門家が連携して、患者と家族一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかな支援を提供します。患者が最期まで自分らしく、穏やかに過ごせるように、多職種で協力して寄り添うことが、ホスピスケアの大切な役割です。