ティルト型車いす

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介護用品

ティルト型車いす:その機能と利点

ティルト型車いすとは、座面と背もたれが一体となって傾斜する特殊な車いすです。まるでゆりかごのように、座ったままの状態で傾けることができるため、通常の車いすでは長時間座っていることが難しい方にとって、大きな助けとなります。 この車いすは、特に座位の保持が困難な方にとって大変有用です。例えば、重度の身体の麻痺や筋力の低下により、姿勢を自分で維持することが難しい方の場合、ティルト機能によって楽な姿勢を保つことができます。また、関節が硬くなって動きにくくなる拘縮の症状が強い方にも適しています。座面を傾けることで、圧力が分散され、特定の部位に負担が集中することを防ぐことができるからです。 ティルト型車いすを使うことで得られる利点は様々です。まず、床ずれ(褥瘡)の予防に効果的です。同じ姿勢を長時間続けると、体重で圧迫された部分の血行が悪くなり、皮膚が損傷する恐れがあります。ティルト機能を使って定期的に姿勢を変えることで、圧迫を軽減し、床ずれの発生リスクを低減できます。また、呼吸機能の改善にもつながります。傾斜した姿勢は、横隔膜の動きをスムーズにし、呼吸をしやすくする効果が期待できます。さらに、食事の際にも、傾斜によって食べ物を飲み込みやすくする効果があります。 介護をする側の視点からも、ティルト型車いすは多くのメリットがあります。姿勢の調整や移乗介助の負担を軽減できるため、介護者の身体的な負担を軽くすることができます。また、利用者の快適性を高めることで、介護者と利用者の間の良好な関係を築くことにも役立ちます。