コミュニケーション障害

記事数:(4)

医療

失語症について理解を深めよう

失語症とは、脳の言語をつかさどる部分が傷つくことで、話す、聞く、読む、書くといった言葉の働きに問題が生じる状態です。 脳卒中や頭のけがなどが原因で起こることが多く、言葉によるやり取りが難しくなるため、日々の暮らしに大きな影響を与えます。 失語症の症状は、脳のどこが、どれくらい傷ついたかによって様々です。 相手の言っていることが理解できない、伝えたい言葉がうまく見つからない、発音がはっきりしない、言葉がなめらかに出てこない、文字が読めないといった症状が現れます。 例えば、軽い場合は特定の言葉が思い出せない、言い間違いが増えるといった程度の場合もあります。しかし、重い場合は全く言葉を発することができなくなったり、相手の言葉が全く理解できなくなったりすることもあります。 症状の一つとして「話すことの障害」があります。 伝えたい言葉が出てこない、言い間違える、同じ言葉を繰り返してしまう、言葉がつっかえる、文法的に正しくない文章になってしまう、発音が不明瞭になるといった症状が現れます。 「聞くことの障害」では、 相手の話している言葉の意味が理解できない、複雑な指示が理解できない、長い会話についていけないといった症状が見られます。 「読むことの障害」としては、 文字が読めない、書かれている内容が理解できないといった症状が現れ、「書くことの障害」では、 字が書けない、文章が書けない、文法的に正しくない文章を書いてしまうといった症状が現れます。 このように、失語症は言葉に関する様々な問題を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたす病気です。 周囲の人の理解と適切な支えが、失語症を持つ人が社会生活を送る上でとても重要になります。
医療

アルツハイマー型認知症:理解と対応

もの忘れがひどくなる病気として広く知られている認知症の中で、最も患者数が多いのがアルツハイマー型認知症です。歳を重ねるにつれて発症しやすくなるこの病気は、現在、高齢化が進む社会において増加し続けており、患者本人だけでなく、支える家族にも大きな負担となっています。 この病気は、脳の神経細胞が変化し、萎縮していくことで、記憶力や思考力、判断力など、人としての活動の基盤となる様々な機能が徐々に衰えていく進行性の病気です。初期の段階では、もの忘れの症状が中心ですが、病気が進行するにつれて、時間や場所が分からなくなったり、身近な人の顔が分からなくなったり、妄想や幻覚、徘徊といった症状が現れることもあります。さらに、症状が進むと、食事や排泄、着替えなどの日常生活動作も一人では行えなくなり、介護が必要な状態となります。 アルツハイマー型認知症は、残念ながら根本的な治療法はまだ確立されていません。しかし、早期に発見し、適切な対応をすることで、症状の進行を遅らせ、患者本人がより長く自立した生活を送れるように支援することができます。そのためには、まずこの病気について正しく理解することが重要です。早期発見の鍵となる初期症状や、症状の進行を抑えるための生活上の工夫、利用できる医療や介護サービスなど、様々な情報を積極的に集め、自分自身や家族のために役立てましょう。また、認知症は患者本人だけでなく、家族にとっても大きな負担となるため、周囲の理解と支援が不可欠です。地域包括支援センターなど、相談できる窓口をあらかじめ知っておくことも大切です。
医療

ALSと共に生きる

筋萎縮性側索硬化症。この病名は、あまり聞きなれないかもしれません。しかし、ALSと聞けば、思い浮かぶ方もいるでしょう。ALSは、体を動かす指令を出す神経、すなわち運動神経が徐々に働かなくなる病気です。難病に指定されており、今のところ、根本的な治療法は見つかっていません。 この病気の特徴は、運動神経だけが侵される点にあります。体を動かす筋肉は、神経からの指令を受けて初めて動くことができます。ALSでは、この指令を出す神経がうまく働かなくなるため、筋肉は次第に痩せて力が入らなくなっていきます。勘違いされやすい点ですが、これは筋肉そのものが悪くなっているのではなく、神経からの命令が届かなくなることが原因です。 意識や視覚、聴覚、内臓の働きなどは、多くの場合、保たれたままです。つまり、病気で体が不自由になっていくなかでも、頭ははっきりとした状態が続きます。自分の置かれた状況を理解しながら、体が思うように動かなくなっていく。これは、患者さんにとって大きな苦痛であり、不安やもどかしさにつながります。ALSは進行性の病気で、徐々に悪化していきますが、その進行の速さには個人差が大きいです。発症してから人工呼吸器が必要となるまでの期間も、人によって様々です。 現在、ALSの進行を遅らせる薬はありますが、完治させる薬はありません。患者さんとそのご家族は、長期にわたる闘病生活を強いられます。ALSは、現代医学においても未だ多くの謎が残る病気です。研究者たちは、この病気を解明し、効果的な治療法を見つけるために、日夜研究を続けています。
その他

社会的孤立:その実態と課題

近年、社会とのつながりを自ら断ち、孤立した生活を送る人々が増加しています。いわゆる「社会的引きこもり」と呼ばれるこの状態は、特定の病気や障がいとは直接関係なく、家庭にとどまり、社会との接触を極力避けることを特徴としています。かつては若年層の問題として認識されていましたが、現在では高齢者や障がいを持つ方々だけでなく、会社員、学生、子どもにまで広がり、社会全体の問題として深刻化しています。 高齢者の場合、配偶者の死別や子どもの独立、体力の衰えなどをきっかけに社会とのつながりが希薄になり、家に閉じこもりがちになるケースが見られます。また、障がいを持つ方の中には、社会の理解不足や支援体制の不備により、外出や社会参加に困難を感じ、孤立を深める方もいます。 会社員においては、過剰な労働によるストレスや職場の人間関係の悪化などから、社会生活に疲弊し、引きこもりに至るケースも少なくありません。学生の場合は、いじめや学業の不振、将来への不安などから、学校に行けなくなり、ひいては社会との接触を断つこともあります。子どもにおいても、家庭環境の問題や友人関係のトラブルなどから、引きこもりがちになるケースが見られます。 ひとたび引きこもりの状態に陥ると、社会復帰への道は険しく、長期間にわたる支援が必要となるケースも少なくありません。社会との接触を断つことで、生活リズムが乱れ、心身の健康を損なうだけでなく、社会的な技能や自信を失ってしまう可能性があります。また、家族もまた、精神的、経済的な負担を抱え、疲弊してしまうケースも少なくありません。 この問題は、現代社会の抱える様々な課題、例えば、人間関係の希薄化、競争社会の激化、支援体制の不備などを反映しており、個人や家族だけの問題として捉えるのではなく、社会全体で解決に取り組む必要があります。そのためには、相談支援体制の強化、社会参加の促進、地域社会のつながりの再構築など、多角的な対策を早急に講じる必要があります。