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高齢者の権利を守る擁護者
年を重ねるにつれて、誰でも心身の力が少しずつ衰えていきます。中には病気や障がいによって、自分の気持ちをうまく伝えられなくなったり、望む暮らしを実現するための手続きが難しくなったりする方もいます。このような状況にある高齢の方々の代わりに、その方の権利や思いを守り、伝える役割を担うのが擁護者です。
擁護者はまず、高齢の方の言葉にじっくりと耳を傾け、その方の気持ちに寄り添うことから始めます。どのような暮らしを望んでいるのか、どんなことで困っているのか、その方の立場に立って丁寧に理解することが大切です。そして、その方が望む生活を実現するために、必要な手助けやサービスが受けられるように、様々な機関と連携して活動します。
例えば、介護サービスを利用したいけれど手続きが分からないという方には、申請の手続きを一緒に行ったり、制度の内容を分かりやすく説明したりします。また、施設に入所している高齢の方が、施設での生活に不満を感じている場合には、その方の思いを施設側に伝え、改善を求めることもあります。
擁護活動を行う上で大切なのは、常に高齢の方の意思を尊重することです。自分の価値観を押し付けるのではなく、高齢の方が自分らしく、尊厳を持って生活できるよう支えることが擁護者の使命です。そのためには、社会福祉制度や介護保険制度などの知識も必要不可欠です。制度の内容を理解していなければ、高齢の方に適切な助言や支援を行うことはできません。
高齢化が進む現代社会において、擁護者の役割はますます重要になっています。高齢の方々が安心して暮らせる社会を築くためには、擁護者のような存在が欠かせないと言えるでしょう。