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介護の成果:アウトカムとは?
近年、介護の現場では、利用者の状態がどれだけ良くなったか、どのような良い変化があったのかという成果に注目した介護が重要視されています。これまで介護サービスは、どれだけの時間サービスを提供したか、どのような道具や人材を使ったかといった提供した量に重点が置かれていました。例えば、一日に何回訪問したか、何種類の体操を実施したかといった点です。しかし、大切なのは、サービスの量ではなく、そのサービスによって利用者の方の生活がどれだけ良くなったのかという点です。
利用者の状態がどのくらい良くなったのかを表す指標を「成果」と言います。この成果に着目した介護は、利用者一人ひとりの目標達成を支援することに繋がります。例えば、歩くことが難しくなった方が、再び自分の足で歩けるようになる、あるいは食事を自分で摂ることが難しくなった方が、再び自分で食べられるようになるといったことです。このような成果を上げるためには、利用者の方の思いや願いを丁寧に聞き取り、その方に合った目標を設定し、その目標達成のために必要な支援を計画的に行う必要があります。
成果に注目することで、介護職員は提供するサービスの意味や効果を改めて考える機会が得られます。また、利用者の方にとっても、自分の状態がどのように変化し、良くなっているのかを認識することで、生活への意欲向上に繋がります。介護の質を高め、利用者の方の生活の質を向上させるためには、「どれだけサービスを提供したか」ではなく「利用者の生活がどれだけ良くなったか」という視点が不可欠です。この成果に着目した介護という考え方が、これからの介護をより良くしていくための重要な鍵となるでしょう。