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とろみ:安全な食事のために
とろみとは、液体状の食べ物や飲み物に、粘り気を加えることを指します。とろみをつけることで、飲み込みやすくしたり、食べ物が気管に入る誤嚥を防ぐ効果があります。 加齢や病気によって飲み込む力が弱くなった方にとって、とろみは安全な食事に欠かせない要素です。
とろみのついた食べ物は、口の中でまとまりやすく、ゆっくりと食道へと流れていきます。通常、サラサラとした液体は、一気に喉の奥へと流れ込み、誤って気管に入ってしまう危険性があります。しかし、とろみをつけることで、この流れを穏やかにし、食べ物が気管に入るのを防ぎます。 誤嚥は、窒息や肺炎などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、とろみは健康を守る上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
とろみは、片栗粉やコーンスターチなどのデンプン、あるいは増粘多糖類などの食品添加物を使ってつけられます。とろみの強さは、個々の状態に合わせて調整することが大切です。飲み込む力が非常に弱い方や、過去に誤嚥を起こしたことがある方などは、強いとろみをつける必要があります。一方、飲み込む力が比較的保たれている方にとっては、適度なとろみが適切です。 とろみの強さは、スプーンですくった時に、ゆっくりと流れ落ちる程度が目安となります。とろみが強すぎると、飲み込みにくさを感じたり、食欲が低下する可能性があるので、注意が必要です。
介護の現場では、とろみ調整食品と呼ばれる、とろみがついた状態の食品や、とろみをつけるための粉末などが広く使われています。これらの製品は、適切なとろみをつけるための目安が分かりやすく表示されているため、介護する側も安心して使用できます。 とろみは、飲み込みに不安のある方々が、安全に、そして楽しく食事をするための、大切なサポートです。