たそがれ症候群

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介護施設

夕暮れ症候群:認知症の理解

夕暮れ症候群とは、日が沈み始める頃から夜にかけて、認知症の人の行動や気持ちに変化が現れることを指します。 まるで夕暮れ時にだけ現れる魔物のように、穏やかだった人が急に落ち着きを失ったり、不安になったりするのです。 この症状は、認知症の種類や進行度合いに関わらず現れる可能性があり、専門的には「せん妄」と呼ばれる状態に似た症状を示すこともあります。 具体的な症状としては、そわそわと落ち着きがなくなったり、理由もなく歩き回ったり(徘徊)、急に怒り出したり、泣き出したりするといった行動の変化が見られます。 また、実際にはいない人や物が見える、聞こえるといった幻覚や、誰かに狙われている、陥れられているといった妄想といった、精神的な混乱も併発することがあります。 これらの症状は、日中は比較的落ち着いているにも関わらず、夕方から夜にかけて特に強く現れるのが特徴です。 まるで昼と夜で人格が入れ替わってしまうかのような変化に、介護する家族は大きな負担を感じることでしょう。 夕暮れ症候群の原因ははっきりと解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。 例えば、昼夜の区別がつきにくくなる体内時計の乱れや、疲れやストレス、環境の変化に対する混乱、痛みや不快感などが症状を誘発する可能性があります。 また、周囲が暗くなることで不安感が増したり、人影や物が実際とは異なって見えたりすることも、症状の悪化につながると考えられています。 大切なのは、これらの症状が病気の一環であることを理解し、適切な対応をすることです。 焦ったり、叱ったりするのではなく、優しく声をかけ、安心させてあげることが重要です。 また、生活リズムを整えたり、適度な運動や日光浴を促したりすることも効果的です。 症状が重い場合は、医師に相談し、薬物療法などの適切な治療を受けることも検討しましょう。