うつ病

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躁うつ病:気分の波を知ろう

双極性障害、かつては躁うつ病と呼ばれていたこの病気は、心の状態が大きく揺れ動く精神疾患です。気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「鬱状態」という正反対の状態を繰り返すことが特徴です。この心の波は、まるでジェットコースターのように激しく、生活に大きな影響を及ぼします。 躁状態では、気分が晴れやかに高ぶり、活動的になります。普段よりもエネルギッシュになり、自信に満ち溢れ、行動力も増します。しかし、同時に衝動的な行動や怒りっぽくなることもあります。一方、鬱状態では、気分が沈み込み、何事にも興味や喜びを感じられなくなります。体が重く感じられ、疲れやすく、集中力も低下します。食欲不振や不眠といった体の不調が現れることもあります。 これらの躁状態と鬱状態は、通常は症状のない落ち着いた期間を挟んで交互に現れます。しかし、必ずしも規則的に繰り返されるとは限らず、その周期は人それぞれです。数年単位で繰り返す人もいれば、数週間から数十年と大きな個人差があります。また、躁状態から次の状態へ、あるいは鬱状態から次の状態へ移行するまでの期間も様々です。 さらに、躁状態と鬱状態の症状が同時に現れる「混合状態」を経験する人もいます。これは、気分が高揚しているにもかかわらず、強い不安や焦燥感、イライラ感を抱えるなど、複雑な状態です。このような混合状態は、周囲の人にも理解されにくく、本人にとっても非常に辛いものです。双極性障害は、早期の診断と適切な治療によって症状をコントロールし、安定した生活を送ることが可能です。気になる症状がある場合は、早めに専門の医療機関に相談することが大切です。
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高齢者のうつ病:知っておくべきこと

老年期うつ病とは、六十五歳以上の方がかかる心の病気、うつ病のことを指します。歳を重ねるにつれて誰でも気分が落ち込んだり、何をするにも億劫に感じたりすることはあります。しかし、老年期うつ病は、このような一時的な気分の落ち込みとは大きく異なります。まるで深い霧の中に迷い込んだように、長い間気分が沈み、喜びや楽しみを感じることができなくなるのです。 この病気は、高齢化が進む現代社会において深刻な問題となっています。家族や周りの方の理解と適切な支えが、回復への大きな力となります。老年期うつ病は、単に歳をとったから気分が沈んでいるのではありません。脳の働きの変化や体の病気、周りの環境の変化など、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。 歳を重ねるにつれて、体の機能が低下したり、長く続く病気を抱えたりすることが増え、日常生活を送るのが難しくなることがあります。また、配偶者や友人との別れ、社会での役割を失うなど、大切なものを失う経験も高齢期には多く、これらの出来事が老年期うつ病のきっかけとなることがあります。 老年期うつ病は、早く発見し、適切な治療を受ければ、症状が良くなる病気です。しかし、物忘れなどの症状が、認知症とよく似ていることがあり、見逃されてしまう場合も少なくありません。「歳だから」「いつものことだから」と安易に考えて放置せず、少しでも異変に気付いたら、早めに専門の医療機関を受診することが大切です。高齢者の心の状態に常に気を配り、温かく見守ることが、老年期うつ病の予防と早期発見につながります。
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高齢者のうつ病をよく理解しよう

気分が沈み込む状態が長く続き、日常生活に大きな支障をきたす病気をうつ病といいます。一時的に気分が落ち込むこととは異なり、喜びや楽しみといった感情を感じにくくなるのが特徴です。食欲がなくなり食事がとれなくなったり、夜眠れなくなったりと、身体にも様々な症状が現れます。 高齢者の場合、若い人とは異なる特徴を持つ「老年期うつ病」に注意が必要です。老年期うつ病は、高齢者の数人に一人に見られる症状で、特に60歳前後で発症することが多いといわれています。物忘れが増えたり、集中力が続かなくなったりするなど、認知機能の低下が目立つのが特徴です。また、身体の不調を訴えることも多く、頭痛や肩こり、めまいなどを訴える高齢者もいます。そのため、他の病気と間違えやすく、正しい診断と治療を受けるのが遅れてしまうこともあります。 老年期うつ病の原因は、加齢に伴う身体機能や社会的な役割の変化、家族や友人の死別など、様々な要因が考えられます。身体的な病気や経済的な不安なども、老年期うつ病の引き金となることがあります。 周囲の人は、高齢者の日頃の様子に気を配り、いつもと違う様子が見られたら、話を聞いて共感するなど、適切な支えをすることが大切です。「歳をとれば誰でもなるもの」と決めつけずに、医療機関への受診を勧めることも重要です。早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の改善や社会生活への復帰が期待できます。老年期うつ病は、決して治らない病気ではありません。周りの人の理解と支えが、高齢者の回復を大きく後押しします。
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うつ状態とは?その症状と対応

心の状態が沈み、憂鬱な気分が長く続く状態を、うつ状態といいます。これは、一時的な落ち込みとは大きく異なり、日常生活に大きな影響を及ぼすほどの強い症状が現れます。 うつ状態になると、以前は楽しめていた趣味や活動にも興味や喜びを感じなくなります。例えば、好きな音楽を聴いても、以前のように感動したり、心が安らいだりする感覚が薄れてしまいます。また、友人との会話や外出なども億劫になり、次第に人と会うことを避けるようになることもあります。 心の状態だけでなく、身体にも様々な症状が現れます。食欲が減退し、何を食べても美味しく感じられない、あるいは逆に過食になることもあります。また、夜眠れない、あるいは朝早く目が覚めてしまうなど、睡眠にも影響が出ます。その他にも、疲れやすさ、頭痛、肩こり、便秘、めまいなど、様々な身体の不調が現れることがあります。 これらの心の変化や身体症状は、脳の働きに何らかの変化が起きていることを示しています。脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、気分や感情、意欲、思考力、睡眠などに影響を与えていると考えられています。 うつ状態は、特別な人がなる病気ではなく、誰もがなり得る身近なものです。仕事や家庭でのストレス、人間関係のトラブル、大きな病気や事故など、様々な要因がきっかけとなって発症する可能性があります。また、遺伝的な要因も関係していると考えられています。 うつ状態は、早期に適切な対応をすることで回復に向かうことができます。そのため、うつ状態について正しく理解し、少しでも兆候を感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。家族や友人など、周囲の理解と支えも、回復への大きな力となります。