亜急性心内膜炎:原因と症状

亜急性心内膜炎:原因と症状

介護を学びたい

先生、「亜急性心内膜炎」ってどんな病気ですか? 介護と介助に関係あるのでしょうか?

介護の研究家

良い質問ですね。「亜急性心内膜炎」は、心臓の弁に炎症が起こる病気です。病原性の弱い細菌が原因となることが多く、ゆっくりと進行するのが特徴です。重症化すると、心臓の機能が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。そのため、介護や介助が必要になる場合もあるのです。

介護を学びたい

なるほど、心臓の弁の炎症なんですね。ということは、日常生活に支障が出るくらい心臓の働きが悪くなるということですか?

介護の研究家

その通りです。進行すると、息切れや動悸、倦怠感といった症状が現れ、日常生活動作が難しくなることがあります。そのため、食事や入浴、移動などの介助が必要になる場合があり、病状によっては介護が必要になることもあります。高齢者や基礎疾患のある方は特に注意が必要です。

亜急性心内膜炎とは。

「介護」と「介助」について、心臓の壁の内側にある膜(心内膜)の炎症である『亜急性心内膜炎』について説明します。この炎症は、原因となるものが微生物かどうかで、感染性と非感染性の二つに分けられます。心臓の弁に異常がある人に多く見られ、緑色連鎖球菌やエイセック群、皮膚ブドウ球菌、腸球菌など、病気を起こす力が弱い細菌が原因となることが多いです。

亜急性心内膜炎とは

亜急性心内膜炎とは

心臓の内側を覆う膜、心内膜に細菌が感染して炎症を起こす病気を感染性心内膜炎と言います。以前は、病状の進行具合によって病気を大きく二つに分け、急速に症状が進むものを急性心内膜炎、ゆっくりと症状が進むものを亜急性心内膜炎と呼んでいました。しかし、現在では急性と亜急性の区別はあまり重要視されておらず、まとめて感染性心内膜炎と呼ぶことが一般的です。

この病気は、心臓弁に異常がある人に多く見られます。心臓弁膜症などの心臓に元々病気を抱えている人は、健康な人と比べて感染性心内膜炎になりやすいのです。健康な心臓では、血液が勢いよく流れることで、細菌が心臓の内側に付着することを防いでいます。しかし、心臓弁に異常があると、血液の流れが乱れ、細菌が弁に付着しやすくなります。その結果、細菌が増殖し、感染性心内膜炎を引き起こすのです。

感染性心内膜炎は、体の抵抗力が弱まっている時にも注意が必要です。免疫力が低下していると、細菌感染への抵抗力が弱まり、感染性心内膜炎を発症するリスクが高まります。例えば、高齢者や糖尿病、がんなどの持病がある人は、免疫力が低下しやすいため、特に注意が必要です。また、人工弁を付けている人や、心臓にカテーテルなどの医療器具を使用している人も、細菌が侵入しやすいため、感染性心内膜炎のリスクが高いと言えます。日頃から、健康管理に気を配り、感染症予防に努めることが大切です。

項目 内容
疾患名 感染性心内膜炎
旧分類 急性心内膜炎、亜急性心内膜炎
好発しやすい人 心臓弁に異常がある人(心臓弁膜症など)、体の抵抗力が弱っている人(高齢者、糖尿病、がん患者など)、人工弁を付けている人、心臓にカテーテルなどの医療器具を使用している人
発症機序
  • 心臓弁の異常により血液の流れが乱れ、細菌が弁に付着しやすくなる。
  • 体の抵抗力の低下により、細菌感染への抵抗力が弱まる。

原因となる細菌

原因となる細菌

細菌が引き起こす心内膜炎には、急性に発症するものと亜急性に発症するものがあります。亜急性心内膜炎は、急性のものと比べると症状の進行が穏やかで、比較的ゆっくりと病状が進んでいくのが特徴です。この亜急性心内膜炎を引き起こす細菌は、健康な人の体にもともと存在している常在菌であることが多く、普段は病気を起こす力(病原性)はそれほど高くありません。そのため、健康な状態であれば、これらの細菌が体内に侵入しても感染症を発症することはほとんどありません。

亜急性心内膜炎の原因となる代表的な細菌としては、緑色の連鎖状の球菌である緑連菌、ヘモフィルス、アクチノバチルス、カルディオバクテリウム、エイケネラ、キングエラという菌種の頭文字をとったHACEK群、皮膚にいる表皮ブドウ球菌、腸の中にいる腸球菌などが挙げられます。これらの細菌は、通常、口の中、皮膚、腸管などに住み着いており、健康な状態では特に問題を起こすことはありません。

しかし、抜歯や外科手術、内視鏡検査など、体に傷がついたり、管が挿入されたりする医療行為によって、これらの細菌が血液中に入り込んでしまうことがあります。血液中に入り込んだ細菌は、心臓の中にある弁膜に付着し、そこで増殖することで感染症を引き起こします。これが亜急性心内膜炎の発症メカニズムです。まれに、これらの医療行為を受けていないにもかかわらず、原因不明のまま亜急性心内膜炎を発症するケースもあります。このような場合には、日常生活の中で知らず知らずのうちに細菌が体内に侵入した可能性も考えられますが、感染経路を特定することは難しい場合もあります。

分類 特徴 原因菌 感染経路
急性心内膜炎 急激な発症
亜急性心内膜炎 比較的ゆっくりと病状が進む
  • 緑連菌
  • ヘモフィルス
  • アクチノバチルス
  • カルディオバクテリウム
  • エイケネラ
  • キングエラ(HACEK群)
  • 表皮ブドウ球菌
  • 腸球菌
  • 抜歯
  • 外科手術
  • 内視鏡検査
  • その他医療行為
  • 日常生活での細菌侵入(まれ)

主な症状

主な症状

亜急性心内膜炎は、心臓の内側にある弁膜に細菌が付着して炎症を起こす病気です。初期症状は風邪によく似ており、熱っぽさ、だるさ、食欲の減退などが挙げられます。そのため、ただの風邪だと勘違いして見過ごしてしまうことも少なくありません。

病気が進行すると、炎症を起こした心臓の弁膜が傷つき、血液が逆流するようになります。この逆流によって心臓に雑音が生じ、聴診器で聞くと異常な音が聞こえるようになります。さらに症状が進むと、心臓が血液をうまく送り出せなくなり、息切れやむくみといった心不全の症状が現れることもあります。

また、心臓の弁膜に付着した細菌の一部は、血流に乗って体中に運ばれ、様々な臓器の血管を詰まらせることがあります。これを塞栓症と言い、詰まる場所によって様々な症状が現れます。例えば、脳の血管が詰まると脳梗塞になり、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らないなどの症状が現れます。腎臓の血管が詰まると腎梗塞になり、脇腹の痛みや血尿などの症状が現れることがあります。

さらに、細菌感染が長く続くと、免疫の働きによって免疫複合体と呼ばれる物質が作られ、これが血管壁に付着して炎症を起こすことがあります。その結果、皮膚に小さな赤い点々が出たり、関節が腫れて痛んだり、腎臓の機能が低下したりすることがあります。指先に痛みを伴う小さな赤い隆起(オスラー結節)や、手のひらや足の裏に痛みを伴わない赤い斑点(ジェーンウェイ病変)が現れることもあり、これらは亜急性心内膜炎特有の症状として知られています。これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

病期 症状
初期 熱っぽさ、だるさ、食欲の減退
(風邪によく似た症状)
進行期 心臓弁膜の損傷による血液の逆流
心臓雑音
心不全の症状(息切れ、むくみ)
塞栓症 脳梗塞:手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない
腎梗塞:脇腹の痛み、血尿
その他 皮膚に小さな赤い点々
関節の腫れと痛み
腎機能の低下
オスラー結節(指先の痛みを伴う小さな赤い隆起)
ジェーンウェイ病変(手のひらや足の裏の痛みを伴わない赤い斑点)

診断方法

診断方法

亜急性心内膜炎の診断は、いくつかの検査を組み合わせて行います。患者さんの訴える症状や過去の病歴も参考にしながら、総合的に判断することが重要です。

まず、血液培養検査を行います。これは、血液の中に細菌がいるかどうかを調べる検査です。亜急性心内膜炎は、細菌感染によって心臓の内膜に炎症が起こる病気です。血液の中に原因となる細菌がいるかどうかを調べることで、診断の手がかりになります。

次に、心臓超音波検査を行います。これは、超音波を使って心臓の様子を調べる検査です。心臓の弁の動きや形、心臓の大きさなどを観察することで、炎症や損傷の程度を調べることができます。亜急性心内膜炎では、心臓の弁に細菌が付着して炎症を起こすため、この検査で弁の状態を詳しく調べることが重要です。また、この検査では、心臓の中に血の塊がないかどうかも確認できます。血の塊があると、血管が詰まってしまう危険性があるため、注意深く観察します。

さらに、胸部レントゲン検査を行います。これは、胸部のレントゲン写真を撮影する検査です。心臓の大きさや形、肺の状態などを調べることができます。亜急性心内膜炎では、心臓が大きくなったり、肺に水が溜まったりすることがあるため、この検査で心臓や肺の状態を確認します。

これらの検査結果に加えて、患者さんが訴える症状も重要な判断材料になります。発熱、倦怠感、息切れ、胸の痛みなどの症状が現れることがあります。これらの症状は他の病気でも起こることがあるため、検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。

また、患者さんの過去の病歴も参考にします。心臓弁膜症や人工弁置換術を受けたことがある人は、亜急性心内膜炎になりやすいことが知られています。過去の病歴を知ることで、診断の精度を高めることができます。

検査 目的 亜急性心内膜炎における所見
血液培養検査 血液中の細菌の有無を調べる 原因菌の検出
心臓超音波検査 心臓の弁の動き、形、大きさ、血栓の有無を調べる 弁の炎症、損傷、疣贅の確認
胸部レントゲン検査 心臓の大きさ、形、肺の状態を調べる 心肥大、肺水腫の確認
問診による症状確認 発熱、倦怠感、息切れ、胸の痛みなどの有無を確認 亜急性心内膜炎の症状の有無を確認
病歴確認 心臓弁膜症、人工弁置換術の有無を確認 亜急性心内膜炎のリスク因子の有無を確認

治療方法

治療方法

亜急性心内膜炎の治療は、細菌を退治する薬を使うことが基本です。この薬は、抗生物質と呼ばれ、病気の原因となっている細菌の種類によって、適切な種類を選びます。通常、4週間から6週間という比較的長い期間、血管に直接注射する方法で投与します。

亜急性心内膜炎の治療で最も大切なことは、早く診断をつけて、早く治療を始めることです。治療が遅れると、心臓の弁膜が傷つき、その傷がどんどんひどくなってしまうからです。弁膜の損傷が進むと、心臓がうまく血液を送り出せなくなり、息が苦しくなったり、むくみが現れたりする心不全といった重い合併症を引き起こす可能性があります。ですから、早期発見と早期治療開始が何よりも重要となります。

薬による治療だけでなく、場合によっては、傷ついた心臓の弁膜を治したり、新しい弁膜と交換したりする手術が必要になることもあります。手術が必要かどうかは、心臓の弁膜がどれくらい傷ついているか、心不全の症状が出ているかなどを総合的に判断して決めます。傷ついた弁膜をそのままにしておくと、心臓の働きに大きな負担がかかり、日常生活に支障をきたす可能性があるため、医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが大切です。

また、安静を保つことも治療において非常に大切です。十分な休息をとることで、心臓の負担を減らし、回復を早めることができます。治療中は、医師の指示に従い、無理をせず、静かに過ごすように心がけましょう。

さらに、栄養バランスの良い食事を摂ることも大切です。体の抵抗力を高めることで、感染症の悪化を防ぎ、回復を助けます。

カテゴリー 説明
薬物療法 抗生物質を4週間から6週間、血管に直接注射する。
早期治療の重要性 治療の遅れは心臓弁膜の損傷を悪化させ、心不全などの合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見・早期治療開始が重要。
外科手術 弁膜の損傷がひどい場合、弁膜の修復または交換手術が必要となる場合がある。
安静 心臓の負担を軽減し、回復を早めるため、十分な安静が必要。
栄養 抵抗力を高め、感染症の悪化を防ぎ、回復を助けるため、栄養バランスの良い食事が必要。