骨粗鬆症と上手につきあう
介護を学びたい
先生、「骨粗しょう症」って、よく聞くけれど、介護や介助にどう関係するんですか?
介護の研究家
いい質問だね。骨粗しょう症になると、骨がもろくなって骨折しやすくなるよね。特に高齢の方は、ちょっとしたことで骨折してしまうことがあるんだ。そうなると、歩くのが難しくなったり、日常生活に支障が出てきたりする。だから、介護や介助が必要になる場合が多いんだよ。
介護を学びたい
なるほど。骨折すると、介護が必要になるんですね。でも、骨粗しょう症って、予防できるんですか?
介護の研究家
もちろん。食事でカルシウムやビタミンDをしっかり摂ること、適度な運動をすること、そして日光浴も大切だよ。高齢になっても、これらのことを心がけることで、骨を丈夫に保ち、骨粗しょう症を予防できるんだ。
骨粗鬆症とは。
「介護」と「介助」について説明する中で、骨がもろくなる病気である『骨粗鬆症』についても触れておきます。骨粗鬆症とは、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。女性に多く見られ、特に閉経後に多くみられます。これは、女性ホルモンが減ることと、体の老化が深く関係していると考えられています。治療としては、薬による治療を中心として、食事の改善と運動を一緒に行います。薬による治療には、飲む薬と、定期的に自分で注射する薬(テリポンやフォルテオなど)があります。注射の頻度は、週に1回や月に1回など、症状や薬の種類によって様々です。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨の内部の構造がスカスカになり、もろくなってしまう病気です。例えるなら、健康な骨はぎっしりと詰まったスポンジのような構造ですが、骨粗鬆症になるとスポンジにたくさんの穴があいたような状態になります。そのため、少しの力でも簡単に折れてしまうのです。骨の量は若い頃は徐々に増え、30歳前後でピークを迎えます。その後は加齢とともに徐々に減少していきます。骨粗鬆症は、この減少が著しくなり、骨がもろくなることで起こります。
骨粗鬆症の怖いところは、自覚症状がほとんどないまま進行していくことです。そのため、骨折するまで骨が弱くなっていることに気づかない場合が少なくありません。骨折しやすい場所は、背骨、手首、そして太ももの付け根(大腿骨近位部)です。高齢になると、ちょっとした段差につまずいたり、バランスを崩したりして転倒しやすくなります。このような場合、骨粗鬆症があると骨折のリスクが非常に高くなります。特に大腿骨近位部骨折は、寝たきりの原因となることが多く、要介護状態になるリスクも高まります。また、背骨の骨折を繰り返すと、背中が曲がったり、身長が縮んだりすることもあります。
骨粗鬆症の早期発見のためには、定期的な健康診断と骨密度測定が重要です。骨密度測定は、骨の強さを測る検査で、骨粗鬆症の診断に役立ちます。また、日頃から骨を強くするために、生活習慣の見直しも大切です。食事では、カルシウムとビタミンDを積極的に摂りましょう。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚などに多く含まれています。ビタミンDは、日光浴によっても体内で作られますが、食事からも摂取できます。魚やきのこ類などに多く含まれています。適度な運動も、骨を強くする効果があります。ウォーキングや軽い体操など、無理なく続けられる運動を選びましょう。
骨粗鬆症は、適切な治療と生活習慣の改善によって進行を遅らせることができます。早期に発見し、治療を開始することで、骨折のリスクを減らし、健康寿命を延ばすことができます。高齢になっても自分の足で元気に歩くために、今からできることを始めましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
骨粗鬆症とは | 骨の内部構造がスカスカになり、もろくなる病気。 |
症状 | 自覚症状がほとんどないまま進行し、骨折するまで気づかない場合が多い。 |
骨折しやすい場所 | 背骨、手首、太ももの付け根(大腿骨近位部) |
大腿骨近位部骨折のリスク | 寝たきりの原因となり、要介護状態になるリスクを高める。 |
背骨の骨折のリスク | 背中が曲がったり、身長が縮んだりする。 |
早期発見 | 定期的な健康診断と骨密度測定 |
食事 | カルシウム(牛乳、乳製品、小魚など)とビタミンD(魚、きのこ類など)を摂取 |
運動 | ウォーキングや軽い体操など |
治療と予防 | 適切な治療と生活習慣の改善で進行を遅らせ、骨折リスクを減らし、健康寿命を延ばす。 |
なりやすい人
骨粗鬆症は、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。誰でもかかる可能性がありますが、特に女性は男性よりもなりやすい傾向があります。これは、女性ホルモンが骨の健康を守る上で重要な役割を果たしているためです。女性は閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が急激に減少し、骨の量が減りやすくなります。閉経後の女性は、骨粗鬆症の予防に特に気を配る必要があります。
年齢を重ねることも、骨粗鬆症のリスクを高める大きな要因です。年を取ると、骨を作る細胞の働きが弱まり、骨の量が徐々に減っていきます。高齢になるほど、骨粗鬆症になりやすくなるため、日頃から骨の健康を意識することが大切です。また、骨粗鬆症は遺伝的な要因も関係しています。家族に骨粗鬆症の方がいる場合は、自分も骨粗鬆症になりやすい可能性があるため、定期的な検査を受けることが推奨されます。
体つきも骨粗鬆症のリスクに影響します。痩せ型の人は、骨を支える筋肉が少ないため、骨への負担が大きくなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。適度な運動で筋肉をつけ、骨を支える力を強化することで、骨粗鬆症の予防につながります。
毎日の生活習慣も骨粗鬆症の発症に大きく関わっています。喫煙や過度の飲酒は、骨の健康に悪影響を与えます。また、栄養バランスの偏った食事やカルシウム、ビタミンD不足も骨粗鬆症のリスクを高めます。さらに、運動不足は骨を弱くするため、適度な運動を心がけることが重要です。これらの要因に心当たりがある方は、生活習慣を見直し、骨粗鬆症の予防に取り組むようにしましょう。
リスク要因 | 詳細 | 対策 |
---|---|---|
性別 | 女性は男性よりなりやすい(女性ホルモンの減少) | 閉経後の女性は特に予防に気を配る |
年齢 | 高齢になるほどリスク増加(骨を作る細胞の働きの低下) | 日頃から骨の健康を意識する |
遺伝 | 家族歴がある場合、リスク増加 | 定期的な検査 |
体つき | 痩せ型はリスク増加(骨を支える筋肉が少ない) | 適度な運動で筋肉をつける |
生活習慣 | 喫煙、過度の飲酒、栄養バランスの偏り、カルシウム・ビタミンD不足、運動不足 | 生活習慣の見直し、適度な運動 |
治療について
骨粗鬆症の治療は、一つではなく、薬、食事、運動を組み合わせた方法で行います。これは、体全体の調子を整えながら、骨を丈夫にするためです。
まず、薬による治療について説明します。骨を壊す細胞の働きを抑える薬や、骨を作る細胞を元気にする薬など、様々な種類があります。薬には、飲むタイプと注射のタイプがあり、患者さんの体の状態に合わせて、医師が適切な薬を選びます。治療は長く続くことが多いので、医師としっかり話し合い、自分に合った薬を見つけることが大切です。
次に、食事についてです。食事では、カルシウムとビタミンDをたくさん含む食べ物を積極的に摂ることが重要です。カルシウムは骨の材料となる大切な栄養素であり、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける役割があります。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、いわしや鮭などの小魚、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜をバランスよく食べましょう。これらの食品は、骨を強く保つために欠かせない栄養素を豊富に含んでいます。
最後に、運動についてです。運動は、骨に適度な刺激を与えることで骨密度を高める効果があります。骨密度とは、骨の強さを表す指標で、骨密度が高いほど骨が丈夫であるといえます。歩くことや軽く走るなどの、呼吸をしながら行う運動だけでなく、筋肉を鍛える運動も効果的です。これらの運動は、骨に刺激を与え、骨を作る細胞を活性化させることで、骨を強くする効果が期待できます。
薬物治療、食事療法、運動療法を根気よく続けることで、骨粗鬆症の悪化を防ぎ、骨折の危険性を減らすことができます。健康な骨を維持するためには、これらの治療法をバランスよく組み合わせることが重要です。
治療法 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
薬物療法 | 骨を壊す細胞の働きを抑える薬や、骨を作る細胞を元気にする薬などを使用。飲むタイプと注射タイプがある。 | 医師と相談し、自分に合った薬を見つける。 |
食事療法 | カルシウムとビタミンDを多く含む食品を摂取。
|
バランスの良い食事を心がける。 |
運動療法 | 骨に適度な刺激を与える運動を行う。
|
継続して運動を行う。 |
予防方法
骨粗鬆症は、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。将来寝たきりになってしまう原因の一つにもなりますので、若い頃からの予防がとても大切です。
骨を丈夫にするためには、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。牛乳や小魚、海藻、大豆製品などカルシウムを多く含む食品を積極的に摂り入れましょう。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも重要です。ビタミンDは、鮭やきのこ類に多く含まれています。また、日光浴によって体内で作られるため、天気の良い日は適度に日光を浴びるようにしましょう。ただし、紫外線による肌への影響も考慮し、帽子や日傘などで対策を行いましょう。
適度な運動も骨を強くする上で欠かせません。歩く、走るといった運動の他、自分の体重を利用した運動も効果的です。階段の上り下りなども良いでしょう。これらの運動は、骨を強くするだけでなく、足腰の筋肉も鍛えられ、転倒予防にもつながります。無理のない範囲で、継続して行うことが大切です。
喫煙は骨密度を低下させるため、禁煙を心がけましょう。また、過度の飲酒も骨に良くありません。お酒はほどほどに楽しみましょう。
自分の骨の状態を正しく知るためには、定期的な骨密度測定を受けましょう。特に女性は、閉経後に女性ホルモンの分泌が減少することで骨密度が低下しやすくなります。定期的に検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
これらの生活習慣を心がけることで、骨粗鬆症を予防し、健康な骨を維持し、いつまでも元気に過ごすことができます。
項目 | 詳細 |
---|---|
食事 | カルシウムを多く含む食品(牛乳、小魚、海藻、大豆製品など)と、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(鮭、きのこ類)を摂取する。 |
日光浴 | ビタミンDを体内で生成するため、適度に日光を浴びる。紫外線対策も忘れずに行う。 |
運動 | 歩く、走る、階段の上り下りなど、適度な運動を継続して行う。 |
喫煙 | 骨密度を低下させるため、禁煙を心がける。 |
飲酒 | 過度の飲酒は骨に悪影響を与えるため、ほどほどにする。 |
骨密度測定 | 定期的に骨密度測定を受け、自分の骨の状態を正しく知る。特に女性は閉経後、骨密度が低下しやすいため重要。 |
日常生活の注意点
骨粗しょう症の方は、日々の暮らしの中でも注意が必要です。ちょっとしたことで骨折してしまう危険があるため、家の中での過ごし方、身の回りの環境づくりに気を配る必要があります。
まず、家の中は常に片付けておくようにしましょう。床に物を置いたままにすると、つまづいて転んでしまうことがあります。段差もなるべくなくし、安全に歩けるようにしましょう。和室とリビングの境目など、段差がある場所にはスロープを設置するのも良いでしょう。また、履物は、滑りにくい素材のものを選びましょう。スリッパではなく、かかとまで覆われた靴の方がより安全です。階段や廊下には手すりを設置し、それを使いながら移動する習慣をつけましょう。
お風呂場での事故を防ぐ工夫も大切です。急激な温度変化は体に負担がかかりますので、脱衣所と浴室の温度差を少なくしましょう。冬場は特に浴室を暖めてから入浴するようにしてください。また、床が濡れていると滑りやすいため、滑り止めマットを敷きましょう。浴槽の縁にも手すりを設置すると、出入りが楽になります。
骨に負担をかけない立ち方、座り方を意識することも大切です。重い物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落とし、背中をまっすぐに保ちましょう。中腰の姿勢で持ち上げようとすると、腰を痛めてしまうことがあります。椅子に座るときは、浅く腰掛けず、深く腰掛けて背筋を伸ばし、足の裏を床につけましょう。
毎日の食事にも気を配りましょう。栄養バランスの良い食事は、骨を丈夫にするために欠かせません。カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂り入れましょう。そして、規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとりましょう。睡眠不足は骨の形成にも悪影響を及ぼします。
これらの点に注意することで、骨折の危険性を減らし、健康な毎日を送ることができます。
場所 | 注意点 |
---|---|
家の中全体 |
|
お風呂場 |
|
立ち方/座り方 |
|
食事 |
|
生活習慣 |
|