吐血への対応とケアのポイント

吐血への対応とケアのポイント

介護を学びたい

先生、「吐血」って聞くと、なんだか怖い感じがするんですけど、具体的にどういうことですか?

介護の研究家

そうだね、ちょっと怖い言葉だよね。「吐血」とは、胃や食道、十二指腸などから出血した血液が、口から吐き出されることをいうんだよ。

介護を学びたい

なるほど。じゃあ、口から血が出たら、全部「吐血」ってことですか?

介護の研究家

いい質問だね。口から血が出るといっても、歯ぐきからの出血や、鼻血がのどに回って口から出る場合もあるよね。そうした場合は「吐血」とはいわないんだ。あくまで、胃や食道、十二指腸など、消化器からの出血が口から出た場合を「吐血」というんだよ。

吐血とは。

「介護」と「介助」について説明します。ここでは「吐血」を取り上げます。吐血とは、胃、食道、十二指腸などから出血した血液が、口から吐き出されることです。

吐血とは

吐血とは

吐血とは、文字通り口から血を吐き出すことを指します。この症状は、消化器系のどこかに異常が発生しているサインであり、決して軽く見てはいけません。出血の場所や原因によって、吐き出される血液の色や状態が異なってきます。

例えば、鮮やかな赤い色の血液の場合、食道や胃からの出血が考えられます。これは、出血した血液が胃酸などの消化液に長く触れていないため、変色せずに赤いまま吐き出されるためです。もし、どす黒い赤色やコーヒーかすのような色の血液だった場合は、胃や十二指腸など、より消化管の奥深くからの出血の可能性が高くなります。これは、出血した血液が胃酸と反応したり、消化酵素によって分解されたりすることで、黒っぽく変色するためです。また、血液がどろっとしているのは、血液が部分的に消化されていることを示しています。

吐血の量は少量の場合もあれば、大量に吐き出す場合もあり、出血量が多い場合は命に関わる危険な状態に陥ることもあります。吐血の原因として最も多いのは、胃や十二指腸の潰瘍です。その他にも、食道や胃の静脈瘤の破裂、胃がん、食道がん、急性胃粘膜病変など、様々な病気が原因で吐血が起こることがあります。また、血液が固まりにくくなる病気や、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合も、吐血しやすくなることがあります。

吐血は重大な病気のサインである可能性が高いため、少しでも吐血が見られた場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。自己判断で市販薬を服用したり、様子を見たりせず、必ず専門家の診察を受けて適切な治療を受けるようにしてください。特に、大量の吐血や、意識がもうろうとするなどの症状を伴う場合は、ためらわずに救急車を呼ぶなど、一刻も早く医療機関に連絡を取りましょう。早めの対応が、命を守ることにつながります。

吐血の特徴 考えられる原因/状態 対応
鮮やかな赤い色の血液 食道や胃からの出血(血液が消化液に長く触れていない) 医療機関を受診
どす黒い赤色やコーヒーかすのような色の血液 胃や十二指腸など、より消化管の奥深くからの出血(血液が胃酸と反応したり、消化酵素によって分解されたりしている)
少量の吐血 胃や十二指腸の潰瘍、食道や胃の静脈瘤の破裂、胃がん、食道がん、急性胃粘膜病変、血液が固まりにくくなる病気、血液をサラサラにする薬の服用など 医療機関を受診 (大量の吐血や意識がもうろうとする場合は救急車を呼ぶ)
大量の吐血

吐血時の対応

吐血時の対応

突然血を吐く場面に遭遇すると、誰でも慌ててしまうものです。しかし、落ち着いて行動することが何よりも大切です。まず、吐いた血の量を把握しましょう。ティッシュに付着した程度なのか、大量に吐いているのか。そして、血の色にも注目します。鮮やかな赤い色をしているのか、黒っぽい色をしているのか。さらに、血が固まっているか、液体かどうかも確認します。これらの情報は、医師の診断に役立ちますので、メモしておくと良いでしょう。

情報収集と並行して、すぐに医療機関に連絡しましょう。救急車を呼ぶべきか、自分で病院へ行くべきか、迷うようであれば指示を仰ぎましょう。医療機関への連絡後は、患者の様子を注意深く観察します。意識ははっきりしているか、呼吸は苦しくないか、顔色はどうか、脈は速くなっていないかなど、全身の状態をくまなく確認します。何か異変があれば、医療機関にその旨を伝えましょう。

患者を横向きに寝かせ、吐瀉物が気道に詰まらないようにします。吐瀉物で衣類や寝具が汚れていたら、速やかに交換し、清潔な状態を保ちます。吐血が続いている場合は、吐瀉物を容器に集めておきましょう。後ほど、医師の診断に役立つことがあります。

そして、最も大切なことは、吐血している人に何も飲ませたり食べさせたりしないことです。水やお茶はもちろんのこと、食べ物も与えてはいけません。胃に何かが入ると、出血が悪化する恐れがあります。医療機関に到着するまでは、絶対に何も口にさせないように注意しましょう。落ち着いて行動し、医療機関の指示に従うことが、一刻も早い回復への近道です。

状況 行動
吐血発生 落ち着いて行動
血の量、色、状態(固まっているか、液体か)を確認しメモ
医療機関に連絡(救急車or自力で病院へ行くかの指示を仰ぐ)
医療機関連絡後 患者の意識、呼吸、顔色、脈拍などを観察
異変があれば医療機関に伝える
患者を横向きに寝かせ、吐瀉物が気道に詰まらないようにする
衣類や寝具を清潔に保つ
吐血が続いている場合は、吐瀉物を容器に集める
最も重要なこと 吐血している人に何も飲ませたり食べさせたりしない

家庭での注意点

家庭での注意点

吐血を経験し、無事に退院できた後も、家庭では引き続き注意深い経過観察が必要です。退院は治療の終わりではなく、家庭での療養生活の始まりと考えてください。

まず、担当医師の指示を守り、定期的な通院を欠かさないようにしましょう。医師による検査や診察を受けることで、病状の変化を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。処方された薬は、医師の指示通りにきちんと服用することが大切です。自己判断で服用を中断したり、量を変更したりすることは避けましょう。

食生活にも十分な配慮が必要です。胃腸に負担をかける刺激の強い食べ物や、アルコール、消化しにくいものは控えましょう。脂っこいものや甘いものなども、食べ過ぎないように注意してください。バランスの良い食事を心がけ、胃に優しい消化の良いものを選んで食べるようにしましょう。おかゆやうどん、柔らかく煮込んだ野菜など、消化しやすい調理法を取り入れると良いでしょう。

十分な休息と睡眠も、体力の回復には不可欠です。無理をせず、ゆっくりと体を休める時間を確保しましょう。睡眠不足は体力の低下を招き、回復を遅らせる可能性があります。規則正しい生活リズムを維持し、質の良い睡眠を心がけてください。

ストレスは吐血の原因の一つとなる場合もあります。ストレスを溜め込まないように、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、軽い運動をしたりするなど、自分に合った方法で心身のリフレッシュを図ることが大切です。

そして何よりも大切なのは、異変を感じたらすぐに医療機関に連絡することです。再び吐血したり、体調に変化を感じたりした場合は、決して放置せず、速やかに医師に相談しましょう。早期発見、早期治療は、病状の悪化を防ぐために非常に重要です。

家族や周りの方々は、吐血を経験した方の精神的な支えとなるよう努めましょう。不安や悩みを安心して打ち明けられる環境を作ることで、心穏やかに療養生活を送れるようサポートすることが大切です。

カテゴリー 注意点
通院 定期的な通院、医師の指示遵守、処方薬の指示通りの服用
食事 刺激物・アルコール・消化しにくいもの・脂っこいもの・甘いものを控える、バランスの良い食事、胃に優しい消化の良いものを食べる、消化しやすい調理法
休息 十分な休息と睡眠、無理をしない、規則正しい生活リズム、質の良い睡眠
ストレス ストレスを溜め込まない、リラックスできる時間を作る、心身のリフレッシュ
異変時の対応 異変を感じたらすぐに医療機関に連絡、放置しない、早期発見・早期治療
周囲のサポート 精神的な支え、安心して打ち明けられる環境を作る

再発の予防

再発の予防

血液を吐いてしまうことを繰り返さないためには、日々の暮らし方をより良いものに変えていくことが大切です。規則正しい生活リズムを心がけ、食べ過ぎや飲み過ぎ、お酒の飲み過ぎ、たばこは控えましょう。特に、お酒は胃の粘膜を刺激し、再び血を吐いてしまう危険性を高めます。また、心に負担をため込まないように、軽い運動や趣味、ゆったりとした時間を持ち、気分転換を図りましょう。

バランスの取れた食事を摂ることも大切です。胃腸に負担をかけないよう、消化しやすいものを中心に、刺激の強い香辛料やカフェインの入った飲み物は控えめにしましょう。

十分な睡眠時間を確保することも大切です。睡眠不足は体の抵抗力を弱め、様々な病気にかかりやすくなります。規則正しい睡眠習慣を身につけ、質の高い睡眠を心がけましょう。

定期的に健康診断を受けることで、病気の早期発見・早期治療につながります。健康診断の結果に気になる点があれば、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。健康な状態を保つには、日頃から暮らしぶりを正し、体の調子に気を配ることが大切です。

医師から処方された薬がある場合は、指示通りにきちんと服用しましょう。自己判断で薬の服用を中断したり、量を変えたりすることは大変危険です。薬について疑問や不安があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。また、ストレスは吐血の再発リスクを高める可能性があります。ストレスをため込まないよう、自分なりのストレス解消法を見つけ、実践しましょう。周りの人に相談したり、専門機関の助けを借りることも考えてみましょう。

項目 詳細
生活リズム 規則正しい生活リズムを心がけ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、お酒、たばこを控えましょう。特に、お酒は胃の粘膜を刺激し、再発の危険性を高めます。
食事 バランスの取れた食事を摂り、胃腸に負担をかけないよう、消化しやすいものを中心に、刺激の強い香辛料やカフェインの入った飲み物は控えめにしましょう。
睡眠 十分な睡眠時間を確保しましょう。睡眠不足は体の抵抗力を弱め、様々な病気にかかりやすくなります。規則正しい睡眠習慣を身につけ、質の高い睡眠を心がけましょう。
健康診断 定期的に健康診断を受け、早期発見・早期治療に繋げましょう。結果に気になる点があれば、医師の指示に従いましょう。
服薬 処方された薬は指示通りに服用しましょう。自己判断で中断・変更は危険です。疑問や不安があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
ストレス ストレスは再発リスクを高めます。ストレスをため込まず、自分なりの解消法を見つけましょう。周りの人に相談したり、専門機関の助けを借りることも考えてみましょう。
気分転換 心に負担をため込まないように、軽い運動や趣味、ゆったりとした時間を持ち、気分転換を図りましょう。

緊急時の連絡先

緊急時の連絡先

突然の吐血は、命に関わる重大な事態の兆候である場合もあります。そのため、いざという時に慌てないために、緊急時の連絡先を日頃から確認し、すぐに連絡できるように準備しておくことが大切です。

まず、普段からお世話になっている医療機関の電話番号を控えておきましょう。急に具合が悪くなった時、まずはかかりつけの医師に相談するのが良いでしょう。また、休日や夜間など、かかりつけの医療機関が対応できない場合に備えて、救急相談センター(#7119)の番号も控えておきましょう。救急相談センターでは、症状に応じた適切な医療機関の案内や、救急車を呼ぶ必要があるかどうかの判断を助けてくれます。さらに、一刻を争う事態に備えて、救急隊(119番)へ連絡する手段も確認しておきましょう。

医療機関以外にも、家族や近所に住む人、職場の責任者など、緊急時に頼れる人の連絡先も把握しておきましょう。特に、一人暮らしの人は、日頃から緊急時の連絡網を作っておくことが重要です。緊急事態は予期せず起こるもので、冷静さを失いがちです。事前に連絡先を確認しておくことで、落ち着いて行動し、必要な助けを得ることができます。

連絡先だけでなく、普段服用している薬や健康保険証、医療機関の診察券なども、いざという時にすぐに持ち出せるよう、まとめて保管しておきましょう。必要なものがすぐに見つかるようにしておけば、より安心です。

日頃から健康に気を配り、緊急時に備えておくことは、安心して毎日を過ごすために大切なことです。

連絡先 用途
普段お世話になっている医療機関 急に具合が悪くなった時の相談
救急相談センター(#7119) 適切な医療機関の案内、救急車要否の判断
救急隊(119番) 一刻を争う事態
家族、近所の人、職場の責任者 緊急時の援助
持ち物 用途
普段服用している薬 病状把握
健康保険証 受診手続き
医療機関の診察券 受診手続き