慢性涙のう炎とは?その症状と治療法
介護を学びたい
先生、「介護」と「介助」の違いがよくわからないのですが、教えていただけますか?特に、『慢性涙のう炎』のような症状がある場合、介護と介助はどう使い分けられるのでしょうか?
介護の研究家
良い質問ですね。「介助」は、一時的に、特定の動作や行動をサポートすることを指します。例えば、階段の上り下りを手伝ったり、食事を運んだりすることです。一方「介護」は、日常生活全般における、継続的な支援を意味します。食事、入浴、排泄の介助に加えて、生活環境の整備や精神的な支えなども含まれます。
介護を学びたい
なるほど。では、『慢性涙のう炎』の症状がある場合、目薬をさすのを手伝うのは「介助」で、日常生活全般の世話をするのは「介護」ということですね。
介護の研究家
その通りです。『慢性涙のう炎』の症状がある場合、目薬をさす、目やにを拭き取るといった行為は「介助」です。しかし、症状が重く、日常生活に支障が出ている場合は、食事や入浴などの日常生活全般の支援が必要になるので、「介護」が必要になってきます。
慢性涙のう炎とは。
『涙の通り道が詰まって起こる目の病気』(涙が鼻に流れる管が詰まってしまい、涙袋に細菌が入って炎症を起こす病気で、この症状が長く続くものです。)について説明します。
涙のう炎とは何か
目は、常に涙で潤されています。この涙は、目を守り、滑らかに動かすために欠かせません。涙は、目頭の少し内側にある小さな穴(涙点)から細い管(涙小管)を通って涙のうへと流れ、さらに鼻涙管という管を通って鼻へと排出されます。この鼻涙管が詰まってしまうと、涙がうまく流れなくなり、涙のうに涙が溜まり、細菌感染を起こしやすくなります。これが涙のう炎です。
涙のう炎には、急に症状が現れる急性涙のう炎と、ゆっくりと進行し長引く慢性涙のう炎の二つの種類があります。急性涙のう炎は、涙のうの部分が赤く腫れ上がり、痛みを伴うのが特徴です。時に、黄色っぽい膿が出ることもあります。一方、慢性涙のう炎は、目頭を押すと涙点から膿が出ることがありますが、痛みはあまり強くありません。高齢の方や生まれたばかりの赤ちゃんに多く見られます。
慢性涙のう炎は、涙の排出が滞ることで細菌が繁殖しやすく、炎症が慢性化することが原因です。涙のう炎をそのままにしておくと、視力に影響が出る可能性もあります。また、日常生活でも、涙が常に目に溜まっているため、見えにくくなったり、不快感を感じたりすることがあります。そのため、涙のう炎の症状に気づいたら、早めに眼科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
種類 | 症状 | 原因 | その他 |
---|---|---|---|
急性涙のう炎 | 涙のうの部分が赤く腫れ上がり、痛みを伴う。黄色っぽい膿が出ることもある。 | 鼻涙管の詰まりによる涙の滞留と細菌感染 | |
慢性涙のう炎 | 目頭を押すと涙点から膿が出る。痛みはあまり強くない。 | 涙の排出が滞ることで細菌が繁殖しやすく、炎症が慢性化する。 | 高齢者や赤ちゃんに多い。視力に影響が出る可能性もある。涙が溜まり見えにくくなったり、不快感がある。 |
慢性涙のう炎の症状
慢性涙のう炎は、目頭にある涙の通り道である涙のうに炎症が生じる病気です。涙の排出がうまくいかなくなることで、様々な不快な症状が現れます。主な症状としては、常に涙が溢れている状態(流涙)が挙げられます。涙が目の表面を常に覆っているため、視界がぼやけたり、かすんだりすることがあります。また、涙が乾くと目やにとなって目頭に溜まり、これも視界を妨げる原因となります。目やには、最初は水っぽい状態ですが、時間の経過とともに粘り気を帯び、黄色や緑色に変化することもあります。
涙のうに炎症が起きているため、涙のうの周りの皮膚が腫れて、押すと痛みを感じることがあります(圧痛)。さらに炎症が進むと、涙のう周囲の皮膚が赤く腫れ上がり、熱を持つこともあります。重症の場合には、涙のうから膿が排出されることもあります。膿は黄色や緑色をしており、強い臭いを伴うこともあります。これらの症状は、風邪や花粉症といった他の目の病気の症状と似ている場合もあるため、自己判断は危険です。少しでも気になる症状があれば、眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
特に、涙のう部の腫れや痛みが強い場合、視界がぼやける、物が二重に見えるなどの視力障害が現れた場合は、早急に眼科医の診察を受ける必要があります。放置すると、炎症が周囲の組織に広がり、重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。日常生活に支障をきたす前に、専門医に相談しましょう。
症状 | 詳細 |
---|---|
流涙 | 常に涙が溢れている状態。視界がぼやけたり、かすんだりする。 |
目やに | 涙が乾いて目頭に溜まる。水っぽい状態から粘り気を帯び、黄色や緑色に変化することもある。 |
涙のう周囲の腫れと痛み | 涙のうの周りの皮膚が腫れて、押すと痛みを感じることがある。炎症が進むと、皮膚が赤く腫れ上がり、熱を持つこともある。 |
膿の排出 | 重症の場合、涙のうから黄色や緑色の膿が排出される。強い臭いを伴うこともある。 |
慢性涙のう炎の原因
涙の通り道である鼻涙管が詰まることが、慢性涙のう炎の主な原因です。この鼻涙管の閉塞には、生まれつき起こるものと、後から生じるものがあります。
生まれつきの鼻涙管閉塞は、生まれた時から鼻涙管が完全に開いていない状態です。多くの赤ちゃんは生後数ヶ月で自然に開きますが、開かない場合には治療が必要になります。治療としては、細い管を使って鼻涙管を開通させる処置を行います。
後から生じる鼻涙管閉塞には様々な原因が考えられます。鼻の炎症が原因となることがあります。例えば、風邪や副鼻腔炎などで鼻の粘膜が腫れると、鼻涙管が圧迫されて狭くなったり、詰まったりすることがあります。また、鼻をぶつけるなどの外傷や、鼻の中に腫瘍ができることによっても、鼻涙管が閉塞することがあります。さらに、鼻の中に小さな異物が入って詰まることもあります。特に小さなお子さんは、おもちゃの小さな部品などを鼻に入れてしまうことがあるので注意が必要です。加齢も原因の一つです。歳をとると鼻涙管が細くなったり、弾力を失ったりして詰まりやすくなります。
ドライアイも慢性涙のう炎のリスクを高める可能性があります。涙の量が不足したり、質が悪くなったりすると、目の表面が乾燥し、炎症を起こしやすくなります。この炎症が鼻涙管にまで及ぶと、慢性涙のう炎を引き起こすことがあります。また、アレルギー性結膜炎などの目のアレルギーも、慢性涙のう炎のリスクを高めます。アレルギー反応によって目が炎症を起こし、その炎症が鼻涙管に広がることで、慢性涙のう炎を発症することがあります。このように、慢性涙のう炎は様々な原因で起こるため、涙目や目やになどの症状が続く場合は、眼科を受診して適切な検査と治療を受けることが大切です。
慢性涙のう炎の診断
涙の通り道である涙道が詰まり、目やにや涙が止まらなくなる慢性涙のう炎。その診断は、眼科の先生による診察と様々な検査を通して行われます。まず、先生は患者さんから症状やこれまでの経過、他に病気にかかっていないかなどを詳しく聞き取ります。同時に、目の状態を注意深く観察します。目の周りの腫れや赤み、涙の量、目やにの性状などを確認することで、涙のう炎の可能性を探ります。
次に、涙のうの部分を優しく押して、膿が出てくるかを確認します。綿棒を使って目やにを採取し、細菌検査を行うこともあります。これは、炎症の原因となっている細菌の種類を特定し、適切な薬を選ぶために必要な検査です。さらに、涙道洗浄という検査を行います。これは、細い管を使って涙道に生理食塩水を流し込み、鼻涙管という鼻につながる管の通り道を調べる検査です。鼻涙管が詰まっている場合は、液体が鼻に流れず、涙道に逆流してきます。
涙道洗浄で鼻涙管の詰まりが確認された場合、さらに詳しい検査が必要になることがあります。例えば、CT検査やMRI検査といった画像検査です。これらの検査によって、鼻涙管の閉塞の程度や場所、原因などを詳しく調べることができます。鼻涙管が狭くなっているのか、完全に詰まっているのか、あるいは腫瘍などの他の病気が原因となっているのかなどを判断します。これらの検査結果を総合的に判断し、患者さんにとって最適な治療方法が決定されます。場合によっては、手術が必要となることもあります。
慢性涙のう炎の治療
目の端にある涙の袋、つまり涙のうに炎症が慢性的に起こる病気を慢性涙のう炎といいます。この病気は、涙の通り道である鼻涙管が詰まることで涙がうまく流れなくなり、細菌が増殖することで起こります。主な症状としては、目やにが多く出る、涙が止まらない、目頭が腫れる、痛みがあるなどが挙げられます。
治療方法は、症状の重さや原因によって様々です。症状が軽い場合は、目の炎症を抑える目薬や、細菌をやっつける飲み薬を用います。また、涙の通り道をきれいに洗う涙道洗浄も効果的です。これは、涙のうの中に溜まった膿や細菌を洗い流し、炎症を鎮める効果があります。
しかし、鼻涙管の詰まりが原因で症状が良くならない場合は、手術が必要になることもあります。手術には大きく分けて二つの方法があります。一つは鼻涙管ブジーと呼ばれる方法で、細い針金を鼻涙管に通して詰まっている部分を開通させます。もう一つは涙嚢鼻腔吻合術と呼ばれる方法で、涙のうと鼻腔の間に新しい涙の通り道を作る手術です。どちらの手術も、全身に麻酔をかける場合と、部分的に麻酔をかける場合があり、状態に合わせて選択されます。
手術後は、細菌感染を防ぐための飲み薬を服用し、定期的に病院に通って経過観察を行います。適切な治療を行えば、ほとんどの場合、慢性涙のう炎は治すことができます。目の違和感や涙目などの症状が続く場合は、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
病気 | 原因 | 症状 | 治療法 |
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慢性涙のう炎 | 鼻涙管の詰まりによる涙の停滞、細菌増殖 | 目やに、涙目、目頭の腫れ、痛み |
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