要介護とは?状態とサービスの種類を解説

要介護とは?状態とサービスの種類を解説

介護を学びたい

先生、「要介護」って、どういう意味ですか?よく「介護」と「介助」っていう言葉も聞くんですけど、違いがよくわからないです。

介護の研究家

いい質問ですね。「要介護」とは、日常生活で一人では難しく、人の助けが必要な状態のことを指します。例えば、お風呂に入ったり、トイレに行ったり、ご飯を食べたりといった動作が一人ではできない状態です。一方、「介護」と「介助」は、どちらも人を助けるという意味ですが、介護は生活全般の支援を、介助は特定の動作を助けることを指します。例えば、食事の介助、排泄の介助、移動の介助などです。

介護を学びたい

なるほど。つまり、「要介護」の状態の人は、「介護」や「介助」が必要ってことですね。でも、「介護」と「介助」の違いは、生活全般か特定の動作か、という点ですね。

介護の研究家

その通りです。「要介護」状態の人は、日常生活で様々な場面で助けが必要なので、「介護」の対象となります。そして、「介護」の中には、「介助」も含まれるんですよ。つまり「介護」という言葉の方がより広い意味を持っている、ということですね。

要介護とは。

日常生活でのお風呂、トイレ、食事といった動作が難しく、誰かの助けなしでは生活がままならない状態を『要介護』といいます。要介護の状態になると、毎日の生活で常に手助けが必要になるため、介護を担う家族の負担も大きくなってしまいます。介護保険で利用できる介護サービスをうまく使うことで、介護の負担を軽くすることができます。介護サービスには、自宅でサービスを受ける『在宅介護サービス』、施設で生活しながらサービスを受ける『施設サービス』、住み慣れた地域でサービスを受ける『地域密着型サービス』の大きく3つの種類があり、その方の状態に合ったサービスを利用できます。

要介護状態とは

要介護状態とは

要介護状態とは、日常生活を送る上で必要な動作が難しくなり、一人では生活を送るのが困難な状態を指します。具体的には、食事をする、お風呂に入る、トイレに行くといった基本的な動作が一人では行えなかったり、ものの認識や判断する力の衰えにより日常生活に支障が出ていたりする状態です。これらの困難さは、年を重ねるに伴う体の機能の衰えや、病気、怪我などが原因で起こることがあります。

要介護状態の程度は、「要支援1」「要支援2」、そして「要介護1」から「要介護5」までの7段階に分けられています。この段階分けは、日常生活における自立の度合いを測るもので、「基本的な動作」と「複雑な動作」の2つの側面から評価されます。基本的な動作には、食事、更衣、移動などが含まれ、複雑な動作には、家事、外出、金銭管理などが含まれます。これらの動作がどの程度できるかによって、必要な介護サービスの量や種類が決定されます。

比較的状態が軽い「要支援1」「要支援2」では、日常生活の自立を助けるためのサービスが中心となります。例えば、自宅での生活を続けられるように、ホームヘルパーによる家事や身辺の介助、デイサービスなどの通所介護サービスを利用できます。これらのサービスを通じて、心身機能の維持向上を図り、要介護状態への進行を予防することを目指します。

一方、「要介護1」から「要介護5」までの状態になると、日常生活における様々な場面で介護が必要となり、常に誰かの助けが必要となることもあります。「要介護1」では、まだ比較的自立して生活を送れる方が多いですが、「要介護5」になると、ほぼ全ての日常生活動作に介助が必要となり、寝たきりや認知症が重度化している場合もあります。このような状態では、特別養護老人ホームなどの施設入所を検討する必要も出てきます。

要介護状態は、ご本人自身の生活の質を低下させるだけでなく、介護を担う家族にも大きな負担をかける可能性があります。肉体的にも精神的にも大きな負担がかかり、介護離職や介護うつといった問題も発生しています。そのため、介護が必要な状態になった場合は、地域包括支援センターなどの相談窓口に相談し、適切な介護サービスを利用することが重要です。介護保険制度を活用することで、様々なサービスを受けることができ、ご本人と家族の負担を軽減することに繋がります。

要介護状態 程度 サービス 状態像
日常生活動作に困難があり、一人での生活が困難な状態 要支援1, 2 ホームヘルパー、デイサービスなど
自立支援中心
比較的軽度。日常生活の自立を支援。要介護状態への進行予防。
要介護1 常に誰かの助けが必要となることも 比較的自立して生活できることが多い。
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5 ほぼ全ての日常生活動作に介助が必要。寝たきりや重度の認知症の場合も。施設入所を検討することも。
相談窓口:地域包括支援センターなど

介護が必要となる原因

介護が必要となる原因

人が介護を必要とする理由は実に様々です。主なものとしては、年齢を重ねることで体が衰えること、脳卒中、認知症、骨折などが挙げられます。

まず、年を重ねると、どうしても筋肉の力やバランス感覚が弱くなります。すると、歩くことや立ち上がることが難しくなり、転んでしまう危険も大きくなります。

次に、脳卒中についてです。脳卒中は、脳の血管に問題が起こり、脳の働きが損なわれてしまう病気です。後遺症として、体の麻痺やしびれ、言葉がうまく話せなくなるなどの症状が現れ、介護が必要となる大きな原因の一つです。

また、認知症は、記憶力や判断力が徐々に低下していく病気です。日常生活を送る上で様々な困難が生じ、介護が必要となります。例えば、食事の準備や着替え、トイレに行くといった、普段当たり前にできていたことができなくなってしまいます。

さらに、高齢者の場合、骨折がきっかけで寝たきりになってしまうことが少なくありません。骨折すると、動けなくなってしまい、日常生活の様々な動作に支障が出て、介護が必要となるケースが多いです。

これらの他に、パーキンソン病や関節リウマチなどの長く続く病気や、事故による怪我なども、介護が必要となる原因となります。多くの場合、一つの原因だけでなく、いくつかの要因が重なって介護が必要な状態になることが多く、その人のこれまでの生活や健康状態によって状況は大きく変わります。そのため、一人ひとりに合わせた適切な介護が重要になります。

主な介護が必要な理由 詳細
加齢による身体機能の低下 筋肉の力やバランス感覚の低下により、歩行や起立が困難になり、転倒の危険性が増加する。
脳卒中 脳の血管に問題が生じ、脳の働きが損なわれる。後遺症として、体の麻痺やしびれ、言語障害などが現れる。
認知症 記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が出る。食事、着替え、トイレなど、基本的な動作が困難になる。
骨折 高齢者の場合、骨折をきっかけに寝たきりになるケースが多い。動けなくなることで、日常生活の様々な動作に支障が出る。
その他 パーキンソン病、関節リウマチなどの慢性疾患や、事故による怪我なども原因となる。
複合的な要因 多くの場合、複数の要因が重なって介護が必要な状態になる。

在宅介護サービス

在宅介護サービス

在宅介護サービスとは、住み慣れた我が家で、安心して暮らし続けられるように様々な支援を提供するサービスです。利用者の状態や希望に合わせて、必要なサービスを組み合わせることができます。

大きく分けて、自宅に専門家が訪問するサービスと、施設に通うサービスがあります。訪問サービスの一つである訪問介護では、ホームヘルパーと呼ばれる介護の専門家が自宅を訪れ、日常生活の様々な場面を支援します。例えば、食事の準備や後片付け、洗濯、掃除といった家事の援助や、入浴、排泄、着替えといった身体の介助など、一人では難しいことを手伝ってもらえます。

また、専用の入浴設備を搭載した車で自宅まで来てくれる訪問入浴介護もあります。自宅のお風呂場が狭くて入浴が困難な方や、入浴介助をする家族の負担を軽減したい場合などに大変便利です。看護師による医療的な処置が必要な場合は、訪問看護を利用できます。例えば、点滴や wound healing(傷のケア)、服薬管理など、自宅で安心して医療行為を受けられます。さらに、身体機能の維持・向上を目指す訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士などが自宅を訪れ、個別のリハビリテーションを提供します。

施設に通うサービスには、通所介護(デイサービス)と通所リハビリテーションがあります。デイサービスでは、日帰りで施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどを楽しむことができます。他の利用者や職員と交流することで、社会的な孤立を防ぎ、心身のリフレッシュにも繋がります。通所リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士などによる専門的なリハビリテーションを受けることができます。

このように、在宅介護サービスには様々な種類があり、一人ひとりの状況に合わせて適切なサービスを選択・組み合わせることで、住み慣れた地域で、自分らしく、安心して生活を続けることができます。

サービスの種類 サービス内容 場所 専門家
訪問介護 食事、洗濯、掃除、入浴、排泄、着替え介助など 自宅 ホームヘルパー
訪問入浴介護 専用の入浴車で自宅訪問し入浴介助 自宅 看護師等
訪問看護 点滴、傷のケア、服薬管理など 自宅 看護師
訪問リハビリテーション 個別のリハビリテーション 自宅 理学療法士、作業療法士など
通所介護(デイサービス) 入浴、食事、レクリエーションなど 施設 介護職員
通所リハビリテーション 専門的なリハビリテーション 施設 理学療法士、作業療法士など

施設介護サービス

施設介護サービス

施設介護サービスとは、介護を必要とする方が、介護施設に住み込み、様々なサービスを受けることです。食事の用意や片付け、入浴や排泄の世話といった日常生活の身の回りのお手伝いはもちろん、健康状態の確認や管理、寝たきり予防のための運動指導なども含まれます。

介護施設には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的なものとして、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホームなどが挙げられます。

特別養護老人ホームは、常に介護が必要な方のための施設です。費用が比較的抑えられているため、経済的な負担を少なく抑えることができます。要介護度が3以上で、自宅での生活が難しい方が入所対象となります。

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す方のための施設です。日常生活の支援に加え、リハビリテーションに力を入れています。自宅での生活が困難になった方が、再び自宅で生活できるようになるための訓練や支援を行います。

介護医療院は、長期の療養が必要な方のための施設です。医療的なケアが必要な方でも安心して生活を送ることができます。病院での治療は必要ないものの、医療的な処置や継続的な看護が必要な方が対象となります。

有料老人ホームは、民間企業が運営する施設です。サービス内容や費用は施設によって大きく異なり、様々な選択肢があります。比較的要介護度が低い方向けの施設から、医療行為を伴う施設まで、幅広いサービスを提供しています。

このように、施設介護サービスを利用することで、24時間体制の支援を受けることができ、家族の負担を軽減することができます。それぞれの状況に合った施設を選ぶことが大切です。

施設の種類 特徴 対象者
特別養護老人ホーム 常に介護が必要な方向け
費用が比較的安い
要介護度3以上で、自宅での生活が難しい方
介護老人保健施設 在宅復帰を目指す方向け
リハビリテーションに力を入れている
自宅での生活が困難になった方
介護医療院 長期の療養が必要な方向け
医療的なケアが必要な方でも安心
病院での治療は必要ないが、医療処置や継続的な看護が必要な方
有料老人ホーム 民間企業が運営
サービス内容や費用は施設によって様々
要介護度が低い方から医療行為を伴う方まで幅広い

地域密着型サービス

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、高齢者が住み慣れた地域で、暮らし続けられるよう、様々なサービスを提供するものです。住み慣れた家、顔なじみのご近所さんとの繋がりを大切にしながら、安心して生活していくことを支えるための仕組みです。

具体的には、様々な種類のサービスがあります。例えば、「通い」「泊まり」「訪問」の三つのサービスを組み合わせて利用できる小規模多機能型居宅介護があります。これは、利用者の状態や希望に合わせて柔軟にサービス内容を調整できる点が特徴です。日中は施設へ「通い」で行き、他の利用者と交流しながら過ごしたり、必要に応じて自宅へ「訪問」介護を受けたり、または施設に「泊まり」で宿泊したりと、状況に応じて使い分けることができます。

また、夜間に排泄の付き添いや見守りが必要な方には夜間対応型訪問介護があります。夜間に自宅へ訪問介護員が来てくれるので、一人暮らしで夜間不安な方も安心して過ごすことができます。

さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な訪問に加えて、急な体調変化など必要な時に、すぐに駆けつけてくれるサービスです。日頃から様子を見に来てくれる安心感に加え、必要な時にすぐに対応してもらえるので、より安全に在宅生活を続けられます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の方が少人数で共同生活を送る住まいです。家庭的な雰囲気の中で、食事や入浴、排泄などの日常生活の支援を受けながら、穏やかに過ごすことができます。

このように、地域密着型サービスは、様々なニーズに対応した多様なサービスを提供することで、高齢者が地域の中で安心して生活し続けられるよう支援しています。住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けたいという思いを叶えるために、これらのサービスをぜひ活用してみてください。

サービスの種類 サービス内容 対象者
小規模多機能型居宅介護 「通い」「泊まり」「訪問」の3サービスを組み合わせて利用可能。利用者の状態や希望に合わせた柔軟なサービス提供。 自宅で生活しながら、日中施設に通ったり、必要に応じて訪問介護を受けたり、宿泊したりしたい方
夜間対応型訪問介護 夜間に訪問介護員が自宅を訪問し、排泄の付き添いや見守りを実施。 夜間、一人暮らしで不安な方、排泄や見守りの支援が必要な方
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 定期的な訪問に加え、急な体調変化など必要な時にすぐに訪問介護看護を提供。 日頃の様子確認や、緊急時の対応が必要な方
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 少人数で共同生活を送る住まい。家庭的な雰囲気の中で、日常生活の支援を提供。 認知症の方