ロービジョン:見えにくい世界を理解する
介護を学びたい
先生、「ロービジョン」って、眼鏡をかけてもよく見えない人のことですよね?具体的にどういう状態なのか、もう少し詳しく教えてください。
介護の研究家
そうだね。眼鏡やコンタクトレンズを使っても、視力が十分に上がらず、生活に支障がある状態を「ロービジョン」と言うんだ。世界保健機関では、矯正視力が0.05以上0.3未満の場合をロービジョンと定義しているよ。
介護を学びたい
0.05以上0.3未満というと、どのくらい見えにくいのですか?
介護の研究家
たとえば、視力0.1の人は、1メートル離れたところにいる人の顔を認識するのが難しい程度。視力0.3の人は、5メートル離れた場所にあるランドルト環の大きな輪っかがやっと認識できる程度だ。つまり、ロービジョンの人は、日常生活で様々な困難を経験する可能性があるということだね。
ロービジョンとは。
「介護」と「介助」といった言葉に関わる「ロービジョン」について説明します。ロービジョンとは、目の見え方に問題がある状態の一つで、まったく目が見えないわけではないけれど、視力が弱く、コンタクトレンズやめがねを使っても、見え方を良くするのが難しい状態のことです。世界保健機関(WHO)では、めがねをかけても視力が0.05以上0.3未満の状態をロービジョンと定めています。
ロービジョンの定義
ロービジョンとは、見えにくいけれど、全く見えないわけではない状態のことを指します。眼鏡やコンタクトレンズを使っても、視力が十分に上がらず、日常生活に支障が出てしまう状態です。世界保健機関(WHO)では、矯正視力が0.05以上0.3未満の場合をロービジョンと定めています。0.3の視力では、読書や歩行、人の顔を見分けることなど、普段の生活を送る上で、様々な困難が伴います。
ロービジョンを引き起こす目の病気は様々です。例えば、加齢黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑に異常が生じ、視界の中心が暗く見えたり、歪んで見えたりします。また、緑内障は、視神経が障害される病気で、視野が狭くなったり、欠けたりします。さらに、糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として網膜の血管が傷つき、視力低下を引き起こします。これらの病気以外にも、生まれつきの原因や、けが、感染症などによってロービジョンになることもあります。
ロービジョンの方の見えにくさは、人によって様々です。視力低下の度合いも違えば、見え方の特徴も異なります。視野の中心が暗く見える人、視野の周辺が見えない人、物が歪んで見える人、光がまぶしく感じる人など、症状は多岐に渡ります。また、同じ病気であっても、見えにくさの種類や程度には個人差があります。そのため、ロービジョンの方一人ひとりの状態を理解し、それぞれの見え方に合わせた支援が必要となります。周囲の理解と適切なサポートが、ロービジョンの方々がより豊かな生活を送るために欠かせません。
ロービジョンとは | 見えにくいけれど、全く見えないわけではない状態。 眼鏡やコンタクトレンズを使っても、視力が十分に上がらず、日常生活に支障が出てしまう状態。 |
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WHOの定義 | 矯正視力が0.05以上0.3未満 |
ロービジョンを引き起こす目の病気の例 |
※その他、生まれつきの原因や、けが、感染症などによってロービジョンになることもある。 |
ロービジョンの方の見えにくさの特徴 |
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必要な支援 | ロービジョンの方一人ひとりの状態を理解し、それぞれの見え方に合わせた支援 |
日常生活への影響
視力が低下した状態は、私たちの普段の生活に様々な影響を及ぼします。まず、文字を読むことが難しくなります。そのため、新聞や本を読むことが困難になり、情報を得ることに苦労したり、読書などの趣味を楽しめなくなったりします。テレビを見たり、パソコンを使うことも難しくなるため、社会とのつながりが薄れてしまうこともあります。
歩くことにも影響が出ます。段差や障害物が見えにくいため、つまづいたり転んだりする危険性が高まります。外出する時は、周りの様子が把握しづらく、不安を感じることが多いため、一人での外出が難しくなることもあります。
家事にも影響があります。料理や掃除、洗濯などの家事に時間がかかったり、危険が伴ったりするため、普段の生活を自分で送ることが難しくなることがあります。包丁で指を切ったり、火を使う際にやけどをする危険性も高まります。また、掃除で小さなゴミが見えにくく、掃除が行き届かないこともあります。洗濯では、洗剤の量を計るのが難しかったり、洗濯物の色分けが難しかったりします。
仕事や学業にも影響が出ることがあります。細かい作業や文字を読む作業が難しいため、仕事の種類が限られたり、学校の成績が下がったりする可能性があります。資料作成やメールの送受信にも時間がかかり、作業効率が低下することもあります。
このように、視力の低下は生活の質を下げてしまう可能性があるため、周りの人の適切な支えと、生活しやすいように環境を整えることが大切です。例えば、家の中では家具の配置を工夫したり、明るい照明を使ったりすることで、安全に過ごすことができます。また、外出時には白い杖を使う、音声案内を利用するなど、様々な工夫をすることで、より安全で快適な生活を送ることができます。
影響を受ける領域 | 具体的な影響 |
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読書・情報収集 | 新聞や本を読むのが困難 情報を得ることに苦労 読書などの趣味を楽しめない |
視聴覚活動・コミュニケーション | テレビ視聴やパソコン操作が困難 社会とのつながりが希薄化 |
歩行・移動 | 段差や障害物が見えにくく転倒の危険増加 外出時の不安感から一人での外出が困難に |
家事 | 家事に時間がかかる、危険が伴う 料理中の怪我のリスク 掃除の質低下 洗濯の困難さ |
仕事・学業 | 細かい作業や文字を読む作業が困難 仕事の種類が限定 学業成績の低下 作業効率の低下 |
支援と対策
目の見えにくい方々を支える様々な方法があります。まず、見えにくいことを補うための道具を使うことが有効です。文字や物を大きく見せる虫眼鏡や、読書を助ける拡大読書器などは、読書や日々の暮らしを楽にします。また、家の中や身の回りの環境を整えることも大切です。照明を明るくしたり、物の色を区別しやすくしたりすることで、見えやすさを改善できます。例えば、白いお皿に濃い色の食べ物を盛る、黒い靴下と白い靴下を分けて収納するなど、ちょっとした工夫が効果的です。さらに、段差をなくしたり、手すりを取り付けたりすることで、安全に暮らせるように工夫することも重要です。
見えにくい方々にとって、残っている視力を最大限に活かす訓練も大きな助けになります。視野を上手に使う練習や、色の見分け方を学ぶことで、行動範囲を広げ、より自立した生活を送ることができます。専門家の指導の下、自分に合った訓練方法を見つけることが大切です。周りの人の理解と協力も欠かせません。見えにくい方の状況を理解し、必要な時に手を差し伸べることが、社会への参加を促し、生活の質を高めます。例えば、電車やバスでは席を譲ったり、困っている様子の方には声をかけて道案内をしたりするなど、思いやりのある行動が、見えにくい方々にとって大きな支えとなります。また、公共の場では、点字ブロックや音声案内などの設備が整えられています。これらの設備を正しく利用し、必要に応じて見えにくい方に使い方を伝えることも、周りの人の大切な役割です。 このように、道具の活用、環境の整備、訓練、そして周りの人の理解と協力によって、見えにくい方々が安心して快適に暮らせる社会を実現できます。
支援の種類 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
道具の活用 | 虫眼鏡、拡大読書器など | 読書や日々の暮らしを楽にする |
環境の整備 | 照明を明るくする、物の色を区別しやすくする、段差をなくす、手すりを取り付けるなど | 見えやすさの改善、安全な暮らし |
訓練 | 視野を上手に使う練習、色の見分け方を学ぶなど | 行動範囲の拡大、自立した生活 |
周りの人の理解と協力 | 席を譲る、道案内をする、点字ブロックや音声案内の使い方を伝えるなど | 社会参加の促進、生活の質の向上 |
社会の役割
視力の弱い方々が社会で活躍できるかどうかは、社会全体の理解と協力にかかっています。公共の場や交通機関を誰もが使いやすいように整備するのはもちろんのこと、情報を得やすくするための工夫も大切です。例えば、音声による案内や点字表示、大きな文字表示を取り入れることで、必要な情報に誰もが触れられるようになります。
また、企業や学校などでは、視力の弱い方々が働きやすく学びやすい環境を作る必要があります。適切な補助道具を提供したり、働く場所や学ぶ環境を調整したり、一人ひとりの事情に合わせた勤務時間や学習時間を設定したりするなど、それぞれの必要性に合わせた配慮が必要です。特に職場では、パソコンの画面を拡大表示できる機能や、音声読み上げソフトなどを導入することで、業務をスムーズに行えるよう支援することができます。学校では、拡大教科書や点字教材の提供、試験時間の延長といった配慮が重要です。
さらに、視力の弱い方々に関する正しい知識を広める活動も欠かせません。視力の弱い方々の状況について多くの人が理解することで、誤解や偏見をなくし、共に生きる社会を実現することに繋がります。具体的には、地域での講演会や啓発イベントなどを開催し、視覚障害に関する基礎知識や、視力の弱い方々への適切な接し方などを学ぶ機会を設けることが重要です。
視力の弱い方々が、それぞれの持つ力を発揮し、社会の一員として活躍できるよう、社会全体で支えていくことが大切です。そのためには、行政だけでなく、企業、学校、地域住民など、様々な立場の人々が協力し、誰もが暮らしやすい社会を築いていく必要があります。
場所 | 必要な工夫 |
---|---|
公共の場・交通機関 | 音声案内、点字表示、大きな文字表示 |
企業 | 補助道具の提供、職場環境の調整、勤務時間の調整、画面拡大機能、音声読み上げソフト |
学校 | 拡大教科書、点字教材、試験時間の延長 |
社会全体 | 講演会・啓発イベントによる視覚障害の理解促進 |
未来への展望
目の病気が原因で視力が弱くなることへの対策は、医療技術の進歩と共に大きく変わってきています。例えば、病気を早く見つけて、すぐに治療を始めれば、視力が悪くなるのを遅らせることができるようになってきました。さらに、細胞を新しく作り出す治療や、遺伝子を使った治療といった新しい方法も研究が進んでいます。将来は、視力が弱くなる根本的な原因を取り除く治療ができるようになるかもしれません。
視力を助ける道具も進化しています。人工知能を使ったシステムや、網膜に直接映像を映す技術など、これまでになかった革新的な技術が生まれています。これらの技術のおかげで、視力が弱い人も、今よりも見えやすくなり、より良い生活を送れるようになることが期待されます。
また、視力が弱い人も含めて、誰もが自分の持っている力や個性を活かして活躍できる社会を作っていくことが大切です。そのためには、学校での教育、仕事を見つけること、生活を支える制度など、様々な場面で、誰もが暮らしやすいように環境を整えていく必要があります。具体的には、公共の場所や乗り物で、音声案内や点字表示などを増やす取り組みが考えられます。職場では、視力が弱い人に合わせた作業環境や、必要な支援を提供することが重要です。
視力が弱い人にとって、社会全体が理解を示し、支え合うことが、より良い未来につながります。誰もがそれぞれの違いを認め合い、共に生きる社会を目指していくことが大切です。
対策の分類 | 具体的な内容 |
---|---|
医療技術の進歩 | 早期発見・治療、細胞/遺伝子治療 |
視力補助技術の進化 | 人工知能システム、網膜投影技術 |
社会環境の整備 | 教育、就労支援、生活支援制度、バリアフリー化(音声案内、点字表示)、職場環境調整 |
社会全体の理解と支援 | 多様性の受容、共生社会の実現 |