カルテ用語OC:現病歴の理解

カルテ用語OC:現病歴の理解

介護を学びたい

先生、「介護」と「介助」の違いがよくわからないのですが、教えていただけますか?あと、OCに書く時の注意点もあれば教えてください。

介護の研究家

良い質問ですね。「介護」は食事や入浴、排泄など、生活全般の支援をすることで、「介助」は移動や着替えなど、特定の動作を補助することです。簡単に言うと、「介護」の中に「介助」が含まれると考えてください。OCに書くときは、どちらの支援をしたのかを具体的に書くことが大切です。例えば、『食事の「介助」として、スプーンを使って食べさせた』のように書くと分かりやすいですね。

介護を学びたい

なるほど。「介護」の中に「介助」が含まれるのですね。OCには具体的に何をしたのかを書けば良いのですね。ありがとうございます。

介護の研究家

そうです。その通りです。具体的に書くことで、他の医療従事者も状況を正しく理解できます。頑張って下さい。

OCとは。

看護記録に書く専門用語で、今の病気の経過を指す『オーシー』(ピーアイともいう)について説明します。これは『介護』と『介助』に関係することばです。

現病歴とは

現病歴とは

現病歴とは、患者さんが今まさに抱えている病気や不調について、その始まりから現在までの変化を時間順に詳しく記録したものです。これは、医師が病気の本当の原因を探り、診断を下し、治療方針を決める上で非常に大切な情報源となります。カルテにはよく「OC」または「PI」と略して書かれています。

現病歴を作る際は、患者さん自身が自分の言葉で説明した内容がもとになります。そのため、患者さん自身の感じ方や考え方が含まれる、いわば主観的な記録となります。しかし、この主観的な情報こそが、患者さんの状態を深く理解する手がかりとなるのです。もちろん、客観的な検査データなども合わせて、全体を見ながら判断することで、より確かな診断へと繋がります。

現病歴は、一度書いたら終わりではありません。病状が変化したり、新しい症状が現れたりする度に、その都度更新していく必要があります。過去の記録と見比べることで、病気がどのように進んでいるのか、治療がどれくらい効いているのかを評価することができます。例えば、以前は痛みが強かったのに、今は楽になった、あるいは熱が下がったといった変化を記録することで、治療の効果を客観的に判断できるのです。また、新たな症状が現れた場合、それが最初の病気と関係があるのか、それとも別の病気なのかを判断する材料にもなります。

このように、正確で詳しい現病歴の記録は、質の高い医療を提供するために欠かせないものと言えるでしょう。患者さん一人ひとりの状況を丁寧に記録し、それを基に治療を進めていくことで、より良い医療の実現へと繋がっていくのです。

項目 内容
定義 患者さんが今抱えている病気や不調について、始まりから現在までの変化を時間順に記録したもの
重要性 医師が病気の原因を探り、診断、治療方針を決める上で非常に大切な情報源
略語 OCまたはPI
作成方法 患者さん自身の言葉に基づき作成(主観的な記録)
情報の価値 主観的な情報こそが、患者さんの状態を深く理解する手がかりとなる。ただし客観的な検査データ等と合わせて判断する必要がある
更新 病状の変化や新しい症状が現れる度に更新が必要
更新によるメリット 病気の進行状況や治療効果の評価、新たな症状と最初の病気との関連性の判断
結論 正確で詳しい現病歴の記録は質の高い医療に不可欠

OCとPIの違い

OCとPIの違い

病気の記録方法には、よく似た言葉が使われることがあり、混乱することもあります。その代表的な例として、「発症と経過」を意味するOCと「現在の病気」を意味するPIがあります。どちらも、患者さんが今どのような病気で困っているのかを理解するために必要な情報をまとめたものです。

OCは英語の「Onset and Course」の頭文字を取ったもので、病気の始まりと、その後の変化の様子を特に重視した記録方法です。いつから症状が現れ始めたのか、どのように変化してきたのか、良くなったり悪くなったりを繰り返しているのかといった情報を詳しく記録します。一方、PIは「Present Illness」の略で、現在の病気の状態を広く記録する際に使われます。

実際には、OCとPIはほぼ同じ意味で使われることが多く、厳密な区別はあまりされていません。どちらの書き方であっても、患者さんの訴える症状、その症状がいつからどのように続いているのか、他に何か気になることはないかなど、現在の病状について詳しく記録することが大切です。医療現場では、OCとPIのどちらを使っても、「現病歴」の情報だと理解されます。

ただし、病院や診療所によっては、記録の統一性を図るため、どちらか一方の略語だけを使うように決めている場合もあります。そのため、初めて働く場所では、周りの人に確認したり、記録の書き方のルールを確認したりするなどして、その場所に合った書き方をすることが大切です。どちらの書き方でも、患者さんの状態を正しく理解し、適切な治療につなげるための大切な情報となるため、正確で分かりやすい記録を心がけることが重要です。

項目 OC (Onset and Course) PI (Present Illness)
意味 発症と経過 現在の病気
焦点 病気の始まりと、その後の変化の様子 現在の病気の状態全般
記録内容 症状が現れ始めた時期、変化の様子、良くなったり悪くなったりを繰り返しているか等 患者さんの訴える症状、症状がいつからどのように続いているのか、他に気になることはないか等
実際の使い方 PIとほぼ同じ意味で使われることが多い OCとほぼ同じ意味で使われることが多い
医療現場での理解 現病歴 現病歴
注意点 病院や診療所によっては、PIのみの使用を推奨している場合もある 病院や診療所によっては、OCのみの使用を推奨している場合もある

カルテ記載の重要性

カルテ記載の重要性

診療記録は、医療の質を保ち、より良くしていくために欠かせません。 診療記録は、医療に携わる人たちが情報を共有するための大切な道具です。もしも正確な情報が書き込まれていなければ、患者さんに合った医療を提供することは難しくなります。

特に、病状の変化を時系列で記録したものは、診断や治療方針を決める上で最も大切な情報源となります。そのため、その正確さは極めて重要です。

たとえば、患者さんがいつからどのような症状を感じ始めたのか、どのような経過をたどってきたのか、過去にどのような病気にかかったことがあるのか、などを詳しく記録することで、医師はより正確な診断を下すことができます。また、他の医療スタッフも、記録された情報に基づいて、患者さんに適切なケアを提供することができます。

医療に関する争いが起きた場合、診療記録は重要な証拠となります。そのため、自分の考えや解釈を加えず、実際に起きたことや患者さんの訴えをありのままに、詳しく記録することが求められます。あいまいな表現や憶測ではなく、具体的な日時や症状、患者さんの発言などを記録することで、後から事実関係を確認することができます。

適切な診療記録は、医療機関全体の仕事効率を上げることにもつながります。情報が整理され、必要な情報にすぐにアクセスできる状態であれば、円滑な診療を行うことができ、医療の質の向上に貢献します。たとえば、過去の診療記録をすぐに確認できれば、医師は患者さんの病状の変化を把握しやすくなり、より適切な治療方針を立てることができます。また、看護師や薬剤師なども、必要な情報をすぐに確認できるため、連携がスムーズになり、より質の高い医療を提供することができます。

そのため、医療に携わる人は皆、診療記録の重要性を理解し、正確な記録を心がける必要があります。 診療記録は、患者さんの命を預かる医療において、なくてはならないものです。

診療記録の重要性 詳細
医療の質の向上 医療関係者間での情報共有、適切な医療提供、診断・治療方針決定の支援、円滑な診療、業務効率向上
法的証拠 医療紛争発生時の事実確認
正確な記録の必要性 客観的事実、具体的な日時・症状・患者発言、時系列、病状の変化

良い現病歴の書き方

良い現病歴の書き方

現病歴は、患者さんの現在の病状を理解する上で非常に重要な情報源です。的確な診断と適切な治療方針決定のためには、正確で詳細な現病歴の記録が欠かせません。優れた現病歴を作成するためのポイントをいくつかご紹介します。

まず、患者さんが訴えている症状を、飾らないありのままの言葉で記録することが大切です。専門用語に置き換えず、患者さん自身の表現を用いることで、ニュアンスや微妙な変化を見逃さずに済みます。例えば、「胸が締め付けられるように苦しい」といった表現は、医学用語に置き換えるよりも、患者さんの感覚をより正確に伝えます。

次に、症状が初めて現れた時期、場所、状況などを具体的に記録しましょう。いつ、どこで、どのような状況下で症状が現れたのかは、原因を特定するための重要な手がかりとなります。「昨日、夕食後に自宅でテレビを見ていたら急に息苦しくなった」のように具体的に記録することで、医師はより詳細な状況を把握できます。

さらに、症状がどのように変化してきたかを詳細に記録することも重要です。時間の経過とともに症状がどのように悪化したり、軽減したりしたのか、また、どのような対処をしてきたのかを記録することで、病気の経過を把握し、今後の治療方針を検討するのに役立ちます。例えば、「最初は軽い咳だったのが、次第に痰が絡むようになり、熱も出てきたので市販の風邪薬を飲んだ」のように、具体的な変化と対処法を記録することが重要です。

加えて、過去の病気や現在の生活習慣などの情報も現病歴に含めると、より包括的な情報を得ることができ、正確な診断につながります。例えば、喫煙習慣やアレルギーの有無、過去の入院歴などは重要な情報です。

最後に、医師による客観的な観察結果と患者さん自身の主観的な訴えは、明確に区別して記録する必要があります。医師が聴診器で確認した呼吸音の異常や、患者さんが訴える息苦しさは、それぞれ異なる種類の情報であり、混同すると判断を誤る可能性があります。それぞれを明確に分けて記録することで、混乱を防ぎ、的確な判断を下すことができます。

項目 詳細
ありのままの言葉で記録 専門用語ではなく、患者さん自身の言葉で症状を記録する 「胸が締め付けられるように苦しい」
発症時期、場所、状況 症状が初めて現れた時期、場所、状況を具体的に記録する 「昨日、夕食後に自宅でテレビを見ていたら急に息苦しくなった」
症状の変化と対処 時間の経過に伴う症状の変化と、それに対する対処法を記録する 「最初は軽い咳だったのが、次第に痰が絡むようになり、熱も出てきたので市販の風邪薬を飲んだ」
背景情報 過去の病気や現在の生活習慣などの情報を記録する 喫煙習慣、アレルギーの有無、過去の入院歴
客観的観察と主観的訴えの区別 医師の観察結果と患者さんの訴えを明確に区別して記録する 医師の観察:呼吸音の異常、患者の訴え:息苦しさ

まとめ

まとめ

患者さんが今まさに抱えている病気や症状の経過を時系列で記録したものを現病歴といいます。これは診療録に「現病歴」または「OC(Onset and Course)」、「PI(Present Illness)」と記されます。診断や治療方針を決める上で欠かせない情報源となるだけでなく、医療関係者同士の情報共有や、医療紛争が起こった際の証拠資料としても大切な役割を担います。ですから、質の高い医療を提供するためには、正確で詳細な現病歴の記録が不可欠なのです。

現病歴を適切に記録するためには、いくつかの注意点があります。まず、患者さんの訴えを、患者さん自身の言葉でそのまま記録することが大切です。「頭が痛い」だけでなく、「ズキズキするような痛み」や「締め付けられるような痛み」など、具体的な表現を記録することで、より正確な診断に役立ちます。また、症状がいつ、どこで、どのような状況で現れたのか、どのように変化したのかなど、具体的な状況を記録することも重要です。例えば、発熱の場合、「昨日の朝から38度の熱がある」だけでなく、「昨日の朝から38度の熱があり、夕方には39度まで上がった。今日は午前中37度まで下がったが、午後からまた38度になった」のように、時間経過とともに変化を記録します。

さらに、関連する過去の病気や生活習慣なども記録することで、病気の原因を探る手がかりになります。例えば、喫煙習慣のある人が咳を訴えている場合、その喫煙歴も記録しておく必要があります。そして、医療関係者が観察した客観的な所見と、患者さん自身が感じている主観的な訴えを明確に区別して記録することも大切です。例えば、「患者さんは息苦しさを訴えているが、呼吸音は正常である」のように記録することで、より客観的な判断が可能になります。

医療関係者は現病歴の重要性を認識し、日々の診療において正確な記録を心掛ける必要があります。患者さんも、自分の症状や経過を正確に伝えることが、適切な医療を受ける上で重要です。医師との良好な意思疎通を図り、必要な情報を伝えるようにしましょう。

現病歴の重要性 記録のポイント 具体例
診断・治療方針決定、情報共有、証拠資料
  • 患者自身の言葉で記録
  • 具体的な状況・変化を記録
  • 「ズキズキする痛み」
  • 「昨日の朝から38度の熱があり、夕方には39度まで上がった。今日は午前中37度まで下がったが、午後からまた38度になった」
質の高い医療の提供 関連する過去の病気や生活習慣も記録 喫煙習慣のある人が咳を訴えている場合、喫煙歴も記録
客観的な所見と主観的な訴えを区別 「患者さんは息苦しさを訴えているが、呼吸音は正常である」