やけどの予防と対処法

やけどの予防と対処法

介護を学びたい

先生、「熱傷」って、どのくらい熱いものにさわったらなるんですか? お湯をこぼしたときも熱傷になるんですか?

介護の研究家

いい質問ですね。熱傷は、熱いものに触れたときだけでなく、低温のものに長時間触れていても起こることがあります。お湯をこぼした場合も、お湯の温度や触れていた時間によっては熱傷になる可能性があります。 熱傷には段階があり、症状によって呼び方も変わってきます。

介護を学びたい

段階があるんですか? 軽い火傷とどう違うんですか?

介護の研究家

そうですね。例えば、皮膚が赤くなるだけの軽いものは「Ⅰ度熱傷」、水ぶくれができるものは「Ⅱ度熱傷」、皮膚が黒く焦げるような状態のものは「Ⅲ度熱傷」と呼ばれます。 Ⅰ度熱傷は軽い火傷と同じと考えてもいいでしょう。 Ⅱ度、Ⅲ度になると、火傷よりも重症なイメージですね。 熱傷の程度によって適切な処置も変わってきますので、注意深く観察することが大切です。

熱傷とは。

お湯や油、薬品などによって皮膚が傷ついてしまうことを『やけど』といいます。ここでは、この『やけど』について介護と介助の面から説明します。

やけどとは

やけどとは

やけどとは、高い温度のものに触れたり、熱湯や熱い油、薬品、電気、放射線などによって皮膚やその下の組織が傷つくことを指します。軽いものだと皮膚が赤くなる程度で済みますが、ひどい場合には水ぶくれができたり、皮膚が黒く焦げてしまうこともあります。やけどの深さは、傷ついた範囲と深さで分けられ、それによって適切な手当ての方法も変わってきます。

私たちの身の回りでは、台所で料理をしている時に熱い油や鍋に触れてしまったり、熱い飲み物をひっくり返したり、アイロンやヘアアイロンで皮膚を焼いてしまうといったことがよくあります。特に、皮膚が薄く、熱さを感じにくい乳幼児や高齢者はやけどしやすいので注意が必要です。小さな子どもは、熱いものに触ってもすぐに自分ではなすことができないため、大人がしっかりと見守ることが大切です。

やけどをしたときは、適切な処置をしないと細菌による感染症を起こしたり、傷跡が残ってしまうことがあります。そのため、できるだけ早く正しい手当てをすることが重要です。また、ひどいやけどは命に関わることもあるので、普段からやけどをしないように気を付けることも大切です。

やけどの深さによって、1度、2度、3度に分類されます。1度は皮膚の表面だけが赤くなる状態で、2度は水ぶくれができる状態です。3度は皮膚の奥深くまで傷つき、黒く焦げたり、白くなったりします。3度のやけどは、痛みを感じにくい場合もあります。

やけどをしてしまったら、まずは流水で十分に冷やすことが大切です。衣服の上からでも冷やし、その後、衣服を脱がせましょう。水ぶくれは破らずに、清潔なガーゼなどで覆い、医療機関を受診しましょう。広範囲のやけどや、深いと考えられるやけどの場合は、すぐに救急車を呼びましょう。自己判断で民間療法などを行うのは避け、必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。

やけどとは 高温のもの、熱湯/油、薬品、電気、放射線で皮膚/組織が損傷すること
症状 皮膚の赤み、水ぶくれ、皮膚の焦げ
分類
  • 1度:皮膚表面が赤くなる
  • 2度:水ぶくれができる
  • 3度:皮膚の奥深くまで損傷、黒く焦げる/白くなる(痛みを感じにくい場合も)
原因 熱い油/鍋、熱い飲み物、アイロン/ヘアアイロンなど
高リスク者 乳幼児、高齢者
処置 流水で冷やす、水ぶくれは破らない、清潔なガーゼで覆う、医療機関を受診
広範囲/深い場合 すぐに救急車を呼ぶ
注意点 感染症/傷跡残留の可能性、民間療法は避け医師の診察/治療

やけどの深さ

やけどの深さ

熱いものに触れたり、火に近づきすぎたりすることで皮膚が損傷するやけどは、その深さによって三段階に分類されます。一つ目は、皮膚の表面である表皮だけが損傷したもので、Ⅰ度熱傷と呼ばれています。この場合、皮膚は赤くなり、ひりひりとした痛みを感じますが、水ぶくれはできません。通常は数日で自然に治ります。

二つ目は、表皮だけでなく、その下の真皮と呼ばれる部分まで損傷したもので、Ⅱ度熱傷と呼ばれています。Ⅰ度熱傷と同様に皮膚が赤くなることに加えて、水ぶくれができます。痛みも強く、治るまでには数週間かかることもあります。適切な処置を受けないと、傷跡が残ってしまうこともありますので注意が必要です。

三つ目は、表皮、真皮だけでなく、皮下組織や筋肉、骨といったさらに深い部分まで損傷したもので、Ⅲ度熱傷と呼ばれています。皮膚は白っぽく、あるいは黒く焦げて硬くなり、痛みを感じないこともあります。これは、熱によって神経が損傷していることが原因です。Ⅲ度熱傷は非常に重い状態で、皮膚を移植する手術が必要になる場合もあります。治癒には長い期間を要し、後遺症が残る可能性も高いです。やけどの深さを自分で判断するのは難しいので、少しでも異常を感じたら、医療機関で診察を受けるようにしましょう。

やけどの深さ 症状 治癒期間 その他
Ⅰ度熱傷 皮膚が赤くなる、ひりひりとした痛み、水ぶくれはできない 数日 自然に治る
Ⅱ度熱傷 皮膚が赤くなる、水ぶくれ、強い痛み 数週間 適切な処置を受けないと傷跡が残る可能性あり
Ⅲ度熱傷 皮膚は白っぽくor黒く焦げて硬くなる、痛みを感じない場合もある 非常に長期間 皮膚移植手術が必要な場合あり、後遺症が残る可能性が高い

やけどの応急処置

やけどの応急処置

皮膚が熱湯や火、アイロンなどに触れてしまい損傷することをやけどといいます。やけどをしてしまった時は、すぐに流水で患部を冷やすことが大切です。水道水など清潔な水を用いて、少なくとも15分から20分程度は冷やし続けましょう。これは、皮膚の熱を取り除き、炎症が広がるのを抑え、痛みを軽くするのに役立ちます。冷やすことで、やけどの深さが進行するのを防ぐこともできます。ただし、氷水のような冷たすぎる水で冷やすと、凍傷を起こす危険がありますので避けましょう。もし流水がない場合は、清潔なタオルやガーゼを水で濡らし、患部に当てて冷やしてください。濡らした布が温まってきたら、こまめに取り替えて、冷やし続けましょう。

衣類の上からやけどをしてしまった場合は、無理に脱がそうとせず、衣類の上から冷水を流してください。無理に脱がすと、皮膚が剥がれてしまうことがあります。やけどによって水ぶくれができてしまった場合は、絶対に破らないように注意しましょう。水ぶくれの中には体液が溜まっており、これは細菌から皮膚を守る役割を果たしています。もし水ぶくれが破れてしまった場合は、清潔なガーゼで優しく覆い、できるだけ早く医療機関を受診してください。やけどの範囲が広い場合、顔や手足など体の重要な部分をやけどした場合、また、電気や化学物質によるやけどの場合は、重症化する可能性があります。このような場合は、冷やしながらすぐに救急車を呼び、医療機関に搬送してもらいましょう。自己判断で治療しようとせず、医師や看護師などの専門家の指示に従うことが大切です。やけどは適切な処置を行うことで、跡を残さず治る可能性が高まります。少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関に相談しましょう。

状況 処置 注意点
やけどをした直後 清潔な流水で15~20分冷やす 氷水は使用しない
流水がない場合 清潔なタオルやガーゼを水で濡らし、患部に当てて冷やす。温まったら取り替える
衣類の上からやけどをした場合 衣類の上から冷水を流す 無理に脱がさない
水ぶくれができた場合 絶対に破らない 破れた場合は清潔なガーゼで覆い、医療機関を受診
広範囲のやけど、顔や手足のやけど、電気・化学物質によるやけど 冷やしながらすぐに救急車を呼ぶ 重症化する可能性があるため、自己判断で治療しない

やけどの予防方法

やけどの予防方法

やけどは、日常生活の中で、ちょっとした不注意から発生する事故です。重症化すると、入院治療が必要となる場合もあります。後遺症が残ってしまう可能性もあるため、日頃から予防を心掛けることが大切です。

台所は、やけどの危険性が特に高い場所です。料理中は、火を使っているコンロの周りに、燃えやすい物を置かないように気を付けましょう。油を使った料理をするときは、十分に注意が必要です。また、鍋ややかんの取っ手は、子どもが誤って触ってしまわないよう、内側に向けておく習慣をつけましょう。熱い飲み物を運ぶ際も、こぼさないように注意深く運び、子どもや高齢者には、取っ手つきのカップや湯飲みを使うように伝えましょう。

お風呂では、お湯の温度に注意が必要です。やけどを防ぐためには、入浴前にお湯の温度を確認する癖をつけましょう。特に、高齢者や小さな子どもは、皮膚が薄いため、やけどしやすいので、お湯の温度はぬるめに設定するようにしましょう。また、温めたカイロや湯たんぽを使う際も、低温やけどに注意が必要です。長時間同じ場所に当て続けると、低温であっても皮膚が赤くなったり、水ぶくれになってしまうことがあります。就寝時は使用を控え、低温やけどの症状が出た場合は、すぐに使用を中止しましょう。

ストーブやヒーターなどの暖房器具は、冬場に欠かせないものですが、やけどの危険も潜んでいます。使用中は、周囲に燃えやすい物を置かないようにし、安全な距離を保ちましょう。電気ストーブやガスストーブなどは、使用後、きちんと電源を切るか火を消したかを確認することが重要です。

アイロンやヘアーアイロンなどは、高温になるため、使用中はもちろん、使用後も注意が必要です。使用後は、すぐに電源を切り、子どもが触らない安全な場所に保管しましょう。また、子どもには、火の危険性について教え、火遊びを絶対にさせないようにしましょう。ライターやマッチなど、火をつける道具は、子どもの手の届かない場所に保管することが大切です。これらの予防策を意識することで、やけどのリスクを減らし、安全な暮らしを実現できるでしょう。

場所 注意点
台所
  • コンロの周りに燃えやすい物を置かない
  • 油を使った料理に注意
  • 鍋ややかんの取っ手を内側に向ける
  • 熱い飲み物を運ぶ際は注意深く、子どもや高齢者には取っ手つきのカップを使用
お風呂
  • 入浴前にお湯の温度を確認(特に高齢者や子どもはぬるめに)
  • カイロや湯たんぽの長時間使用に注意(低温やけどの危険)
暖房器具
  • 周囲に燃えやすい物を置かない
  • 安全な距離を保つ
  • 使用後は電源を切るか火を消したかを確認
アイロンなど
  • 使用中はもちろん、使用後も注意
  • 使用後は電源を切り、安全な場所に保管
全般
  • 子どもに火の危険性を教え、火遊びをさせない
  • ライターやマッチを子どもの手の届かない場所に保管

まとめ

まとめ

やけどは、私たちの暮らしの中で、いつでも起こりうる身近な事故です。熱いお湯やアイロン、ストーブなど、日常生活には危険がいっぱいです。ちょっとした不注意で、誰でもやけどをしてしまう可能性があるということを、常に心に留めておく必要があります。

やけどは、その深さによって重症度が異なります。皮膚が赤くなるだけの軽いものから、水ぶくれができるもの、そして皮膚が黒く焦げてしまう重度のものまで様々です。軽いやけどであっても、適切な処置を怠ると、後遺症が残ってしまうことがあります。例えば、皮膚の色が変わってしまったり、ケロイド状の傷跡が残ったりする可能性があります。また、重度のやけどは、生命に関わる重大な事態に発展することもあります。

やけどをしないためには、日頃から予防を心がけることが大切です。熱いものを扱う際には、ミトンや鍋つかみを使用しましょう。また、コンロの火力を確認し、周りに燃えやすいものを置かないように注意しましょう。小さなお子さんや高齢者の方の場合は、特に注意が必要です。小さなお子さんは、大人の見ていないところで熱いものに触れてしまう可能性があります。高齢者の方は、皮膚が薄く、感覚も鈍くなっている場合があるため、やけどのリスクが高くなります。周りの大人が注意深く見守り、安全な環境を整えることが重要です。

もし、やけどをしてしまった場合は、まず流水で十分に冷やすことが大切です。冷やすことで、炎症の広がりを抑え、痛みを和らげることができます。流水がない場合は、氷水を入れたビニール袋などで冷やしても構いません。ただし、氷を直接皮膚に当てないように注意しましょう。冷やした後、やけどの程度に応じて、医療機関を受診しましょう。水ぶくれができていたり、皮膚が黒く焦げている場合は、必ず医師の診察を受けてください。やけどの予防と適切な対処法を身につけることで、自分自身だけでなく、大切な家族や友人なども守ることができます。日頃から火や熱に対する意識を高め、安全で安心な暮らしを送りましょう。

やけどの危険性 日常生活には、お湯、アイロン、ストーブなど、やけどの危険が潜んでいる。誰でも不注意でやけどをする可能性がある。
やけどの重症度 深さによって、皮膚の赤み、水ぶくれ、皮膚の焦げなど、重症度が異なる。軽度でも適切な処置をしないと後遺症が残る可能性がある。重度のやけどは生命に関わる。
やけどの予防 ミトンや鍋つかみを使用する、コンロの火力を確認する、燃えやすいものを周りに置かないなど。子供や高齢者の場合は特に注意し、大人が見守る。
やけどの応急処置 流水で十分に冷やす。流水がない場合は氷水を入れたビニール袋でも可。氷を直接皮膚に当てない。程度に応じて医療機関を受診。