白癬:知っておきたい知識と予防法

白癬:知っておきたい知識と予防法

介護を学びたい

先生、「白癬」ってよく聞くんですけど、高齢者にとってどんなことに気をつけないといけないんですか?

介護の研究家

いい質問だね。白癬、つまり水虫はカビの一種で、高齢者によく見られるのは爪白癬だ。かゆみがない場合も多いけど、爪が白く分厚くなってしまうんだ。高齢者になると免疫力が低下したり、清潔を保つのが難しくなったりすることもあるから、特に注意が必要なんだよ。

介護を学びたい

爪が白く分厚くなるだけなら、あまり気にしなくてもいいんじゃないですか?

介護の研究家

いやいや、放っておくと爪が変形して痛みが出たり、歩行に支障が出たりすることもあるんだよ。それに、白癬は人から人へとうつるから、家族にも感染させてしまう可能性がある。だから、早期発見と適切な治療が大切なんだ。

白癬とは。

「介護」と「介助」について説明します。今回は「白癬」という病気についてです。白癬はカビの一種で、よく知られている「水虫」もこの白癬の仲間です。水虫は足にできる白癬です。白癬には、指と指の間で起こるもの、小さな水ぶくれができるもの、皮膚が厚く硬くなるものの三つの種類があります。お年寄りに多い爪の水虫は、かゆみはありませんが、爪が白くなり厚くなります。白癬の原因となるカビは、高温多湿の場所を好み、感染している人の皮膚を通して人から人へうつります。そのため、清潔にして乾燥させておくことが大切です。

白癬とは

白癬とは

白癬は、白癬菌というカビが原因で起こる皮膚の病気です。このカビは高温多湿の環境を好み、人から人へと移ります。足は靴や靴下で覆われていることが多く、高温多湿になりやすいので、白癬菌が増えやすく、足白癬、いわゆる「水虫」は最もよく知られた白癬の一つです。

足白癬以外にも、体部白癬や股部白癬、爪白癬など、体の様々な場所に発症する可能性があります。白癬は、きちんと治療すれば治る病気ですが、放置すると症状がひどくなったり、周りの人へうつしてしまう可能性があります。ですから、白癬についてきちんと理解し、予防と早期治療を心がけることが大切です。

白癬菌は、感染した人の皮膚から剥がれ落ちた角質を介して、他の人へ感染します。例えば、床やお風呂の足拭きマット、スリッパなどを共有することで感染する危険性が高まります。また、高温多湿の環境は白癬菌の繁殖を助長するため、特に梅雨が明けた後や夏場は注意が必要です。家の中では、風通しを良くし、清潔な状態を保つことが重要です。

お年寄りは、体の抵抗力が弱まっていたり、皮膚が乾燥しやすいため、白癬に感染しやすい傾向があります。また、爪が厚く変形しやすいため、爪白癬になりやすく、治りにくい場合もあります。お年寄りの方の場合は、足白癬から爪白癬へと進行することが多く、爪が厚くもろくなることで痛みを伴う場合もあります。歩行に支障が出ることもあるため、早期発見と早期治療が重要です。そのため、お年寄りの方は特に白癬の予防と早期発見、早期治療に気を配る必要があります。日頃から足を清潔に保ち、保湿を心がけることが大切です。また、家族の方も、白癬について理解し、感染予防に協力することが重要です。

白癬(水虫)について 詳細
原因 白癬菌(カビ)
好む環境 高温多湿
感染経路 感染者からの接触感染(剥がれ落ちた角質を介して)
例:床、足拭きマット、スリッパの共有
感染しやすい時期 梅雨明け後、夏場
種類 足白癬(水虫)、体部白癬、股部白癬、爪白癬など
高齢者の特徴 抵抗力低下、皮膚の乾燥、爪の肥厚・変形→感染しやすく治りにくい、足白癬から爪白癬へ進行しやすい
予防 清潔、保湿、風通しを良くする
その他 放置すると悪化、周囲に感染のおそれあり、早期発見・早期治療が重要

白癬の種類と症状

白癬の種類と症状

白癬は、皮膚糸状菌というカビが皮膚に寄生することで起こる感染症で、その種類は発症する部位や症状によって様々です。大きく分けて、足にできる足白癬、体幹や腕、脚などにできる体部白癬、股にできる股部白癬、爪にできる爪白癬などがあります。

まず、足白癬は、趾間型、小水疱型、角質増殖型の3つの型に分類されます。趾間型は、足の指の間が赤く腫れ上がり、痒みを伴います。蒸れやすい環境を好むため、特に梅雨や夏の時期に注意が必要です。小水疱型は、小さな水ぶくれができ、強い痒みが特徴です。水ぶくれを掻き破ってしまうと、そこから細菌感染を起こす可能性もあるため、注意が必要です。角質増殖型は、かかとや足の裏の皮膚が厚く硬くなり、ひび割れを起こすこともあります。この型は、痒みがほとんどないため、気づかないうちに進行してしまう場合もあります。

体部白癬は、体幹や腕、脚など、足以外の場所に発症します。輪を描くように赤い発疹が広がっていくのが特徴です。また、股部白癬は、股の部分に発症し、強い痒みを伴います。高温多湿の環境で繁殖しやすいため、清潔で乾燥した状態を保つことが重要です。

爪白癬は、爪が白く濁ったり、厚くもろくなったりします。自覚症状がほとんどないため、発見が遅れる場合が多いです。特に高齢者の方に多く見られ、放置すると爪が変形し、歩行に支障をきたすこともあります。そのため、早期発見と適切な治療が大切です。

これらの症状が見られた場合は、自己判断せずに皮膚科専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。市販薬もありますが、症状に合わない薬を使用すると悪化させる可能性もあるため、医師の指示に従うことが重要です。

白癬の種類 症状 特徴
足白癬 趾間型:足の指の間が赤く腫れ上がり、痒みを伴う 蒸れやすい環境を好み、梅雨や夏の時期に注意が必要
小水疱型:小さな水ぶくれができ、強い痒みを伴う。掻き破ると細菌感染の可能性あり
角質増殖型:かかとや足の裏の皮膚が厚く硬くなり、ひび割れを起こす。痒みは少ない
体部白癬 体幹や腕、脚など、足以外の場所に輪を描くように赤い発疹が広がる
股部白癬 股の部分に発症し、強い痒みを伴う 高温多湿の環境で繁殖しやすく、清潔で乾燥した状態を保つことが重要
爪白癬 爪が白く濁ったり、厚くもろくなる 自覚症状がほとんどなく、発見が遅れる場合が多い。高齢者に多く、放置すると歩行に支障をきたすことも

白癬の治療法

白癬の治療法

水虫とも呼ばれる白癬は、白癬菌というカビが皮膚に寄生することで起こる感染症です。この白癬の治療には、カビの増殖を抑える抗菌薬が用いられます。

白癬の治療薬には、主に塗り薬と飲み薬があります。多くの場合、まずは塗り薬から治療を開始します。塗り薬は、医師の指示に従って、患部にしっかりと塗り込み、決められた期間、毎日継続して使用することが重要です。かゆみなどの症状が治まっても、自己判断で治療を中断せずに、医師の指示に従って完治するまで治療を続けましょう。途中で治療をやめてしまうと、白癬菌が完全に死滅せず、再発する可能性が高くなります。

足や体などの皮膚にできる白癬は、塗り薬で治療効果が期待できますが、爪にできる爪白癬の場合、外用薬では効果が得られにくいことがあります。爪白癬は爪の奥深くまで菌が入り込んでいるため、塗り薬が届きにくく、治りにくいのです。そのため、爪白癬には飲み薬が処方される場合もあります。飲み薬は効果が高い反面、まれに副作用が現れることがあるため、医師とよく相談し、指示された用法・用量を守って服用することが大切です。

特にご高齢の方は、他の病気で既に薬を服用している場合もあるため、薬の飲み合わせについて医師に必ず確認しましょう。複数の薬を同時に服用することで、思わぬ副作用が生じる可能性があります。

白癬は、一度治っても再発しやすい病気です。完治した後も、日常生活の中で予防策を継続することが大切です。例えば、足を清潔に保ち、湿気を避ける通気性の良い靴を履く、家族とスリッパやタオルを共有しないなど、菌の感染を防ぐ工夫を心がけましょう。また、皮膚に異常を感じたら、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

種類 特徴 注意点
塗り薬
  • 多くの場合、最初に選択される治療薬。
  • 患部にしっかりと塗り込み、決められた期間、毎日継続して使用する。
  • 足や体の白癬に有効。
  • 自己判断で治療を中断しない。
  • 爪白癬には効果が得られにくい。
飲み薬
  • 爪白癬に有効。
  • 効果が高い。
  • まれに副作用が現れることがある。
  • 医師とよく相談し、指示された用法・用量を守る。
  • 特に高齢者は薬の飲み合わせに注意。

白癬の予防策
足を清潔に保ち、湿気を避ける
通気性の良い靴を履く
家族とスリッパやタオルを共有しない

白癬の予防法

白癬の予防法

水虫とも呼ばれる白癬は、白癬菌というカビが皮膚に寄生することで起こる感染症です。白癬菌は高温多湿の環境を好み、人から人へ感染するため、日頃から予防を心がけることが大切です。まず清潔を保つことが重要です。毎日、足を石鹸できれいに洗い、特に指の間は念入りに洗いましょう。菌は湿った場所を好むため、洗った後は、タオルで水分を完全に拭き取り、乾燥させることが重要です。濡れたまま放置すると、菌が繁殖しやすくなります。また、靴下は通気性の良い素材のものを選び、汗をかいたらこまめに履き替えましょう。靴も通気性を意識し、同じ靴を毎日履くのではなく、数足をローテーションで履くのがおすすめです。革靴よりも通気性の良い布製の靴を選ぶのも良いでしょう。さらに、バスマットやスリッパは家族と共有せず、各自専用のものを用意しましょう。これらは白癬菌の温床になりやすいので、こまめに洗濯し、天日干しで乾燥させることで、菌の繁殖を防ぎます。浴室や脱衣所も湿気がこもりやすい場所なので、換気をしっかり行い、乾燥した状態を保つことが大切です。風通しを良くすることで、菌の繁殖を抑えることができます。スポーツジムやプールなど、不特定多数の人が利用する施設では、特に感染リスクが高まります。共用のスリッパやマットの使用は避け、自分のタオルを持参し、利用後は足を丁寧に洗い、しっかりと乾燥させましょう。これらの予防策を日頃から実践することで、白癬感染のリスクを減らすことができます。

対策 詳細
清潔を保つ 足を石鹸で丁寧に洗い、特に指の間は念入りに洗う。洗った後は水分を完全に拭き取り、乾燥させる。
通気性の良い素材 通気性の良い靴下を選び、汗をかいたらこまめに履き替える。靴も通気性を意識し、複数をローテーションで履く。
各自専用のものを用意 バスマットやスリッパは家族と共有せず、各自専用のものを用意し、こまめに洗濯し天日干しする。
風通しを良くする 浴室や脱衣所は換気をしっかり行い、乾燥した状態を保つ。
自分のタオルを持参 スポーツジムやプールなどでは、共用のスリッパやマットの使用を避け、自分のタオルを持参し、利用後は足を丁寧に洗い、しっかりと乾燥させる。

高齢者の白癬対策

高齢者の白癬対策

高齢になると、体の抵抗力が弱まり、皮膚の水分も少なくなりがちです。このような状態は、白癬(いわゆる水虫)などの皮膚の病気を引き起こしやすくなります。特に高齢の方は、白癬に感染しやすい状態にあるため、普段から気を配ることが大切です。

白癬は、足だけでなく、爪にも感染することがあります。高齢になると爪が厚く変形しやすいため、爪白癬になりやすく、治りにくい場合もあります。さらに、かゆみなどの自覚症状を感じにくい場合もあり、症状に気づかず放置してしまうことがあります。そのため、家族や介護をする人が、足や爪の状態に気を配り、異常に気づいたら早めに医師の診察を受けるように促すことが重要です。

白癬を予防するために、足を清潔にすることは基本です。毎日足を丁寧に洗い、石鹸をよく洗い流し、水分をしっかり拭き取りましょう。また、通気性の良い靴下を履き、靴の中を蒸れさせないようにしましょう。靴下は、吸湿性や放湿性に優れた素材のものを選ぶと良いでしょう。さらに、皮膚の乾燥を防ぐために、保湿クリームなどで皮膚を保湿することも大切です。乾燥した皮膚は、白癬菌が侵入しやすくなるため、保湿ケアは白癬予防に効果的です。

爪白癬は、放置すると歩くのが困難になるだけでなく、他の爪や皮膚に感染が広がる可能性があります。爪が厚くなったり、色が変わったり、もろくなったりしている場合は、早めに皮膚科の専門医に診てもらい、適切な治療を受けましょう。高齢になると、病院へ行くのが難しい場合もあるため、往診や訪問看護などの在宅医療サービスを利用することも考えてみましょう。周りの人に相談し、自分に合った方法で治療を続けることが大切です。

原因・リスク 症状・影響 予防策 対処法
高齢化による抵抗力の低下、皮膚の乾燥 足や爪への白癬感染、かゆみ(感じにくい場合も)、爪の肥厚・変形・変色 足を清潔にする、通気性の良い靴下を履く、保湿クリームで皮膚を保湿する 早期の医師の診察、皮膚科専門医の受診、往診・訪問看護などの在宅医療サービスの利用
爪の肥厚・変形(高齢化による) 爪白癬になりやすく治りにくい、歩行困難、他の爪や皮膚への感染拡大
自覚症状を感じにくい 症状に気づかず放置してしまう 家族や介護者の観察